概説 |
胃腸の働きをよくするお薬です。吐き気や食欲不振、胸やけなどに用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 弱った胃腸の運動を活発にして、食べ物を胃から腸へ送り出すのを助けます。そうすることで、吐き気や嘔吐、食欲不振や膨満感、胸やけなどの症状を改善します。慢性胃炎をはじめ、器質的な病変のない機能性ディスペプシアの治療に広く用いられています。

- 【薬理】

- 胃腸の運動は、アセチルコリンという神経伝達物質の働きで活発になります。この薬は、胃や十二指腸に存在するドパミン(D2)受容体を遮断することにより、アセチルコリンの遊離を促進します。さらに、アセチルコリンエステラーゼという酵素を阻害することで、遊離したアセチルコリンの分解をおさえその作用を強めます。
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特徴 |
- よく処方される胃腸薬です。薬理学的に「ドパミン拮抗薬」の部類です。薬効分類的には「消化管運動促進薬」または「消化管運動賦活薬」あるいは「胃腸機能調整薬」「胃腸機能改善薬」などに分類されます。
- 旧来の同類薬に比べ、手のふるえ、生理不順、乳汁分泌など副作用が少ないです。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 別に薬を飲んでいる場合は、医師に報告しておきましょう。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 胃腸の痛み止めの抗コリン薬といっしょに飲むと、お互いの作用が減弱する可能性があります。

- 【使用にあたり】

- 指示どおりに飲んでください。ふつう、1日3回食前に飲みます。

- 【食生活】

- 慢性胃炎(機能性胃腸症)では、薬だけに頼るのでなく、食生活の改善も大切。暴飲暴食を避け、腹八分目。消化のよい物をとるようにしましょう。アルコールやタバコもよくありません。
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効能 |
慢性胃炎における消化器症状(腹部膨満感、上腹部痛、食欲不振、胸やけ、悪心、嘔吐) |
用法 |
通常、成人はイトプリド塩酸塩として1日150mg(3錠)を3回に分けて食前に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。人によっては、腹痛や下痢があらわれます。症状がよくならないときや、かえって胃腸の調子が悪くなるときは、早めに受診してください。
まれですが、ホルモンの乱れによる生理不順や乳汁分泌が起きる可能性があります。それほど心配ないのですが、そのようなときは医師と相談してください。
そのほか重い副作用として、ショックやアナフィラキシー様症状、肝障害などの報告があります。これらはきわめてまれな副作用ですが、以下のような症状に念のため注意してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
- 腹痛、下痢
- 生理不順、乳汁が出る、男性の乳房がふくらむ
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