おくすり110番
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成分(一般名) チクロピジン塩酸塩
製品例 パナルジン錠100mg、パナルジン細粒10% ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の血液,体液用薬/抗血小板剤/抗血小板剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 血液を固まりにくくするお薬です。血栓や塞栓の治療に用います。
作用

【働き】

血管内で血液が固まり、血流を止めてしまう状態を“血栓”といいます。また、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが“塞栓”です。心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞)がその代表です。血管が詰まってしまうので、その先の組織が障害を受け機能を失ってしまいます。

このお薬は、血液を固まりにくくし血栓を防ぐ‘抗血栓薬’です。血小板の働きをおさえる作用から‘抗血小板薬’とも呼ばれています。おもに、脳の血管が詰まる脳卒中(脳梗塞)の予防に用いられています。とくに、脳の太い動脈がコレステロールなどで狭くなることで起こる「アテローム血栓性梗塞」、あるいは頚動脈の硬化による「一過性脳虚血発作」に効果が高いと考えられています。

そのほか、経皮的冠動脈形成術‘PCI’が適用される狭心症や心筋梗塞、慢性動脈閉塞症による足のしびれや痛みなど、血栓や血流障害に起因する病気に広く用いられています。PCIでは強化療法として基礎薬のアスピリンと併用することが多いです。

【薬理】

血小板膜上のADP(アデノシン二リン酸)受容体サブタイプP2Y12を選択的・非可逆的に阻害することで、血小板の活性化を抑制します。すると、血小板の凝集がおさえられ、フィブリノーゲンという血液の接着成分が結合しにくくなり、結果として血栓形成が抑制されるのです。抗血小板薬の部類ですが、ADP受容体P2Y12へのADPの結合を阻害することから、専門的にADP受容体拮抗薬またはP2Y12受容体拮抗薬と呼ばれることがあります。

【臨床試験】

PCIにおける有効性と安全性を調べるため、類似薬のクロピドグレル(プラビックス)と比較する臨床試験がおこなわれています。参加したのは、PCIを受ける急性冠症候群(急性心筋梗塞や不安定狭心症)の患者さん799人。どちらを飲むかはクジ引きで半々に分かれるようにし、基礎薬として全員がアスピリンを併用します。効果判定の主要評価項目は、試験終了までに心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)を起こした人の割合です。

その結果、心血管イベントの発現割合は、この薬を飲んでいた人達で9.5%(38/399人)、クロピドグレルを飲んでいた人達で10.3%(41/400人)でした。優越性は認められませんが、クロピドグレルと同等の有効性が示されたわけです。一方、副作用の発現率は、この薬で55.3%(219/396人)、クロピドグレルで44.9%(178/396人)と、クロピドグレルより高いことがわかりました。また、重篤な肝障害や血液障害、重大な出血などにより中止に至ったケースもこの薬のほうが多かったです。
特徴
  • チエノピリジン系の抗血小板薬(ADP受容体拮抗薬)です。アスピリンとは作用機序が違います。比較的開発が古く、アスピリン(バイアスピリン)が抗血小板薬として保険適用される前から、脳血管障害などに汎用されてきました。国内外の臨床試験でも、その有効性が確認されています。ただ、最近は他の新薬が開発されたこともあり、昔ほどは処方されなくなりました。
  • 同系のクロピドグレル(プラビックス)やプラスグレル(エフィエント)と比べ、副作用の発現率がやや高いようです。重篤な肝障害や血液障害、血栓性血小板減少性紫斑病の報告例もあります。重症化しないように頻繁な検査が必要です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解しておくことが大切です。
  • 手術や抜歯の予定のある人は、事前に医師と相談しておきましょう。出血が止まりにくくなることがあります。

【注意する人】

血が止まりにくくなるので、出血をともなう病気のある人は使用できません。たとえば、血友病、消化管出血、尿路出血、喀血、眼底出血などです。同様の理由で、手術の2週間くらい前から一時休薬することがあります。肝臓病のある人には原則用いません。

  • 適さないケース..出血をともなう病気、重い肝臓病、白血球減少症
  • 注意が必要なケース..出血傾向のある人、肝臓病や白血球減少症になったことのある人、高血圧、高齢の人、生理中、手術の前後

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • アスピリンやワルファリンなど他の抗血栓薬といっしょに飲むと、相互に作用が増強します。併用する場合は、出血傾向に注意するなど慎重に用います。
  • ある種の鎮痛薬(NSAID)や抗うつ薬(SSRI)との併用により、出血を起こしやすくなる可能性があります。とくに鎮痛薬による消化管出血に注意が必要です。
  • 抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)やフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、喘息の薬のテオフィリン(テオドール)の作用を増強するおそれがあります。
  • 免疫抑制薬のシクロスポリンの作用を減弱することがあります。

【使用にあたり】
  • 症状や治療目的によって飲みかたが違います。指示された用法用量を守ってください。
  • 出血しやすくなります。皮下出血や鼻血など異常な出血がみられたら医師と連絡をとってください。また、歯科をふくめ他科または別の病院を受診する際は、この薬を飲んでいることを必ず医師に伝えてください。

【検査】

定期的に肝機能や血液の検査を受ける必要があります。とくに飲み始めの2カ月間は、2週間ごとにおこなわなければなりません。重い副作用が起きるとしたら、たいてい飲み始めだからです。

【食生活】
  • 出血が止まりにくいかもしれません。運動や危険な作業をおこなう場合は、ケガをしないように注意しましょう。もしも、ひどいケガをしたときは、直ちに受診してください。
  • 食生活の改善も大切です。狭心症や心筋梗塞をふくめ血栓・塞栓症のある人は、禁煙、節酒に努めましょう。タバコは、血栓症の発症率を高める大きな危険因子です。飲酒は、めまいや立ちくらみ、頭痛などの薬の副作用を強めます。ストレスや過労もできるだけ避けてください。
効能

【効能A】

血管手術および血液体外循環に伴う血栓・塞栓の治療ならびに血流障害の改善。

【効能B】

慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛および冷感などの阻血性諸症状の改善。

【効能C】

虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)に伴う血栓・塞栓の治療。

【効能D】

クモ膜下出血術後の脳血管攣縮に伴う血流障害の改善。
用法

【効能A】

チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日200〜300mg(錠:2〜3錠または細粒:2〜3g)を2〜3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【効能B】

チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日300〜600mg(錠:3〜6錠または細粒:3〜6g)を2〜3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【効能C】

チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日200〜300mg(錠:2〜3錠または細粒:2〜3g)を2〜3回に分けて食後に経口投与する。なお、1日200mg(錠:2錠または細粒:2g)の場合には1回に投与することもできる。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【効能D】

チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日300mg(錠:3錠または細粒:3g)を3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

【注意】
  • 投与開始後2か月間は、原則として1回2週間分を処方すること(本剤による重大な副作用を回避するため、患者を来院させ、定期的な血液検査を実施する必要がある)。
  • 手術の場合には、出血を増強するおそれがあるので、10〜14日前に投与を中止すること。ただし、血小板機能の抑制作用が求められる場合を除く。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 出血したり、血が止まりにくくなることがあります。もしも、出血がみられたら、すぐに受診してください。たとえば、歯ぐきの出血、鼻血、皮下出血、血尿などです。重症化することはまれですが、脳出血や消化管出血など重い出血を起こす危険性がないともいえません。

そのほか、重篤な肝障害、無顆粒球症など血液障害、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)などの報告があります。重い副作用の発現率はきわめてまれですが、念のため下記のような初期症状に留意ください。とくに飲み始めの2カ月間は要注意です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重大な出血(脳出血、消化管出血、心嚢内出血、肺出血等)..頭痛、吐き気、嘔吐、しびれ、片側のまひ、うまく話せない、意識もうろう、吐血、血便(赤〜黒い便)、血痰、息苦しい。
  • TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)..だるい、食欲不振、皮下出血(青あざ)、発熱、意識もうろう
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 急性腎障害..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • SLE様症状..筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる。

【その他】
  • 歯ぐきの出血、鼻血、皮下出血(青あざ)、血尿、生理の出血が多い
  • 発疹、かゆみ
  • 胃の不快感、食欲不振、吐き気、腹痛、下痢
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye