概説 |
ビタミンDを補うお薬です。カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にします。 |
作用 | 
- 【働き】

- ビタミンDは「骨のビタミン」ともいわれ、骨や歯の発育に重要な役割をしています。ビタミンDの吸収や代謝に異常を起こすと、骨の性状が悪くなり、痛みを生じたり、骨折しやすくなります。
このお薬は、ビタミンDの活性型製剤です。少量で効率的に作用するので、ビタミンDやカルシウムの代謝異常をともなう病気に広く適応します。とくに、長く透析を受けている人に多発する二次性副甲状腺機能亢進症にともなう骨の病変に有用です。

- 【薬理】

- 小腸や副甲状腺、あるいは骨にあるビタミンD受容体に結合して作用を発揮します。その働きかけにより、腸からカルシウムがたくさん吸収されるようになり、また新しく骨をつ作る“骨芽細胞”を活発にして骨形成を促進します。
別の効能として、血液中のカルシウム分を適度に増やし、透析療法中に発現する副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌を抑制します。副甲状腺ホルモンを適正に保つことは、いわゆる透析骨症(繊維性骨炎)の改善や予防につながります。
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特徴 |
- 分子設計された活性型ビタミンD3製剤です。ビタミンB側鎖をフッ素化することで、作用時間の延長をはかっています。代謝による不活化を受けにくく、低用量で強力かつ持続的な効果を示します。
- 既存の類似薬に比べ、二次性副甲状腺機能亢進症における副甲状腺ホルモン(PTH)分泌抑制作用が強いです。
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注意 |
 【診察で】
- 市販薬も含め、服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中の人は、そのことを話してください。

- 【注意する人】

- 慢性腎不全で高リン血症のある人は、リン吸着薬を用いて血液中のリンの値を下げておくようにします。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- カルシウム剤と併用すると、血液のカルシウム分が増えすぎてしまうことがあります。もし、市販のカルシウム剤をお飲みの場合は、医師に報告しておいてください。
- チアジド系の降圧利尿薬でも、血液のカルシウム分が増えてくることがあります。
- 強心薬(ジギタリス系)と併用するときは、血清カルシウム値に注意する必要があります。血液中のカルシウム分が増えてくると、強心作用が強くなり不整脈がでやすくなるためです。
 【使用にあたり】
- 症状により服用量が違います。指示どおりに正しくお飲みください。脂溶性ビタミンですので、とりすぎてもいけません。
- 血中カルシウム濃度が上がりすぎた場合、いったん中止して様子をみます。数日後、正常値まで低下したなら、減量して再開します。
- 血液中のリンの値が高い場合、リン吸着薬といっしょに飲むことがあります。

- 【検査】

- 尿や血液中のカルシウム濃度を定期的に調べる必要があります。頻繁に、尿の値をチェックすることで、重い高カルシウム血症を事前に防ぐことができます。
 【備考】
- 慢性腎不全で長く透析を受けていると、二次性副甲状腺機能亢進症を併発することが多いです。副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌されるため、骨からのカルシウム流出が激しくなり、いわゆる透析骨症(繊維性骨炎)を起こします。治療目標は、PTHの低下をはかるとともに、血液中のカルシウムとリンの濃度を長期間正常に保つことです。これには、活性型ビタミンD製剤の注射や飲み薬(この薬)、カルシウム受容体作動薬のレグパラ錠などを用います。リンの濃度を下げるには、リン吸着薬を使います。
- ビタミンD欠乏症の“クル病”は、栄養状態が非常に悪かった昔、雪が多く日光の少ない北日本の子供に多く見られました。ビタミンDの不足で骨や歯の発育が悪くなる病気です。最近はほとんどないと思いますが、ビタミンDはクル病の特効薬になります。
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効能 |

- 【効能A】

- 維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
 【効能B】
- 副甲状腺機能低下症(腎不全におけるものを除く)における低カルシウム血症とそれに伴う諸症状(テタニー、けいれん、しびれ感、知覚異常等)の改善
- クル病・骨軟化症(腎不全におけるものを除く)に伴う諸症状(骨病変、骨痛、筋力低下)の改善
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用法 |

- 【効能A】

- 通常、成人は1日1回ファレカルシトリオールとして0.3μgを経口服用する。ただし、年齢、症状により適宜減量する。

- 【効能B】

- 通常、成人は1日1回ファレカルシトリオールとして0.3〜0.9μgを経口服用する。ただし、年齢、症状、病型により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。ただ、薬が効きすぎて、血液中のカルシウム分が増えすぎてしまうことがあります(高カルシウム血症)。はっきりした自覚症状がないことが多いので、定期的に検査を受けるようにしてください。そうすれば心配いりません。高カルシウム血症が続くと、腎臓の働きが悪くなったり、腎結石や尿管結石の原因にもなりかねません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 高カルシウム血症..だるい、脱力感、食欲不振、吐き気、吐く、口の渇き、腹痛、頭痛、めまい、いらいら感、かゆみ、筋力低下、筋肉痛。
- 腎結石、尿路結石..排尿時の痛み、下腹部・横腹・腰・背中の激しい痛み、尿の濁り、血尿。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
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