概説 |
鉄分を補給するお薬です。鉄不足による貧血などに用います。 |
作用 | 鉄は赤血球の原料です。欠乏すると鉄欠乏性貧血になり、めまいや立ちくらみ、動悸や息切れなどを起こしやすくなります。鉄分の多い食事をとることも大事ですが、一度、体内の鉄分が枯渇すると、食事だけではなかなか回復できません。このような場合に、このお薬で鉄分を補給してあげるわけです。
また、鉄は体内でフェリチンとして蓄えられ、体のいろいろな反応にかかわる酵素の働きにもかかわります。このため、貧血を起こすほどではなくても、フェリチンの減少にともない体調が悪くなることがあります。たとえば、うつ、不眠、めまい、むずむず足、肌荒れといった症状です。このような鉄不足に起因する諸症状にも応用されます。 |
特徴 | 鉄分を含有する鉄剤の一種です。シロップ剤ですので、乳幼児や飲み込みが困難な高齢の人に処方されます。 |
注意 |
 【診察で】
- 胃腸の悪い人など持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 市販薬も含め、服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 胃潰瘍や大腸炎など胃腸に病気のある人は、慎重に用いる必要があります。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 薬の飲み合わせによっては、お互いの吸収が悪くなります。たとえば、ニューキノロン系抗菌薬や、テトラサイクリン系抗生物質、これらの薬効を減弱させるおそれがあります。服用時間を2〜3時間あければ大丈夫です。
また、お茶でこの薬を飲むと、多少吸収が悪くなる可能性があります。それほど気にしなくていいのですが、濃いお茶やコーヒーと同時に飲むのは避けたほうがよいかもしれません。
- 飲み合わせに注意..ニューキノロン系抗菌薬(クラビットなど)、テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシンなど)、セフジニル(セフゾン)、胃腸薬(制酸薬)、甲状腺ホルモン薬(チラーヂン)、濃いお茶類など。
 【使用にあたり】
- 空腹時や寝る前に飲むと吸収はよいのですが、胃を荒らすことがあります。医師の指示によりますが、胃の弱い人は食後に飲んだほうがよいでしょう。
- まもなく貧血症状が改善されますが、その後も2〜6カ月間は続けます。鉄分の体内貯蔵量を十分にするためです。
 【その他】
- 鉄分の吸収を高めるためビタミンCといっしょに飲むことがあります。
- 薬の影響で便の色が黒っぽくなるかもしれません。また、便潜血反応で偽陽性となる可能性があります。
- 一過性に歯が黒っぽく着色することがあります。

- 【食生活】

- 鉄分は、体内に一定量が貯蔵され、寿命のきた赤血球から再利用されます。したがって、ふつう、不足することはありません。ただ、育ち盛りの女子、妊娠中の女性などは不足しがちです。鉄が不足すると、氷など変なものを食べたくなることがあります(異食症)。鉄は、肉類、レバー、ウナギ、ひじき、しじみ、あさり、のり、大豆、ほうれん草などに含まれます。良質なタンパク質といっしょにとることが大切です。バランスのよい食事を十分にとるようにしましょう。
 【備考】
- 血液中の赤血球は、体に酸素を送る役目をしています。貧血は、この赤血球の減少や異常により起こります。ひどくなると顔色が悪くなり、息切れ、疲れ、動悸、めまい、頭が重い感じ・・といった症状がでてきます。いろいろなタイプの貧血がありますが、一番多いのは鉄分の不足による「鉄欠乏性貧血」です。鉄は、赤血球の原料なのです。
- 鉄欠乏性貧血の原因として、体内でなんらかの出血が続いている可能性があります。出血は体内の鉄分を失うことでもあるのです。女性に貧血が多いのは、生理により血液が失われるためです。子宮筋腫など本格的な病気が隠れていることもあります。
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効能 |

- 【適用】

- 鉄欠乏性貧血

- 【応用】

- 鉄不足に起因する諸症状(うつ、不眠、レストレスレッグ症候群など)
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用法 |
通常次の量を1日量とし、3〜4回に分けて経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 1歳未満:2〜4mL
- 1〜5歳:3〜10mL
- 6〜15歳:10〜15mL
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
わりと多いのは、吐き気や腹痛、下痢や便秘などの胃腸症状です。徐々に慣れてくることが多いのですが、ひどいときは受診するようにしてください。空腹時や寝る前に飲んでいるときは、食後に変えることで胃の負担を軽くすることもできます。
重い副作用はまずありませんが、誤って大量に飲んだりすると、胃腸から出血したり、鉄の中毒症状を起こすおそれがあります。とくに、子供の誤飲には注意が必要です。
- 吐き気、吐く、食欲不振、腹痛、下痢、便秘
- 発疹、じん麻疹、かゆみ
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