概説 |
唾液の分泌を増やすお薬です。シェーグレン症候群における口腔乾燥症状を改善します。 |
作用 | 
- 【働き】

- シェーグレン症候群は、女性に多い免疫系の病気です。自分の免疫により唾液腺が傷つけられ、唾液の分泌が悪くなり、口のなかが乾燥してきます。
このお薬は、唾液腺を刺激して、唾液の分泌を増やします。そうすることで、口内の乾燥を防ぎ、それによる違和感をやわらげます。ただし、対症療法薬ですので、シェーグレン症候群そのものを治すことはできません。

- 【薬理】

- 唾液腺に分布するムスカリン性アセチルコリン受容体(M3型)を刺激し、細胞情報伝達系のイノシトールリン脂質代謝回転を亢進して、唾液分泌を促進します。
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特徴 | アセチルコリン類似化合物で、作用機序からは副交感神経刺激薬(コリン作動薬)に入ります。アセチルコリン受容体の一種のムスカリン受容体を刺激することからムスカリン受容体作動薬とも呼ばれます。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 他の薬と相互作用を起こしやすい性質があります。別の薬を飲んでいる場合は、必ず医師に報告しておいてください。

- 【注意する人】

- この薬には神経伝達物質のアセチルコリンに近い性質があり、唾液腺以外のいろいろ臓器に影響をおよぼします。そのため、心臓の悪い人、胃腸や膵臓など消化器系あるいは泌尿器系に病気のある人、また、気管支喘息、てんかん、パーキンソン症状のある人など使用できないことがあります。
- 適さないケース..心筋梗塞、狭心症、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、消化管や膀胱頸部に閉塞のある人、てんかん、パーキンソン病、虹彩炎のある人。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 同類のコリン作動薬との併用は、互いに作用を増強します。逆に、抗コリン作用を持つ一部の胃腸薬や安定薬、抗うつ薬と併用すると、効果が打ち消されるおそれがあります。
- 飲み合わせに注意..モサプリド(ガスモチン)、鎮痙薬(ブスコパン等)、フェノチアジン系安定薬、三環系抗うつ薬など。
 【使用にあたり】
- 指示された用法用量どおりに、正しくお飲みください。ふつう、1日3回、毎食後に服用します。
- すぐによい効果がでるとは限りません。しばらく続けて様子をみる必要があります。
- 3カ月以上続けてもまったく効果を感じないとき、あるいは吐き気や腹痛などの副作用でかえってつらいときは、医師とよく相談してください。

- 【食生活】

- 目の瞳孔が小さくなり、夜間など暗い所で物が見えにくくなることがあります。夜間の車の運転や暗所での危険な作業には十分注意してください。
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効能 |
シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善。 |
用法 |
通常、成人はセビメリン塩酸塩として1回30mgを1日3回、食後に経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは、胃腸の副作用です。吐き気(10%)、腹痛(8%)、下痢(4%)、嘔吐(3%)などがよくみられます。そのほか、汗が出やすくなったり、尿の回数が増えることもあります。
重い副作用はまずありませんが、ときに、動悸や心電図に異常があらわれたり、膵臓の検査の値が悪くなることがあります。また、もともと間質性肺炎のある人では、その症状を悪化させるおそれがあります。
- 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
- 多汗、頻尿、めまい、ふるえ、頭痛
- 動悸、心電図異常
- 血清アミラーゼ上昇、肝機能値の異常
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