概説 |
男性ホルモンを補うお薬です。男子性腺機能不全や男子不妊症の治療に用います。そのほか、乳がんに対する適応もあります。 |
作用 | 
- 【作用-1】

- このお薬は、男性ホルモンとして作用します。したがって、その不足による男性としての心身の異常(男子性腺機能不全)や、造精機能障害による男子不妊症の治療に用いられます。男子更年期症にも応用されるかもしれません。

- 【作用-2】

- 女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)の働きを抑制します。そのため、乳がんなどエストロゲン依存性の女性がんに有効です。ただし、がんそのものは治せませんので、これらに対して第一選択されることはありません。
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特徴 | 男性ホルモンとして作用する代表的な男性ホルモン薬(アンドロゲン)です。ただし、男性ホルモン薬の飲み薬はあまり処方されません。一般的には、持続性の注射薬を用います。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中もしくはその可能性のある人は、医師に伝えてださい。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 副作用や注意点についてよく説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 前立腺がんのある人は使用できません。肝臓の悪い人も控えます。そのほか、前立腺肥大、腎臓病、心臓病などのある人、思春期前で成長過程にある人、また高齢の人は慎重に用います。妊娠中は使用禁止です。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 抗凝血薬のワルファリンの作用を増強することがあります。

- 【使用にあたり】

- 指示どおりに正しくお飲みください。

- 【検査】

- 定期的に決められた検査を受け、効果や副作用をチェックするようにしましょう。血液や尿検査のほか、男性では前立腺の検査も必要です。
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効能 |

- 【効能A】

- 男子性腺機能不全(類宦官症)

- 【効能B】

- 造精機能障害による男子不妊症

- 【効能C】

- 末期女性性器癌の疼痛緩和、手術不能の乳癌
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用法 |

- 【効能A】

- メチルテストステロンとして、通常、成人1日20〜50mgを経口服用する。なお、症状により適宜増減する。

- 【効能B】

- メチルテストステロンとして、通常、成人1日50mgを無精子症になるまで経口服用する。なお、症状により適宜増減する。

- 【効能C】

- メチルテストステロンとして、通常、成人1日50〜200mgを経口服用する。なお、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
ときに、持続性勃起や陰茎肥大がみられます。逆に、長期大量使用では、かえって睾丸が萎縮し、精液や精子が減少してしまうおそれがあります。
女性では、ニキビ、肌荒れ、声枯れ、多毛、月経異常など、男性ホルモン様作用による症状に注意が必要です。中止をすればほとんど治りますが、声変わりは戻りにくいことがあります。異常に気付いたら早めに受診し、医師とよく相談してください。
そのほか、検査で多くみられるのは、肝機能値の異常です。また、もともと心臓や腎臓の悪い人は、むくみや体重増加とともに、その病状を悪化させるおそれがあります。息切れや動悸など、いつもと違う体の異常に気づいたら、早めに受診してください。
- 持続性勃起、陰茎肥大、睾丸萎縮、精液・精子減少(男性)
- ニキビ、皮膚が油っぽい、毛深くなる、乳房が小さくなる、声枯れ、声が低くなる、陰核肥大(女性)
- 吐き気、吐く、食欲不振
- 肝機能値の異常、黄疸
- 発疹、むくみ、体重増加、脱毛、多幸症状
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