概説 |
便の性状をよくし、便通を整えるお薬です。過敏性腸症候群の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 過敏性腸症候群は、普段から腸の調子が悪く、頻繁に腹痛や排便異常を起こす機能性の病気です。症状は人それぞれですが、大きく 下痢型、便秘型、両方を繰り返す混合型の3つのタイプに分かれます。原因は特定されず、消化管運動の異常、内臓知覚過敏、心理社会的要因など さまざまな要因が関与していると考えらています。
このお薬は、そのような過敏性腸症候群の治療に用います。腸内で水分を吸収・保持し、便の固さをほどよくして便通を整えます。下痢と便秘の両方に効果があるので、下痢型、便秘型を問わず過敏性腸症候群に広く使用可能です。また、過敏性腸症候群とは関係なく、高齢の人にみられる水様便にともなう便失禁(便漏れ)の予防にもなります。

- 【薬理】

- 優れた水分吸収能力とゲル形成能を持つ非溶解性の高分子化合物(ポリアクリル樹脂)からできています。そのような性質により、腸内容物を膨潤・ゲル化し、便の水分バランスを調整します。
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特徴 | 体内非吸収性の過敏性腸症候群治療薬で、よく処方されています。非常に強力な食物繊維のようなもので、安全性が高く、下痢と便秘の両方に有効です。このため、下痢型、便秘型を問わず過敏性腸症候群における薬剤治療の第一選択薬として推奨されています。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 他の薬の作用に影響しやすい性質があります。別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に伝えておきましょう。

- 【注意する人】

- 急性腹症や術後イレウスのある場合は用いません。また、高カルシウム血症や、腎臓の悪い人も病状によっては使用できません。
- 適さないケース..急性腹症(虫垂炎、腸出血、潰瘍性結腸炎等)、術後イレウス、高カルシウム血症、腎結石、重い腎臓病のある人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- この薬には、カルシウム分が多く含まれています。カルシウム剤や、骨粗鬆症の薬のビタミンD製剤と併用すると、体のカルシウム分が過剰になるおそれがあります。また、抗生物質など一部の薬の吸収を阻害し、その薬の効き目を落とす可能性があります。
- 飲み合わせに注意..活性型ビタミンD製剤、カルシウム剤、ジギタリス系強心薬、テトラサイクリン系抗生物質、キノロン系抗菌剤、胃腸薬など。

- 【使用にあたり】

- 万一のどでつかえると、膨張して食道をつまらせるおそれがあります。コップ1杯ほどの十分な水で飲んでください。

- 【その他】

- 対症療法薬ですので、病気そのものを治せるわけではありません。2週間以上使用しても症状がよくならない場合は、医師とよく相談してみましょう。
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効能 |
過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状 |
用法 |
通常、成人はポリカルボフィルカルシウムとして1日量1.5〜3.0g(錠:3〜6錠、細粒:1.8〜3.6g)を3回に分けて、食後に水とともに経口服用する。
- [注意1]下痢状態では1日1.5gでも効果が得られているので、下痢状態の場合には1日1.5gから投与を開始することが望ましい。
- [注意2]本剤は、服用後に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性があるので、十分量(コップ1杯程度)の水とともに服用させること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
人によっては吐き気がしたり、お腹がふくれる感じがするかもしれません。症状がよくならないときや、かえって胃腸の調子が悪くなるときは、早めに受診してください。
薬自体は体内には吸収されませんので、胃腸以外の副作用はまずありません。ただし、カルシウム分を分離するので、もともと高カルシウム血症や腎結石の持病のある人は、その病状を悪化させるおそれがあります。
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