おくすり110番
スポンサード リンク 投げ銭コ-ナ-

成分(一般名) チオトロピウム臭化物/オロダテロール塩酸塩
製品例 スピオルト レスピマット28吸入~60吸入 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 気管支拡張剤・他/その他の配合剤/COPD治療配合剤

  PR 人気の薬系書籍ベスト30 「くすり本NAVI 」

   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 気管支を広げる吸入薬です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用います。
作用

【働き】

慢性閉塞性肺疾患いわゆるCOPDは、気管支や肺胞に病変を生じ、気道の流れが悪くなる病気です。これには慢性気管支炎と肺気腫がふくまれ、これらによる呼吸障害の総称ともいえます。臨床的には、咳や痰が多くなり、少し動くだけで息切れするなど体動時の呼吸困難が特徴的です。

この吸入薬には、2種類の気管支拡張薬が配合されています。一つは、長時間作用性の抗コリン薬のチオトロピウム(スピリーバ)。同系として作用時間が長いのが特徴で長時間にわたり安定した効果が得られます。もう一つの成分は、β2刺激薬のオロダテロールです。こちらも作用時間が長い長時間作用型です。

作用が異なるこれら2成分の相加作用により気管支拡張作用が増強し、優れた呼吸機能改善効果を発揮します。処方対象は、単剤で治療効果が不十分な場合または症状がより重症な慢性閉塞性肺疾患に対してです。長期管理薬として定期吸入することで、呼吸が楽になり息切れ症状がやわらぎます。

【薬理】
  • 抗コリン薬のチオトロピウムは、副交感神経を亢進させるアセチルコリンという神経伝達物質の受容体(M3)に作用し、その結合をじゃまします。気管支の収縮は副交感神経の亢進により強まりますので、この薬で副交感神経をおさえれば気道の収縮を抑制することができるのです。このような作用から、抗コリン薬(抗アセチルコリン薬)、または拮抗する受容体の名前にちなみムスカリン受容体拮抗薬と呼ばれています。
  • β2刺激薬は、気管平滑筋にある交感神経の「β2受容体」を刺激して気管支を広げます。このとき拡張するのは気管支の細い部分です。オロダテロールはβ2選択性が高く、心臓など循環器系への悪影響が少ないほうです。
  • 抗コリン薬とβ2刺激薬の併用については、β2刺激薬が気道のβ2受容体を刺激することにより、近辺の副交感神経の伝達調節を介したアセチルコリンの遊離を低下させ、これが抗コリン薬による気管支拡張作用を増強させるものと考えられます。併用により気道平滑筋を直接的・間接的に弛緩させ、相加的な併用効果が期待できるのです。また、抗コリン薬が太い気管支によく作用するのに対し、β2刺激薬は細い気管支に作用して拡張させます。この点からも両者の併用は合理的といえます。

【臨床試験】

抗コリン薬のチオトロピウムとβ2刺激薬のオロダテロールの配合薬としての有効性を確かめる国際共同臨床試験がおこなわれています。参加したのは日本人204人をふくむCOPDの患者さん2624人です。そして、配合剤であるこの薬を吸入する人、抗コリン薬のチオトロピウム単剤を吸入する人、β2刺激薬のオロダテロール単剤を吸入する人に分かれ それぞれの治療効果を検証します。

効果の判定は半年後の肺活量(FEV1:1秒間努力呼気量)(L)の変化量でおこないます。肺活量は、COPDの重症度を客観的にとらえる重要な指標です。さらに、実際に生活の質(QOL)が改善したかどうかについても調べます。具体的には、咳、呼吸困難、喘鳴などの症状にくわえ、その症状により制限される日常生活や心理的影響を項目ごとに点数化し、その合計点(0〜100点)で比較するのです。点数が低ければ良好、高いほど生活の質が悪い状態を示します。

その結果、この薬(チオトロピウム+オロダテロール)を吸入していた人達の肺活量の変化量は平均0.12(1.11→1.22)、チオトロピウムで0.05(1.15→1.21)、オロダテロールの人達で0.04(1.16→1.21)でした。各単剤に比べ、この薬を使用していた人達の肺活量の変化量はそれぞれ0.07、0.08ほど大きく、呼吸機能がより改善することが確かめられたわけです。

生活の質(QOL)については、この薬(チオトロピウム+オロダテロール)を吸入していた人達の点数は平均6.8点低下(改善)(44.2点→37.3点)し、チオトロピウムよりも1.2点、オロダテロールよりも1.7点ほど低下幅(改善幅)が大きくなりました。また、臨床的に意味があるとされる4点以上低下した患者さんの割合(レスポンダー割合)は、この薬で57.5%、オロダテロールで44.8%、チオトロピウムで48.7%でした。
特徴
  • 長時間作用性の抗コリン薬(LAMA)とβ2刺激薬(LABA)を配合した吸入薬です(デュアル ブロンコダイレーター)。作用機序が異なる2種類の気管支拡張作用により、慢性閉塞性肺疾患に対する治療効果を高めることができます。なお、抗コリン薬のチオトロピウムは、スピリーバ吸入用カプセル、スピリーバレスピマット吸入として単剤でも販売されています。
  • 薬剤を含んだ吸入液がカートリッジに充填されており、これをレスピマットという専用の吸入器に取り付けて吸入します。レスピマットは、噴射ガスを使わずに薬剤をごく細かい霧状にしてゆっくりと噴出する新型のソフトミスト吸入器です。容易に薬剤が吸入できるうえ、2成分の併用療法が1日1回吸入で済むので服薬管理が楽になります。
注意
【診察で】
  • 緑内障や前立腺肥大症など、持病のある人は医師に伝えてください。
  • 使用中の薬を医師に教えてください。
  • 正しい使い方と吸入方法の説明を受けておきましょう。

【注意する人】

緑内障のある人や前立腺肥大症で尿の出の悪い人は、病状により使用できないことがあります。また、交感神経刺激作用により、高血圧や心臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが悪化するおそれがあります。これらの病気のある人は、病状に注意するなど慎重に用いる必要があります。

  • 適さないケース..閉塞隅角緑内障、前立腺肥大などで排尿障害がある人。
  • 注意が必要なケース..高血圧、心臓病(狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全)、糖尿病、てんかん、腎臓病、前立腺肥大、甲状腺機能亢進症のある人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • アドレナリン(ボスミン)や、イソプレナリン(ストメリン、イソメニール、プロタノール)などカテコールアミン製剤との併用により動悸や不整脈の副作用がでやすくなります。
  • テオフィリン(テオドール)、ステロイド薬、利尿薬などとの併用により、血清カリウム値が低下し不整脈が出現するおそれがあります。定期的に検査をするなど、慎重に併用する必要があります。
  • β遮断薬はこの薬の作用を弱めます。β遮断薬は高血圧や不整脈に用いるほか、点眼薬として緑内障の治療にも使いますから注意してください。ほかにも注意が必要な薬がいろいろあります。使用中の薬を必ず医師に報告しておきましょう。

【使用にあたり】
  • 症状の安定のために毎日定期吸入するものです。1日1回決められれた時間帯に吸入してください。
  • レスピマットという吸入用器具と1セットになっています。説明書にならい、カートリッジを組み入れたあと、正しい方法で吸入してください。1回に2吸入する必要があります。
  • 決められた時間に吸入できなかった場合は、できるだけ早くその日のうちに吸入してください。その日に吸入できなければ、その日の分は抜かしてください。1日1回までとし、絶対に2回分を一度に吸入してはいけません。
  • 目に入らないように注意しましょう。眼に入った場合、水で十分洗眼してください。万一、目が充血したり、眼痛や視覚の異常があらわれた場合には、すみやかに眼科を受診してください。

【検査】

とくに高血圧や心臓病のある人は、定期的に血圧測定や心電図検査をおこない、副作用がでていないかチェックします。また、必要であれば血液検査をおこない、カリウム値などに異常がないか調べます。

【食生活】

慢性閉塞性肺疾患の一番の原因はタバコ。タバコの煙が肺や気管支を傷つけ機能を悪くするのです。禁煙は治療の大前提です。

【備考】

慢性閉塞性肺疾患‘COPD’の治療の主役は気管支拡張薬。長時間作用性の抗コリン薬もしくはβ2刺激薬が第一選択され、効果不十分な場合には両者による吸入療法がおこなわれます。それでも増悪をくり返す場合は、吸入ステロイド薬を追加することもあります。いずれも対症療法薬で病気そのものは治せませんが、症状悪化による悪循環を断つことにより進行がおさえられ、予後が改善される可能性があります。
効能 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
  • [注意]本剤は慢性閉塞性肺疾患(COPD:慢性気管支炎、肺気腫)の維持療法に用いること。本剤は急性症状の軽減を目的とした薬剤ではない。
用法 通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg及びオロダテロールとして5μg)を1日1回吸入投与する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 口内の乾燥がときどきみられる副作用です。また、吸入時にむせたり、咳き込んだりすることがあるかもしれませんす。これらは たいてい心配ないと思いますが、ひどいようでしたら 早めに受診してください。

万一、誤って薬剤が目に入り、充血や目の痛み、かすみ、視覚の異常、視力低下などがあらわれたら、すぐに眼科を受診してください。緑内障発作につながるおそれがあります。

正しく使用するかぎり全身性の副作用はまずありません。ただし、体内に多少は吸収されますので、過剰吸入により頭痛や動悸、手のふるえ、排尿困難、さらには低カリウム血症や重い不整脈を引き起こすおそれがあります。決められた用量(1日1回2吸入)を守ることが大事です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 心不全・不整脈..息切れ、息苦しい、むくみ、体重増加、動悸、脈が弱い、脈の乱れ、めまい、失神。
  • イレウス(腸閉塞)..お腹が張る・膨れる、吐き気、吐く、便秘、腹痛。
  • 緑内障..目が痛い、充血、見えにくい、かすむ、光の回りに虹の輪、頭痛、吐き気。
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。

【その他】
  • 口内乾燥、のどの刺激感、咳
  • 動悸(ドキドキ感)、頻脈、不整脈
  • 頭痛、指や手のふるえ、排尿困難
  • 発疹
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
おくすり110番病気別の薬くすり本NAVIおくすり鑑定妊娠とくすり禁忌薬副作用薬価Drug Yaboo!

スポンサード リンク 投げ銭してネ !
Good luck & Good bye