概説 |
ビオチンを補うお薬です。湿疹や皮膚炎に用います。 |
作用 | この薬‘ビオチン’は、ビタミンの一種です(ビタミンB7またはビタミンH)。その作用はよく分かっていませんが、皮膚を正常に保つなどの役割をしているようです。そのため、湿疹や皮膚炎、ざ瘡(ニキビ)など、さまざまな皮膚疾患に広く適用します。掌蹠膿疱症に対し、ビオチン療法として応用されることがあります。
特殊な使い方として、ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症に応用されます。ビオチンは、ホロカルボキシラーゼ合成酵素の補酵素であるため、生体に含まれる4種類のカルボキシラーゼの活性維持に必要不可欠です。このため、ロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症では標準的な治療薬として位置付けられ、新生児期から大量投与(10r/日以上)が行われます。 |
特徴 |
- ビオチンは、ビタミンB7とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種です。一般的には湿疹や皮膚炎など皮膚疾患に補助的に用いられますが、ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症では必要不可欠な治療薬となります。
- ビオチンは、卵白などに含まれる糖タンパク質であるアビジンと非常に高い結合能を持つため、この特性を利用してアビジン・ビオチン法として免疫組織化学、細胞の標識、免疫沈降など化学分析分野でも広く用いられています。ビオチン大量内服時など、甲状腺ホルモン値などさまざまな検査値異常を生じるおそれがあり注意が必要です。
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注意 |
 【使用にあたり】
- 症状により服用量が異なります。指示どおりに正しくお飲みください。
- ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症では大量内服(10r/日以上)することがあります。

- 【検査】

- 大量内服により、甲状腺ホルモン値などの検査値異常を生じることがあります(TSH、NT-proBNP、HBsAg、HBsAb、AFP、LH、FSH、血中トロポニン)。

- 【食生活】

- ビオチンは、おもに腸内細菌によって産生されます。普通に食事がとれる健康な人では、不足することはありません。バランスのよい食事を十分にとることがなによりです。
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効能 |

- 【適応】

- 急・慢性湿疹、小児湿疹、接触皮膚炎、脂漏性湿疹、尋常性ざ瘡

- 【応用】

- ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症、先天代謝異常症が疑われる代謝性アシドーシス発作(ホロカルボキシラーゼ合成酵素欠損症の可能性がある場合)
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用法 |
ビオチンとして通常成人1日0.5〜2mg(散0.25〜1g、ドライシロップ0.5〜2g)を1〜3回に分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
強い作用がないかわり、副作用はまずありません。
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