概説 |
皮膚のアレルギーをおさえる塗り薬です。アトピー性皮膚炎の治療に用います。 |
作用 | 皮膚の免疫系を強力に抑制します。そうすることで、アレルギー反応が弱まり、皮膚の炎症がおさえられます。ただ、対症療法薬ですので、アトピーの原因そのものを治すことはできません。
実際の効果もよく、ステロイド外用薬と同等の効力があるといわれます(ステロイド3群に匹敵)。とくに顔や首など皮膚のうすい部分での効果がよく、顔の赤みや首の湿疹に向きます。 |
特徴 | このお薬の有効成分は、臓器移植後の拒絶反応予防薬として使われてきました。強力な免疫抑制作用を応用し、アトピー性皮膚炎用の軟膏剤として新たに開発されたものです。小児用は、大人用よりも濃度がうすくできています。
アトピー性皮膚炎に広く使われているステロイド外用薬とは異なります。ステロイド外用薬の長期使用で問題となる皮膚萎縮などの副作用はありません。また中止後のリバウンド症状もほとんどありません。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
- 安易に漫然と使用することなく、そのときどきの症状に応じたきめ細かな指導を受けてください。

- 【注意する人】

- ジュクジュクした潰瘍面や掻き傷のある患部には使用できません。また、腎臓の悪い人は慎重に使用する必要があります。
- 適さないケース..皮膚のバリアが欠損している潰瘍面や皮膚の損傷部位(掻き傷も含む)、感染部位、重い腎臓病の人、妊娠中の女性、紫外線療法を受けている人など。
- 2歳未満の幼児への使用は認められていません。
 【使用にあたり】
- 患部にだけ塗るようにしてください。塗る回数や使用量も守るようにしましょう。
- 目に入らないように注意してください。万一、入ってしまった場合は、すぐに水で洗い流しましょう。
- 塗りはじめに、灼熱感やヒリヒリ感が高率であらわれます。ただ、これはたいてい一時的で、2、3日、長くても1週間程度で軽くなり、その後によい効果がでてきます。
 【食生活】
- 塗布部位は、日光に長時間さらさないようにしてください。
- スキンケアも大切です。皮膚を清潔にたもち、体にあった保湿剤を上手に使ってください。

- 【備考】

- アトピーそのものを治せる薬はありません。アトピー商法にも注意してください。アトピー性皮膚炎の治療は、病状や年齢、体の部位、またそのときどきの症状に応じて、ステロイド外用薬、非ステロイド外用薬、古典的外用薬、保護・保湿薬を上手に使い分けるようにします。アトピーのような慢性の湿疹では、あまり目先の症状にこだわらず、スキンケアや食生活の改善を中心に、長い目で気長に治したほうがよい結果につながるものです。
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効能 |
アトピー性皮膚炎
- ※ステロイド外用剤等の既存療法では効果が不十分又は副作用によりこれらの投与ができないなど、本剤による治療がより適切と考えられる場合に使用する。
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用法 |

- 【用法】

- 通常、小児には1日1〜2回、適量を患部に塗布する。なお、1回あたりの塗布量は5gまでとするが、年齢により適宜減量する。
 【注意】
- 1回あたりの最大塗布量については、以下を目安にする。2歳〜5歳(20kg未満):1g、6歳〜12歳(20kg以上50kg未満):2g〜4g、13歳以上(50kg以上):5g
- 皮疹の増悪期には角質層のバリア機能が低下し、血中濃度が高くなる可能性があるので、本剤の使用にもかかわらず2週間以内に皮疹の改善が認められない場合には使用を中止すること。また、皮疹の悪化をみる場合にも使用を中止すること。
- 症状改善により本剤塗布の必要がなくなった場合は、速やかに塗布を中止し、漫然と長期にわたって使用しないこと。
- 密封法及び重層法での臨床使用経験はないので、密封法及び重層法は行わないこと。
- 1日2回塗布する場合はおよそ12時間間隔で塗布すること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
もっとも多いのは、塗りはじめの刺激症状です。おおよそ60〜70%の人にあらわれます。ただ、一時的ですので、少しがまんすれば、湿疹の改善とともに消失するものです。ひどいときは、早めに受診するようにしてください。
注意が必要なのは、皮膚感染症です。このお薬は、皮膚の免疫力を低下させます。これは主作用であると同時に、皮膚の抵抗力を落とすことでもあります。細菌やウイルスに感染しやすい状態になるということです。たとえば毛のう炎の発現率が約12%、カポジ水痘様発疹症の発現率が約4%という報告があります。とくに後者は重症化することもありますから、十分に注意してください。
また、長期使用における有用性や安全性が必ずしも確かめられているわけではありません。とくに、リンパ腫や皮膚がんの発現リスクを完全に否定することができません。ステロイド外用薬と同様に、医師の指示どおりに慎重に使用する必要があります。
- 皮膚刺激感..灼熱感、ほてり感、ヒリヒリ感、しみる、かゆみなど。
- 皮膚感染症(毛のう炎、伝染性膿痂疹、単純疱疹、カポジ水痘様発疹症、白癬など)..できもの、ブツブツ、水ぶくれ、発赤、かゆみ、発熱。
- ニキビ、皮膚の乾燥、かぶれ。
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