概説 |
お酒をやめるのを助けるお薬です。多量の飲酒で体をこわしている人に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- アルコールの分解過程がおさえられ、少量の飲酒でも不快な悪酔いの状態となります。そのため、お酒がすすまなくなり、断酒や節酒につながります。アルコール依存症(慢性アルコール中毒)をはじめ、多量の飲酒で体をこわしている場合またはそのおそれがある場合に用います。

- 【薬理】

- 体内に吸収されたアルコールはまず肝臓で分解され、有害なアセトアルデヒドに変わります。さらに肝臓内にあるアルデヒド脱水素酵素により体に害のない酢酸に分解されていきます。この薬はアルデヒド脱水素酵素の働きをじゃまして、アセトアルデヒドが分解されにくくします。その結果、有害なアセトアルデヒドが体にたまって、不快な悪酔い症状を引き起こすのです。
|
特徴 |
- 抗酒薬または嫌酒薬と呼ばれています。抗酒薬の働きは、不快な悪酔い症状を引き起こすことで、飲酒欲求をなくすことです。決して万能ではありませんが、心理社会的治療の補助的な治療薬として役立ちます。
- 速効性の水薬で、国内で広く用いられています。同類のジスルフィラム(ノックビン)に比べ、効き目が早く5分くらいで効果があらわれ、約12〜24時間持続します。
|
注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
- 妊娠中の人は、医師にお伝えください。
- ご本人、できたらご家族も含めて、注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

- 【注意する人】

- 重い心臓病や肝臓病、腎臓病、呼吸器に病気のある人など、その病状によっては使用できません。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- このお薬は、アルコールの解毒を止めてしまうので、少量のアルコールでも、ひどい悪酔いの症状がでます。顔面潮紅、悪心、めまい、頻脈、血圧低下などです。したがって、飲酒は原則禁止です。アルコールいいかえればエタノールもしくはエチルアルコールを含む医薬品の併用もできません。また、アルコール分を含む食品や栄養ドリンク、一部の化粧品類にも注意が必要です。
- 飲み合わせの悪い薬..アルコールを含む医薬品(エリキシル剤、薬用酒、栄養ドリンクなど)。
- 飲み合わせに注意..フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、ジギタリス製剤など。
- 食べ合わせに注意..アルコールを含む食品(ブランデー入りケーキ、奈良漬など)
- 使用に注意..アルコール分を含む化粧品(アフターシェーブローションなど)。
 【使用にあたり】
- 症状や治療方針によって飲む量や飲み方が違います。指示どおりに正しくお飲みください。
- 医師の指示によらない飲酒は絶対にいけません。
- 断酒療法をおこなう場合は、服用を始めて1週間後に飲酒試験をおこない、服用量の調整をおこなうことがあります。

- 【検査】

- 服用が長期にわたる場合、定期的に肝機能検査や血液検査をおこないます。
 【食生活】
- 注意力や集中力、反射運動能力が低下することがあります。車の運転など危険な作業は避けましょう。
- アルコール依存症では、カウンセリングなどの精神療法や、断酒会など自助グループへの参加が断酒継続に非常に有効です。そのような心理社会的治療を受けながら、この薬を使用してください。断酒を決意し、強い意志を持ち続けることが大事です。抗酒薬は“断酒の心のささえ”、“断酒のお守り”といわれたりします。「今日も飲まないゾ」朝一番心に誓って服薬するとよいでしょう。
|
効能 |
慢性アルコール中毒及び過飲酒者に対する抗酒療法 |
用法 |
- 断酒療法..シアナミドとして通常1日50〜200mg (1%溶液として5〜20mL)を1〜2回に分割経口服用する。本剤を1週間服用した後に通常実施する飲酒試験の場合には、患者の平常の飲酒量の十分の一以下の酒量を服用する。飲酒試験の結果発現する症状の程度により、本剤の用量を調整し、維持量を決める。
- 節酒療法..飲酒者のそれまでの飲酒量によっても異なるが、酒量を清酒で180mL前後、ビールで600mL前後程度に抑えるには、通常シアナミドとして15〜60mg (1%溶液として1.5〜6mL)を1日1回経口服用する。飲酒抑制効果の持続する場合は隔日に服用してもよい。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
|
副作用 |
おもな副作用は、吐き気や頭痛、倦怠感、不眠などです。ただ、これらは続けているうちに慣れて軽くなることが多いようです。発疹があらわれたら、医師に連絡をとり指示を受けるようにしてください。長く飲み続けていると、肝臓が悪くなることがあります。定期的に肝機能や血液の検査を受けるようにしましょう。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 遅発性の重い過敏症状..発疹、発熱、だるい、吐き気、リンパ節の腫れ、皮膚や白目が黄色くなる。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
 【その他】
|