概説 |
食事がとれないときに用いる総合栄養剤です。 |
作用 | 栄養管理はどんな病気でも大事です。このお薬は、食事がとれないときや消化・吸収力が弱っているときに用いる総合栄養剤です。タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養分がバランスよく配合されています。腸から直接吸収できるように調整されているので、専門的に「経腸栄養剤」と呼ばれています。
ラコールNFには液剤と半固形剤の2種類の製剤があります。液剤は、口から飲めますし、飲めないときは経管投与として鼻の穴(経鼻)または胃や腸に開けた穴(胃瘻、腸瘻)からチューブで胃や腸内に注入することもできます。適用となるのは、胃腸の手術や大きな手術の前後、大やけど、栄養管理が困難ながん、口や食道の病気、膵炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、神経や筋肉の病気あるいは脳卒中の後遺症で飲み込みがうまくできない場合などです。
半固形剤は粘土が高いゲル状の製剤になります。そのメリットは、胃瘻を用いた経管投与が短時間でおこなえること、下痢軽減の期待、さらに胃の機能回復・維持に役立つ点などです。処方が想定されるのは、胃の機能が残存しているものの脳卒中や神経・筋疾患で思うように食事がとれない場合などです。ただし、消化吸収に胃の生理機能が必要なため、投与経路は胃瘻に限ります。胃の手術のあとに腸瘻を利用する場合は使用できませんし、また細くて詰まりやすい経鼻チューブには不向きです。 |
特徴 |
- 経腸栄養剤のうち「半消化態経腸栄養剤」に分類されます。窒素源(タンパク源)として牛乳と大豆が使われているので、ある程度の消化・吸収力が必要です。吸収されたあと、食べ物のかすとして残渣(便)も少し残ります。タンパク質:脂質:炭水化物のエネルギー比は、18:20:62になります。
- 脂質は比較的少なめですが、リノレン酸などω(オメガ)-3多価不飽和脂肪酸の比率(ω-3/ω-6比)が高いのが特徴的です。この特性はクローン病の栄養療法における脂質の悪影響を軽減できるのではと推測されています。
- ラコールNFは、ビタミンK含有量を他の経腸栄養剤と同程度にした新処方製剤です。ビタミンK含有量が多くワルファリンとの相互作用が心配される従来品(ラコール配合経腸用液)は中止となりました。
- 液剤は味が改良され飲みやすくなりました。ミルク味とコーヒー味、バナナ味などがあります。経口投与が可能な液剤にくわえ、胃瘻向けの半固形剤も発売されました。
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注意 |
 【診察で】
- 牛乳アレルギーのある人は、医師に報告してください。
- 外来で処方されましたら、調製方法や使用方法、注意点などについて、よく説明を受けておきましょう。
 【注意する人】
- 牛乳のたん白にアレルギーのある人は使用できません。カゼインという牛乳に由来するたん白質が配合されているためです。
- 重い肝臓病や腎臓病、腸閉塞など、病状によっては使用を控えることがあります。高熱のあるときや、意識がはっきりしないとき、ひどい脱水症状、急性膵炎などにおいては慎重に用います。糖尿病を合併している人は、血糖値の変動に注意が必要です。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 抗血栓薬のワルファリン(ワーファリン)の作用を減弱させるおそれがあります。旧製品に比べ影響は少なくなりましたが、併用のさいは、定期的に血液の固まり具合の検査を受ける必要があります。
 【使用にあたり】
- 病気により、また病状により使用方法が違います。指示された用法用量にならって使用してください。経管投与を前提とする栄養剤ですが、液剤は必要に応じて口から飲むこともできます。
- 液剤を経管投与する場合は、鼻の穴(経鼻)またはお腹に開けた穴(胃瘻、腸瘻)から専用のチューブを通しポンプで注入します。感染予防のため、汚染防止に留意し衛生的におこなってください。
- 液剤は、2倍ほどに希釈し少量で始めるのが一般的です。その後、下痢に注意しながら 徐々に増量していきます。注入スピードが速すぎると、下痢を起こしやすいです。決められた時間でゆっくりとおこなってください。
- 半固形剤は、専用の注入器で胃の穴(胃瘻)から注入します。やはり少量で開始し、様子を見ながら徐々に増量するようにします。消化のために胃の生理機能が必要ですので、術後の場合は胃や腸管の運動機能が回復し、水分の摂取が可能になってからです。
- 液剤は開封直前によく振ってから使用しましょう。半固形剤は開封前に揉んでから使用します。加温する場合は、直火や熱湯を避け、微温湯でおこなってください。
- 原則1回使い切りです。開封後に冷蔵庫内に保存する場合でも、24時間以内に使い切るようにしてください。
- 液剤の味はそれほど悪くありませんが、飲みにくいときは医師か薬剤師に相談してみましょう。ミルク味、コーヒー味、バナナ味、コーン味、抹茶味など異なる味の製品があります。
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効能 |
一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。 |
用法 |

- 【液剤】

- 通常、成人標準量として1日1,200〜2,000mL(1,200〜2,000kcal)を経鼻チューブ、胃瘻又は腸瘻より胃、十二指腸又は空腸に1日12〜24時間かけて投与する。投与速度は75〜125mL/時間とする。経口摂取可能な場合は1日1回又は数回に分けて経口投与することもできる。
また、投与開始時は、通常1日当たり400mL(400kcal)を水で希釈(0.5kcal/mL程度)して、低速度(約100mL/時間以下)で投与し、臨床症状に注意しながら増量して3〜7日で標準量に達するようにする。なお、年齢、体重、症状により投与量、投与濃度、投与速度を適宜増減する。

- 【半固形剤】

- 通常、成人標準量として1日1,200〜2,000g(1,200〜2,000kcal)を胃瘻より胃内に1日数回に分けて投与する。投与時間は100g当たり2〜3分(300g当たり6〜9分)とし、1回の最大投与量は600gとする。
また、初めて投与する場合は、投与後によく観察を行い臨床症状に注意しながら増量して数日で標準量に達するようにする。なお、年齢、体重、症状により投与量、投与時間を適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは下痢です。お腹が張ったり、吐き気がすることもあります。下痢は、注入スピードが速すぎたり、製剤が冷えていると起きやすいです。下痢が続くようでしたら、医師と相談してみてください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー様症状..気持ちが悪い、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
 【その他】
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