おくすり110番
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成分(一般名) デスモプレシン酢酸塩
製品例 ミニリンメルトOD錠25μg~50μg~60μg~120μg~240μg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 脳下垂体ホルモン/その他/夜尿症用剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 尿量を減らすお薬です。中枢性尿崩症、夜尿症、男性の夜間頻尿などに用います。
作用

【働き-1】

中枢性尿崩症は、脳から分泌される“バソプレシン”という抗利尿ホルモンの不足で起こります。このホルモンは尿を減らす役目をしています。不足すると、腎臓での水分の再吸収が減少し、うすい尿が大量にでてしまうのです。その反動で、のどが渇き水も飲みたくります。

このお薬は、抗利尿ホルモンのバソプレシンと同じように作用し、その働きを補います。すなわち、腎臓での尿中水分の吸収を促進し、尿を濃くして尿量を減らせるわけです。抗利尿ホルモンの不足による中枢性尿崩症に適応するほか、以下のような夜尿症や男性の夜間頻尿などにも用います。

【働き-2】

6歳を過ぎても、毎晩のように おねしょをする状態が夜尿症です。夜間の尿量が多い、膀胱が小さく尿をためられない、尿がたまっても目が覚めないなど、体の未熟性によるいくつかの原因が考えられます。成長とともに徐々に改善し自然治癒する場合がほとんどですが、それまでの苦痛やご家族の苦労はたいへんです。

このお薬は、夜尿症治療薬です。抗利尿ホルモンのバソプレシンと同じように働き、尿を濃縮し尿量を減らす作用があります。このため、夜間のホルモン分泌能力が未発達なために、尿が濃くならず、うすい尿がたまってしまうタイプの夜尿症に向きます。実際に夜間の尿量が減少し、夜尿日数が少なくなることが確かめられています。ただし、ホルモン補充療法ですので、夜尿症の原因そのものは治せません。やめると再発してしまうことも多いです。

【働き-3】

夜間尿量が多いため 就寝中に何度もトイレに行くのはつらいです。昼間の仕事や生活にも影響するかもしれません。このお薬は、夜間の尿量を減らすことにより夜間多尿を改善します。適応症は「男性における夜間多尿による夜間頻尿」です。処方が考慮されるのは、1日尿量に対する夜間の尿量が33%以上、かつ夜間排尿回数が2回以上の場合です。なお、夜間頻尿または夜間多尿の原因が別の病気(前立腺肥大症、過活動膀胱、高血圧症、糖尿病、心不全、腎不全等)にある場合は、その治療を優先しなければなりません。

【臨床試験-1】

中枢性尿崩症の治療に標準的に用いられてきたデスモプレシン点鼻液またはスプレー剤との同等性を確かめるための臨床試験が行われています。参加したのは、点鼻液またはスプレー剤で治療中の中枢性尿崩症の患者さん20人。この飲み薬に変更してもらい、その後の病状の変化を検査します。

その結果、この薬に切り替えたあとの24時間尿量、1時間当たりの尿量、尿浸透圧および尿比重は、点鼻液またはスプレー剤の治療時と同様にコントロールできることが分かりました。点鼻液やスプレー剤と同等の有効性が確認されたわけです。また、1年間にわたる長期使用においても安全性にとくに問題はありませんでした。

【臨床試験-2】

夜尿の予防効果をプラセボ(にせ薬)と比較する臨床試験が行われています。参加したのは、うすい尿がでるタイプの夜尿症(浸透圧低下型)と診断された88人、平均年齢は8歳です。44人はこの薬を、別の44人はプラセボを飲みます。効果の判定は、服薬第3〜4週の14日間あたりの夜尿日数の減少量でおこないます。治療前の14日間の夜尿日数の平均12日を基準に何日減るかを比較するのです。

その結果、夜尿日数の減少量は、この薬を飲んだ子供達の平均でおおよそ3日の減少(12日→9日/14日間)、プラセボの子供達は1日だけでした(12日→11日/14日間)。この薬を飲んでいた子供達のほうが、14日間あたり2日ほど夜尿日数が少なくすんだわけです。大きな差はでませんでしたが、臨床的意義は十分にあると結論されました。

【臨床試験-3】

最後は男性の夜間頻尿に対する試験です。夜間多尿による夜間頻尿がある男性の患者さん338人が、この薬とプラセボ(にせ薬)を飲む人に分かれ、3カ月間の平均夜間排尿回数の変化量を比較するのです。ちなみに参加した患者さんの服薬前の夜間排尿回数は平均で2.5回くらいです。

その結果、この薬を50μg服用した人達は夜間排尿回数が平均1.2回減り(2.5→1.3→1.1)、プラセボの人達は0.8回減りました(2.4→1.7→1.5)。大きな差はでませんでしたが、統計学的な有意差が認められたため、夜間多尿による夜間頻尿に対する薬剤として一定の意義があると判断されました。安全性については、低ナトリウム血症がみられたものの、いずれも軽度であり、服薬中止により回復しました。なお、女性に対しても同様の試験が行われましたが、有効性を証明することができませんでした。
特徴
  • 国内初の飲み薬のデスモプレシン含有製剤です。これまでの点鼻液のように鼻水による吸収障害の心配がなく、安定した効果が期待できます。副作用の低ナトリウム血症の発現リスクも、点鼻液よりも低いことがわかっています。中枢性尿崩症にくわえ、夜尿症や男性の夜間頻尿に対する適応も追加承認されました。
  • 水なしで飲める口腔内崩壊錠なので、水分摂取管理に好都合です。口に入れるとすぐに溶けますので、小さな子供でも楽に飲めます。保管についても、点鼻液のように冷蔵庫にしまう必要がなく、室温で大丈夫です。今後、点鼻液やスプレー剤に変わり 処方される機会が増えることでしょう。
  • 夜尿症の治療に積極的なヨーロッパを中心に、海外においても夜尿症用剤として広く使用されています。ICCS(国際小児禁制学会)では夜尿症治療の第一選択薬とされ、ICI(国際尿失禁会議)においても信頼度の高い医薬品として高く評価されています(グレードA・エビデンスレベル1)。
注意
【診察で】
  • 心臓病など持病のある人は医師に伝えておきましょう。また、使用中の薬を医師に教えてください。
  • 水中毒の副作用や注意事項について、十分説明を受けてください。また、水分の摂取量の目安を確認しておきましょう。

【注意する人】

低ナトリウム血症がある場合は禁止です。腎臓病のある人も、病状により使用できないことがあります。6歳未満の通常範囲のおねしょには原則用いません。

  • 適さないケース..低ナトリウム血症、習慣性または心因性多飲症、心不全で利尿薬による治療が必要な人、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、重い腎臓病のある人、男性の夜間頻尿に用いる場合は利尿薬による治療を要する体液貯留のある人。
  • 注意が必要なケース..高血圧、心臓病、動脈硬化症、下垂体前葉不全、腎臓病のある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

低ナトリウム血症や水中毒を起こしやすい飲み合わせに注意が必要です。たとえば 利尿薬、抗うつ薬、解熱・鎮痛薬、下痢止めのロペラミドなどです。とくに男性の夜間頻尿に用いる場合、利尿薬とステロイド薬とり併用を避けなければなりません。点滴や輸液による水分摂取にも留意が必要です。別の病気で他の医師の診察を受けるときは、この薬を使用していることを忘れずに伝えてください。

  • 飲み合わせの悪い薬(男性の夜間頻尿に用いる場合)..利尿薬(フルイトランなどチアジド系、ラシックスなどループ利尿薬)、ステロイド薬(プレドニン、リンデロン、デカドロン、その他吸入剤を含むすべてのステロイド製剤)。
  • 飲み合わせに注意..利尿薬、抗うつ薬、安定薬、抗てんかん薬、解熱・鎮痛薬(NSAIDs)、ロペラミド(ロペミン)など。

【使用にあたり】
  • 病状により用法・用量が違います。決められた飲みかたを必ず守ってください。通常、低用量で開始し、慎重に増量します。飲む時間は指示どおりとしますが、食事中や食事直後は避けたほうがよいでしょう。舌の下ですぐ溶けますから、そのまま水なしで飲んでください。
  • 夜尿症の場合、飲む時間は夜寝る前 排尿をすませてからです。ご家族のもとで、きちんと服用しましょう。
  • 吸湿性があるので、使用直前に乾いた手でシートから取り出し、直ちに口中に入れてください。また、シートから取り出すさいは、裏面のシートを剥がしたあと、ゆっくりと指の腹で押し出すようにします。欠けや割れが生じた場合も全量服用してください。
  • 飲み忘れた場合は、気がついたときに飲んでください。ただし、次の服用が近い場合は忘れた分は飲まないで、次の服用時に決められた1回分を飲んでください。夜尿症の場合はその日のぶんは抜かし、翌日から通常どおりに服用しましょう。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
  • 水分のとり過ぎに注意しましょう。指示された飲水量を守ることが大事です。とくに、発熱時や喘息など飲水が増加する病気を合併している人は要注意。もし、水を飲みすぎてしまった場合は、次の1回分を抜かし休薬してください。
  • 夜尿症では、服用2〜3時間前(夕食後)から翌朝までの飲水はできるだけ避けましょう。もし、決められた以上に水分をとってしまった場合は、薬を飲まないでください。
  • インフルエンザによる発熱時、胃腸炎で下痢を起こしているときなど、適度な水分補給が必要です。そのような場合は水分摂取を優先し、医師と相談のうえで この薬の使用を中断してください。
  • 夜尿症では子供の様子を注意深く見守りましょう。ぐったりしている、顔色が悪い、けん怠感や頭痛をうったえる、吐き気や嘔吐などがみられるのなら、直ちに服薬を中止し、すみやかに医師に連絡してください。水中毒の副作用が起きている可能性があります。

【検査】
  • 中枢性尿崩症(バソプレシン欠乏性尿崩症)の確定診断が必要です。腎性尿崩症をはじめとする別の多尿疾患を除外するため、バゾプレシン負荷試験など各種検査をおこないます。
  • 夜尿症では、そのタイプを診断するため、事前に起床時の尿を採取し、尿の浸透圧や比重を調べます。この薬の適応となるのは浸透圧低下型夜尿症(低比重多尿型)です。
  • 水中毒を予防するために、血漿浸透圧や血清ナトリウム値検査、体重測定などをおこなうことがあります。

【食生活】

水分摂取量など生活指導を守ることが大事です。夜尿症では、夕食後から翌朝までに飲む水の量は、医師の指示どおりにしてください。不用な飲水はよくありません。寝る前の排尿も徹底しましょう。

【備考】
  • 病気の原因そのものは治せません。中枢性尿崩症においては対症療法的に長く続ける必要があります。けれど必ずしも減量中止ができないわけではありません。尿量が自然に減少し、薬が必要でなくなることもあります。
  • 子供の夜尿症は、年齢とともに自然に治ることがほとんどです。体質的なものですので、あまり神経質にならず、少し気長に様子をみるとよいでしょう。この薬による治療をおこなう場合でも、定期的(3ヵ月前後)に1〜2週間休薬して夜尿状況を観察するなど、漫然と継続しないようにします。
効能

【効能A】

中枢性尿崩症

【効能B】

尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症

【効能C】

男性における夜間多尿による夜間頻尿

  • 注意:夜尿症に対する効能は、OD錠120μg、OD錠240μgのみ
  • 注意:男性の夜間頻尿に対する効能は、OD錠25μg、OD錠50μgのみ
用法

【効能A】

通常、デスモプレシンとして1回60〜120μgを1日1〜3回経口服用する。服用量は患者の飲水量、尿量、尿比重、尿浸透圧により適宜増減するが、1回服用量は240μg までとし、1日服用量は720μg を超えないこと。

【効能B】

通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして120μgから経口服用し、効果不十分な場合は、1日1回就寝前にデスモプレシンとして240μgに増量することができる。

【効能C】

成人男性には、通常、1日1回就寝前にデスモプレシンとして50μgを経口服用する。

  • 注意:水分摂取管理の重要性を考慮し、本剤は水なしで飲むこと。なお、本剤は口の中(舌下)に入れると速やかに溶ける。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 水を飲みすぎると、水中毒の危険性が高まります。水中毒は、ナトリウム分の少ない薄い水が体にたまった状態です。ひどくなると、脳浮腫を生じ、けいれんや意識障害を起こします。初期症状として、けん怠感や頭痛、吐き気や嘔吐などがみられますので、そのような場合は服薬を中止し、すみやかに医師に連絡してください。何より大事なのが水分摂取管理です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い水中毒..けん怠感、顔色が悪い、頭痛、吐き気、嘔吐、眠気、発汗、むくみ、急激な体重増加、意識の乱れ、けいれん

【その他】
  • けん怠感、頭痛、吐き気、吐く
  • 浮腫(むくみ)、低ナトリウム血症
  • 眠気、めまい、発汗
  • 全身のかゆみ、発疹
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye