概説 |
尋常性ざ瘡(ニキビ)を治療する塗り薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 尋常性ざ瘡は いわゆるニキビのことです。ホルモンバランスの変化による皮脂の過剰分泌が原因のひとつとされ、毛包内の皮脂貯留と角化異常を特徴とします。さらに、アクネ菌やブドウ球菌などの細菌類が増殖すると、赤みや腫れがいっそうひどくなり炎症性皮疹(赤ニキビ)へと悪化します。
このお薬には2種類の有効成分が配合されています。一つはアクネ菌など細菌類の増殖を抑制する抗生物質のクリンダマイシン、もう一つは殺菌作用と角質剥離作用をあわせ持つ過酸化ベンゾイルです。両方の作用により、非炎症性皮疹(白ニキビ、黒ニキビ)から炎症性皮疹(赤ニキビ)への進展を防ぎ、ニキビの数を減少させることができるのです。

- 【臨床試験】

- この薬の配合剤としての有効性を確認するため、既存のクリンダマイシン単剤(ダラシンTゲル1%)との比較試験がおこなわれています。参加したのは、非炎症性皮疹(白ニキビ、黒ニキビ)が20〜150個、かつ炎症性皮疹(赤ニキビ)が17〜60個ある患者さんです。そして、296人はこの薬を、別の299人はクリンダマイシンを使用し、3カ月後の皮疹数の変化量を調べます。
その結果、この薬を使用していた人達の総皮疹数は平均60個減少(80→20個)、クリンダマイシンの人達で49個減少(80→31個)しました。このうち、非炎症性皮疹はこの薬で37個減少、クリンダマイシンで29個減少、炎症性皮疹はこの薬で23個減少、クリンダマイシンで20個減少しました。総皮疹数の減少数は、この薬のほうが明らかに大きく、クリンダマイシンに対する優越性が検証されたわけです。また、非炎症性皮疹、炎症性皮疹ともに減少しており、いずれにも有効なことが分かりました。
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特徴 |
- 尋常性ざ瘡治療薬としては国内初の配合剤です。リンコマイシン系抗菌薬のクリンダマイシン1%と、殺菌作用と角質剥離作用をもつ過酸化ベンゾイル3%の2成分を含有します。なお、単剤としては、それぞれダラシンT、ベピオゲルとして発売済みです。
- 抗菌作用にくわえ、角質を改善する作用があるので、非炎症性皮疹(白ニキビ、黒ニキビ)と炎症性皮疹(赤ニキビ)が混在する急性期の尋常性ざ瘡に向きます。
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注意 |

- 【診察で】

- アレルギーのある人は、医師に報告しておいてください。
 【使用にあたり】
- ふつう、1日1回、洗顔後に塗布します。決められた患部にだけ使用してください。
- 傷口、目、口唇、鼻の中は避けてください。もし付着した場合はすぐに水で洗い流してください。また、漂白作用により退色しますから、髪や衣類に付かないように注意しましょう。
- 使用期間は医師の指示どおりにしてください。漫然と長期に続けることは好ましくありません。赤みや腫れをともなう炎症性皮疹が消失した場合には、他の維持治療を検討します。
 【食生活】
- できるだけ塗布部位を日光に当てないでください。日焼けランプや紫外線療法もよくありません。紫外線の影響で皮膚が過敏になりやすいからです。
- 洗顔には角質を除去して皮脂を洗い流すという大切な意味があります。朝と入浴時の2回、石鹸を使ってお湯で丁寧に洗顔するとよいでしょう。蒸しタオルを顔にあて毛穴を開いてから洗顔するのもよい方法です。
- 物理的な刺激や圧迫はニキビを悪化させます。患部にむやみに触ったり、髪の毛の刺激もよくありません。頬にニキビがある人は、頬づえをやめたほうがいいです。
- お化粧はニキビを刺激しますし、皮脂を閉じこめてしまいます。できるだけ控えるようにします。必要な場合は、パウダータイプなど影響の少ないものを使うとよいでしよう。夜になったら、メイクや日焼け止めクリームはきちんと落としてください。
- 夜ふかし、便秘、ストレス、疲れ、食事の不規則などもニキビによくありません。規則正しい食生活を心がけましょう。

- 【備考】

- ニキビは病気というより、ひとつの生理現象といえるかもしれません。軽いものが数個程度でしたら、洗顔を中心としたセルフケアで対処可能です。けれど、人によっては大きく赤く腫れたニキビがたくさんできて、あばた状の跡を残してしまうことがあります。このような場合は、過酸化ベンゾイルや外用抗菌剤(この薬)、またはアダパレン(ディフェリンゲル)などによる治療がお勧めです。
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効能 |

- 【適応菌種】

- 本剤に感性のブドウ球菌属、アクネ菌

- 【適応症】

- 尋常性ざ瘡
- 注意:結節及び嚢腫には、他の適切な処置を行うこと。
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用法 |
1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布する。
- [注意1]本剤の使用にあたっては、12週間で効果が認められない場合には使用を中止すること。また、炎症性皮疹が消失した場合には、他の適切な維持治療を検討すること。なお、本剤を12週間を超えて塗布した際の有効性及び安全性は検討されていないため、12週間を超えて塗布する際はその必要性を慎重に判断すること。
- [注意2]本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、疾病の治療上必要な最小限の期間の使用にとどめること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
使用部位の軽い刺激感や皮膚乾燥はそれほど心配ないと思います。多くは軽度で一時的ですので、そのまま継続可能です。かえって赤みや腫れがひどくなり、顔全体に広がるようでしたら、早めに受診してください。
全身性の副作用はまずありませんが、万一、粘液や血液便をともなう頻回の下痢、腹痛、発熱などがあらわれたら直ちに受診してください。このような大腸炎の副作用は、クリンダマイシンの飲み薬や注射薬でまれにみられるものです。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 大腸炎..激しい腹痛、頻回な下痢、発熱、血液便、下血。
 【その他】
- 皮膚乾燥、皮膚の剥がれ、紅斑、かぶれ、腫れ
- 刺激感、ヒリヒリ感、かゆみ
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