概説 |
銅を排泄するお薬です。ウィルソン病の治療に用います。 |
作用 | ウィルソン病は、先天的に銅の代謝・排泄がうまくできない病気です。治療しないでいると、肝臓や腎臓、脳などに銅がたまり、重い肝障害や脳障害を起こします。早期に発見し、きちんと治療を続けることが大事です。
このお薬は、血液中で銅と結合し、尿をとおして体外へと排泄させます。そうすることで体内の銅を減らし、症状を緩和したり、発症を予防することができます。効き方の違う別の亜鉛製剤(ノベルジン)と併用することで、さらに効果が高まり、きびしい銅の摂取制限をゆるめることも可能です。 |
特徴 | 金属と結合するキレート薬の一種です。キレート作用はそれほど強くありませんが、副作用が少なく安全性が高いです。第一選択薬のペニシラミン(メタルカプターゼ)が副作用やアレルギーで服用困難な場合でも、問題なく代用できると思います。 |
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- ほかに重い病気のある人や、薬でアレルギーを起こしたことのある人は、慎重に用います。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 貧血の薬の鉄剤と同時に飲むと、両方の薬の作用が弱まります。併用する場合は、服用時間を2時間以上あける必要があります。
- 基本的に他の薬や飲食物との同時服用は避けます。1時間以上あけて、水だけで飲んでください。
 【使用にあたり】
- 症状によって飲む量や飲み方が違います。指示どおりに正しくお飲みください。ふつう、食前1時間あるいは食後2時間以上あけて空腹時に服用します。
- 亜鉛製剤(ノベルジン)と併用する場合は、1時間以上あけて飲んでください。
- カプセルを開けたり、かんだりせず、多めの水で飲んでください。なんらかの理由で、カプセルの内容物に触れた場合は、すぐに水で洗い流してください。接触性皮膚炎を避けるためです。

- 【検査】

- 長期服用時は、定期的に血液や尿中の銅の量を測定し、効果をチェックするようにします。
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効能 |
ウィルソン病(D-ペニシラミンに不耐性である場合)。 |
用法 |
通常、成人1日6カプセル(塩酸トリエンチンとして1,500mg)を食前空腹時に2〜4回に分割経口服用する。なお、患者の年齢、症状及び本剤に対する反応等に応じて、1日量4〜10カプセル(塩酸トリエンチンとして1,000〜2,500mg)の範囲で増減する。
- 本剤は、食前1時間あるいは食後2時間以上の空腹時に服用し、他剤の服用あるいは食物の摂取から1時間以上の間隔をあけること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少なく、ときに軽い吐き気や胃の不快感を生じる程度です。また、人によっては鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。重い副作用としてSLE様症状が報告されいますが、その発現頻度はきわめてまれです。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- SLE様症状..筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる。
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
 【その他】
- 吐き気、胸やけ、胃の不快感
- 頭痛、ふるえ
- 鉄欠乏性貧血
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