おくすり110番
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成分(一般名) レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール配合
製品例 ジェミーナ配合錠 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 混合ホルモン/卵胞ホルモン,黄体ホルモン混合剤/月経困難症治療剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 生理を軽くし痛みをやわらげるお薬です。おもに月経困難症の治療に用います。また不妊治療にも応用されます。
作用

【働き】

月経困難症とは月経期間中に起こる耐え難い病的症状のことです。いわゆる生理痛とされる下腹部痛や腰痛を主症状とし、頭痛、吐き気、憂うつ、いらいら感なども伴います。その原因から2つのタイプに分かれます。器質性月経困難症と機能性月経困難症です。前者は子宮内膜症や子宮筋腫など器質的疾患がある場合、後者はない場合です。

このお薬は女性ホルモン配合薬です。女性ホルモンの体内分泌をなだらかにする作用があり、排卵を抑え卵巣や子宮を休ませます。結果として、生理が軽くなり、月経困難症が緩和するのです。子宮内膜症においては病巣の活動が低下し、病巣の拡大・悪化を防ぐ効果も期待できます。このような作用から、器質性・機能性を問わず月経困難症の治療に広く使われます。

さらに、不妊治療(生殖補助医療)においても薬事承認され保険がきくようになりました。生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整に用いられます。治療前周期に この薬を一定期間使用、その後中止して消退出血(月経様出血)を誘導することにより、生殖補助医療を行う周期の開始時期を適切に調節することができるのです。

【薬理】

有効成分の女性ホルモン薬が脳下垂体に働きかけ、負のフィードバッグにより性腺刺激ホルモンの分泌が抑えられます。その結果、性腺刺激ホルモンの刺激が弱まり、卵胞の発育が抑制され排卵が起きにくくなるのです。また子宮内膜の増殖が抑えられ、出血も減ります。月経痛は月経血を排出させるための子宮収縮などにより起こりますが、このとき過剰産生される発痛物質プロスタグランジンの産生抑制にもつながります。

配合されているのは2種類の合成女性ホルモンで、黄体ホルモン薬のレボノルゲストレルと、卵胞ホルモン薬のエチニルエストラジオールです。月経困難症の改善作用はおもに黄体ホルモン薬に由来するのですが、卵胞ホルモン薬を配合することにより、卵胞からの持続的な卵胞ホルモン分泌が抑制され、破綻出血が起こりにくくなるものと考えられます。

【臨床試験】

この薬の効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験が行われています。参加したのは器質性または機能性月経困難症の患者さん245人。3つのグループに分かれ、第1のグループは28日周期法(21日服用・7日休薬)で服用、第2のグループは84日周期法(77日服用・7日休薬)、第3のグループはプラセボを服用します。もちろん、どれを飲むかはくじ引きで決め、実薬かプラセボか患者さんにも医師にも知らせません(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験)。

効果の判定は月経3周期における月経困難症スコア(0〜6点)で行います。このスコアは月経困難症の程度(なし:0点〜重度:3点)と月経期間中の鎮痛薬の使用(なし:0点〜3日以上使用:3点)を点数化し合計したものです。症状がなく鎮痛薬を使用しなければ0点、1日以上寝込み仕事や家事が手につかず鎮痛薬を3日以上使用したなら最も重度な6点になります。そして服用前と服用後のスコアの変化量を比較するのです。

その結果、この薬を28日周期で飲んでいた人達は平均1.8点(4.2点→2.4点)低下、84日周期の人達では3.1点(4.2点→1.1点)低下、プラセボの人達は0.9点(4.2点→3.3点)低下しました。プラセボに比べ、この薬のほうが明らかに低下幅が大きく、月経困難症に対する有効性が証明されたわけです。副作用のでかたは既存類似薬と大差なく、安全性についても大きな問題はありませんでした。
特徴
  • 2種類の女性ホルモンを含む‘低用量EP配合薬’です。いわゆるピルと呼ばれる部類で、少量の卵胞ホルモン(E:エストロゲン)と黄体ホルモン(P:プロゲステロン)が配合されています。既存の経口避妊薬(アンジュ、トリキュラー)と同一成分なのですが、月経困難症に対する保険治療薬として新たに開発されました。三相性の避妊薬とは異なり、成分量が1種類の一相性になります。一般的な機能性月経困難症のほか、子宮内膜症などによる器質性月経困難症にも使用可能です。
  • 卵胞ホルモンのエチニルエストラジオール(EE)の含有量は国内最低の0.02mg。超低用量化により、血栓症や乳がんのリスク低減が期待できます。一方で、不正子宮出血の発現率が多少高まる可能性があります。
  • 黄体ホルモンとして採用されているのが、レボノルゲストレル(LNG)。同類薬のなかで血栓症の発現リスクが低いとされる合成黄体ホルモンです。
  • 低用量EP配合薬は、鎮痛薬だけでコントロールできない月経困難症に対する第一選択薬の一つとして位置づけられます。「偽妊娠療法」とも呼ばれ、周期的に服用を続けているあいだ、排卵や月経がおさえられ妊娠しているときと同じような状態になります。当面妊娠の予定のない人、あるいは希望しない人に向く治療法です。必ずしも強力とは言えませんが、副作用が少なく長期の維持療法に向きます。
  • 28日周期法(21日服用・7日休薬)と84日周期法(77日服用・7日休薬)の2通りの飲み方があります。有効性に大きな違いはありませんが、84日周期のほうが月経痛頻度が少ない傾向が示されています。月経パターンなどを考慮のうえ、患者さんの好みや生活様式に応じてどちらかにします。
注意
【診察で】
  • 血栓症など持病のある人は医師に伝えてください。また、服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある人は、医師に伝えておきましょう。
  • 手術の予定があれば、早めに医師と相談してください。
  • 血栓症や発がんリスクをふくめ注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解したうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

卵胞ホルモンによって悪化する乳がんや子宮がんがある人は使用できません。もし異常な性器出血があるのなら、がんでないことを確認してからにします。乳がんの既往歴または家族歴がある人は、セルフチェックを頻繁に行うなど慎重に用いなければなりません。

女性ホルモン薬には、血栓を作りやすくする性質があります。このため、血栓による病気のある人や血栓を起こすリスクの高い人は注意が必要です。たとえば、血栓性静脈炎や肺塞栓症があれば服用禁止です。手術で長期間安静を要する人も、早めに中止しなければなりません。さらに、35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人も禁止されます。

  • 適さないケース..乳がん、子宮がん、血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、目のチカチカなど前兆をともなう片頭痛、重い高血圧症、脂質代謝異常、重い肝臓病、長期間安静状態、手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内、35歳以上で1日15本以上タバコを吸う人、妊娠中、授乳中、骨成長が終了していない可能性がある人など。
  • 注意が必要なケース..子宮筋腫、乳がん既往・家族歴、乳房結節、40歳以上、タバコを吸う人、前兆のない片頭痛、肥満、糖尿病、高血圧、心臓病、肝臓病、腎臓病、てんかんのある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

飲み合わせによっては相互作用を起こします。この薬は、有効成分をぎりぎりまで少なくし、必要最少量で効果を発揮します。このため、作用減弱にとくに気をつけなければなりません。他の病院にかかるときは、服薬していることを必ず伝えてください。

  • C型慢性肝炎治療薬のオムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル(ヴィキラックス)との併用は避けなければなりません。併用により肝機能値が悪化するおそれがあるためです。肝炎治療終了の約2週間後から この薬の服用を再開できます。
  • この薬の効果が低下したり、不正出血しやすくなる飲み合わせがあります。たとえば、結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)とリファブチン(ミコブティン)、てんかんの薬のフェノバルビタール(フェノバール)やフェニトイン(ヒダントール、アレビアチン)、カルバマゼピン(テグレトール)、各種抗生物質、リトナビル配合剤などある種の抗エイズウイルス薬、健康食品のセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)などに注意が必要です。
  • 逆に、作用増強をもたらす薬剤として、抗真菌薬のフルコナゾール(ジフルカン)やボリコナゾール(ブイフェンド)、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン、アタザナビル(レイアタッツ)やインジナビル(クリキシバン)など一部の抗エイズウイルス薬などがあります。
  • 併用薬の作用が減弱する飲み合わせもあります。たとえば、各種血糖降下薬、子宮内膜症治療薬のブセレリン(スプレキュア)、抗てんかん薬ラモトリギン(ラミクタール)、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン、鎮痛薬のモルヒネ(MSコンチン)などです。
  • 一方、併用薬の作用が増強する飲み合わせとして、プレドニゾロン(プレドニン)など各種副腎皮質ホルモン、三環系抗うつ薬、パーキンソン病治療薬のセレギリン(エフピー)、免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、喘息治療薬のテオフィリン(テオドール)、筋緊張緩和薬のチザニジン(テルネリン)、胃炎・胃潰瘍治療薬のオメプラゾール(オメプラール、オメプラゾン)などがあげられます。

【使用にあたり】
  • 2通りの飲み方があります。28日周期法(21日服用・7日間休薬)と84日周期法(77日服用・7日間休薬)です。月経(消退出血)のパターンが異なりますから、好みやライフスタイルを考慮のうえ、医師とよく相談してみましょう。飲み始めは、原則として月経第1〜5日目です。
  • 決められた服薬スケジュールを守ってください。1日1錠を21日間(28日周期法)または77日間(84日周期法)続けます。その後の7日間は飲まないで休薬してください。これを1サイクルとし、以後も同様に連続服用と休薬を繰り返します。飲む時間は、毎日同じにしてください。
  • 通常、休薬期間中に軽い月経(消退出血)があらわれます。それ以外の服薬期間中にも少量の出血(点状出血)があるかもしれません。たいていは心配なく、周期を重ねるにつれ減少すると思います。出血量が異常に多かったり、不正出血が続く場合、逆に月経がまったくない場合は、早めに医師と相談してください。
  • 激しい下痢や嘔吐が続くと、薬の吸収が悪くなり十分な効果が得られません。そのような場合は医師と相談してください。
  • 飲み忘れに注意しましょう。数日飲まないでいると、不正出血を起こしやすくなります。また、妊娠のリスクが高まります。
  • もし飲み忘れたら、気づいたときに服用してください。翌日に気づいた場合は、前日分の1錠を直ちに服用し、当日分も通常の時間に飲んでください。2日以上忘れた場合は、前日分の1錠を直ちに服用し、当日分も通常通り飲んでください。
  • 万一のことですが、血栓症の発現に注意が必要です。緊急を要する症状としては、急な足の痛み、突然の息切れ、胸の痛み、激しい頭痛、視野の異常などです(副作用の項参照)。このような症状が急激にあらわれた場合は、直ちに救急病院を受診し、この薬を飲んでいることを伝えてください。

【検査】
  • 治療に先立ち、服薬に問題ないか検査します。病歴調査をはじめ、血圧測定や乳房・腹部検査、各種臨床検査などを行ないます。さらに続けているあいだは、6ヵ月毎に定期検診を受ける必要があります。
  • 子宮と卵巣の検査を1年に1回以上行ないます。子宮頸部の細胞診については1年に1回実施することが望ましいです。
  • 乳がんのセルフチェックをしてください。とくに、家族歴や乳房に結節のある人はかかさないようにしましょう。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある人は 使用できません。そのため、治療を開始する前に、問診や内診、基礎体温の測定、妊娠検査などにより、妊娠していないことを確認する必要があります。
  • 28日周期法で飲んでいる場合に、月経(出血)が2周期連続して来なかった場合は、妊娠していないか検査する必要があります。もし、妊娠していたら、服薬を中止しなければなりません。
  • 妊娠を希望する場合は、服薬を中止すれば、まもなく自然な排卵と月経がもどってきます。その後、通常どおりの妊娠、出産が可能です。
  • 授乳中は使用しないでください。この薬により、母乳の量的質的低下が起こる可能性があるためです。また、母乳を介し赤ちゃんに薬の影響がでるおそれがあります。

【食生活】
  • 血栓症のリスク要因として、喫煙、血圧変動、寝たきり、体を動かせない状態、脱水、疲労などがあげられます。タバコは控えるべきです。また、長時間飛行や車中泊などで体を動かせない状態が長く続くと、血栓症のリスクが少し高まるかもしれません。水分を多目にとり、できるだけ体(足)を動かすようにしましょう。
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)の飲食はしないでください。飲み合わせにより、この薬の効果が減弱するおそれがあるためてす。
効能

【効能A】

月経困難症

【効能B】

生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整
用法

【効能A】

下記のいずれかを選択する。

  • 1日1錠を毎日一定の時刻に21日間連続経口服用し、その後7日間休薬する。以上28日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、29日目から次の周期を開始し、以後同様に繰り返す。
  • 1日1錠を毎日一定の時刻に77日間連続経口服用し、その後7日間休薬する。以上84日間を1周期とし、出血が終わっているか続いているかにかかわらず、85日目から次の周期を開始し、以後同様に繰り返す。

【効能B】

1日1錠を毎日一定の時刻に、通常、14〜28日間連続経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 予定外の不正出血を起こしやすいです。多くは少量の点状出血程度で心配いりませ。ただし、出血量が多いときや続く場合は医師と相談してください。そのほか、頭痛や吐き気、下腹部痛などもみられます。これらはホルモン環境が一時的に変化するためと考えられ、服薬周期を重ね体が慣れくれると、しだいに軽減してくるものです。不正出血は、飲み忘れでも起こりますから注意してください。

重い副作用はほとんどありませんが、ごくまれに血栓症を引き起こすことがあります。血栓は、血液の固まりによる血管の詰まりです。生じる部位はいろいろで、手足 とくにふくらはぎの痛みやシビレ、突然の息切れや胸の痛み、激しい頭痛、手足の麻痺、話せない、急に視力が落ちるといった症状が前触れとります。万一、そのような症状があらわれたら、直ちに受診してください。

発生頻度はきわめて低いものの、長期使用において、乳がんと子宮がんの発症リスクが少し高まる可能性があります。乳がんについては、自己検診の指導を受け、定期的にセルフチェックをおこなうとよいでしょう。不正出血が続く場合は、子宮がんの検査をおこなう必要があります。いずれにしても、半年ないし1年に1回、これらの検査を含めた定期検診を受ければ安心です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 血栓症..手足とくにふくらはぎの痛み・はれ・むくみ・しびれ、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる。

【その他】
  • 予定外の不正出血(点状出血、破綻出血)
  • 希発月経、無月経、月経過多、下腹部痛
  • 吐き気、食欲不振、腹痛
  • 頭痛、乳房痛、乳房緊満感
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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