概説 |
皮膚の赤みやかゆみをとるお薬です。湿疹や皮膚炎の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 炎症による腫れや赤みをおさえ、かゆみや痛みをやわらげます。細菌感染をともなうか、そのおそれのある湿疹や皮膚炎に適します。

- 【薬理】

- 炎症をとるステロイドの“トリアムシノロンアセトニド”と、細菌をおさえる抗生物質の“フラジオマイシン”が配合されています。
ステロイドには炎症をとる強い作用があるのですが、同時に免疫力を落とし細菌に感染しやすい状態をつくります。抗生物質のフラジオマイシンは、そのような状態における細菌感染を防ぐ働きをします。
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特徴 | ステロイド外用薬の強さは、もっとも強力な1群から、弱めの5群の5段階に分類されます(備考も参照)。このお薬は4群[中程度]に入ります。比較的軽い症状のときに用いるほか、顔などデリケートな患部にも使いやすいです。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 安易に漫然と使用することなく、そのときどきの症状に応じたきめ細かな指導を受けてください。
 【注意する人】
- ウイルスや真菌(カビ)などによる皮膚感染症には原則用いません。また、重いやけどや皮膚潰瘍には不向きです。これらにステロイドを用いると、かえって症状が悪化したり、治りが遅くなるおそれがあるためです。
- 皮膚が薄い顔や首、陰部などは薬が効きやすく、また体内に吸収されやすいです。このような患部に対しは、ステロイドのランクや使用期間を慎重に勘案する必要があります。
- 赤ちゃんの皮膚はデリケートです。このため、症状に応じて薬の強さや、使用量、使用期間を医師が慎重に検討したうえで処方します。
- 高齢の人は副作用がでやすいので、長期大量使用あるいは広範囲の密封法(ODT)にさいしては特に注意が必要です。
- 妊娠中は、長期にわたる大量使用は控えたほうがよいでしょう。大量使用とは1日に5gチューブを使い切るような量です。それ以下の通常量の範囲でしたらまず心配いりません。なお、ステロイド外用薬全般の注意点については、下記備考も参照ください。
 【使用にあたり】
- 症状により使用方法が違います。指示された範囲内で十分量を正しく使用してください。
- 強くこすらないで、軽く塗り付けます。健全な部位にむやみに塗り広げないようにしましょう。
- 一般的には、症状の改善とともに徐々に減量・中止するようにします(医師の指示どおりに)。
- 長期大量使用中に、自分だけの判断で中止してはいけません。急にやめると重い反発症状を起こすおそれがあります。中止するときは、医師の指導のもと段階的に減らしていくようにします。
- 目のまわりはできるだけ避けますが、用いる場合は目に入らないように注意してください。
- よく効くからと、ひげそり後や化粧下に代用してはいけません。
 【備考】
- ステロイド外用薬の強さは、強い順に1群から5群の5段階にランク付けされます(6段階のことも)。「最強(strongest)、非常に強力(very strong)、強力(strong)、中程度(medium)、弱い(weak)」といった分類です。これらを、症状や体の部位、あるいは年齢などに応じ適切に使い分けるようにします。ヒルドイドや尿素軟膏など保湿剤と混ぜて調合することもよくあります。この場合、濃度が薄まりますので、そのぶん少しマイルドになります。分類例をあげると、[最強]デルモベート、ジフラール、ダイアコート。[非常に強力]トプシム、フルメタ、リンデロンDP、アンテベート、マイザー、ネリゾナ、テクスメテン、メサデルム、パンデル。[強力]ボアラ、ザルックス、リンデロンV(VG) 、リドメックス、フルコート、プロパデルム。[中程度]アルメタ、ロコイド、キンダベート、レダコート。[弱い]コルテス、プレドニゾロン、メドロール、デキサメタゾン といった具合です。
- 症状がひどいときは、まず強いステロイドを炎症の“火消し役”として用いることがあります。すばやく炎症をしずめることが治療の第一歩なのです。強いからとこわがって躊躇してはいけませんし、中途半端な使い方もよくありません。医師から指示される十分量を塗るようにしてください。その後、維持療法に向け順次弱いものに切り替えれば大丈夫です。
- 顔は皮膚がうすくステロイドに敏感なので、とくに必要とする場合を除き安易に使用しないことが望ましいとされます。火消し役としてどうしても必要な場合でも、よりマイルドなものが適当です。一般的には[強力]ないし[中程度]以下のランクとし、1〜2週間で炎症がひいたなら、漸減ないしはさらに弱いものに切り替えます。とくに赤ちゃんや子供の肌はデリケートで薬が効きやすいので、ランクを一段下げるなど薬剤の選択や使用期間を慎重に検討する必要があります。逆に、足の裏や苔癬(たいせん)化した湿疹など、皮膚が厚く硬くなっている部分は、より強力なステロイドでないと効きません。そのような部位は、副作用の心配もほとんどないのです。
- ステロイド皮膚症は、強力なステロイド外用薬の安易な長期大量使用時に発症しやすいです。とくに顔や首は要注意。代表的な症状としてあげられるのが、いわゆる“酒さ様皮膚炎”です。毛細血管が浮き出て赤みをおび、まるでお酒飲みの赤ら顔のようにみえるので そう呼ばれます。ときどきみられる“ステロイドざ瘡”では赤または白っぽいニキビのようなものが多発します。さらに、皮膚感染症を引き起こすおそれもあります。皮膚の抵抗力が低下し、細菌やウイルス、真菌などの微生物におかされやすくなるのです。そして、皮膚が強くステロイド依存しているそのようなときに急に中止すると、激しい反発症状(再発・悪化または免疫再構築症候群とも考えられるカポジ水痘様発疹症など)に襲われるおそれがあります。
- おもな大学病院を対象に、アトピー性皮膚炎が悪化して入院した319例の原因調査がおこなわれています(日本皮膚科学会'99)。それによると、ステロイド自体の副作用による悪化が3例だったのに対し、脱ステロイド療法によるものは64例にものぼりました。民間療法を頼り、むやみにステロイドを中止することが非常に危険な行為であることを示しています。同時に、長期大量使用時におけるステロイドからの離脱の難しさ、ステロイドのリバウンドのこわさを物語っているといえるでしょう。いずれにしても、自分だけの判断でやめないで、医師から指示された期間きちんと続けることが大事です。ステロイド外用薬は安易に漫然と使用することなく、重症度の評価を頻繁におこなってもらい、そのときどきの症状に応じたきめ細かな指導を受けるようにしてください。そうすれば、大丈夫です。
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効能 |

- 【適応菌種】

- フラジオマイシン感性菌
 【適応症】
- 湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患//湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎を含む)、乾癬、掌蹠膿疱症
- 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
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用法 |
通常1日1〜数回適量を塗布する。なお、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
外用薬ですので、数日使う程度でしたら、副作用の心配はまずありません。もしも、症状がよくならないときや、かえって悪化するときは早めに受診してください。
長く続けていると、ステロイド特有の皮膚症状がでてくるおそれがあります。酒さ様皮膚炎と呼ばれる皮膚の赤みや萎縮、肌荒れ、にきび、多毛などです。また、細菌や真菌(カビ)などによる新たな感染症にも注意が必要です。さらに、大量連用中に急に中止すると、ひどい反発症状を起こす危険性があります。
飲み薬のような全身性の副作用はまずありませんが、長期にわたり大量に用いている場合など、まったくないとはいえません。大量とは、1日に5gチューブを使い切るような量です。まれなケースですが、ステロイド外用薬の長期大量使用による緑内障や白内障の発症例も報告されています。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 目の重い症状(緑内障、白内障など)..見えにくい、かすんで見える、まぶしい、視力低下、目の痛み、頭痛、吐き気。
 【その他】
- 過敏症..発疹、発赤、かゆみ、刺激感。
- ステロイド皮膚症..皮膚が白くなる、萎縮し薄くなる、てかてか光る、しわ、潮紅、毛細血管拡張、乾燥肌、酒さ様皮膚炎(赤ら顔)、紫斑、ニキビ、多毛。
- 皮膚感染症の誘発・悪化..発赤、かゆみ、痛み、腫れ物、できもの、水ぶくれ、じゅくじゅく、黄色いかさぶた、赤黒いかさぶた。
- 長期大量使用で副腎の働きが弱くなる。
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