おくすり110番
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成分(一般名) レパグリニド
製品例 シュアポスト錠0.25mg~0.5mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 糖尿病用剤/グリニド系/速効型インスリン分泌促進剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 血糖値を下げるお薬です。糖尿病の治療に用います。
作用

【働き】

血液中の糖分「血糖」は、膵臓から分泌されるインスリン・ホルモンで調節されます。糖尿病は、そのインスリンの量が不足したり働きが悪くなることで血糖値が上がってしまう病気です。そのまま放置すると、手足のしびれや痛み(神経障害)、目の病気(網膜症)、腎臓病などいろいろな合併症を引き起こします。さらに動脈硬化をすすめ、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高めることになるのです。

このお薬は血糖降下薬です。膵臓に働きかけインスリンの分泌を増やすことで、血糖値を下げます。速やかな作用から、とくに食後高血糖の是正に効果的です。適応症は2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)で、処方の目安は空腹時血糖が126mg/dL以上、または食後血糖値が200mg/dL以上を示す場合です。日々の血糖値を適切に保つことは、将来起こるかもしれないさまざまな合併症の予防につながるのです。

【薬理】

膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進します(膵作用)。もう少し詳しく説明すると、この薬の作用本質は、膵β細胞のスルホニルウレア受容体1(SUR1)と結合することです。その刺激で、ATP感受性カリウムチャネルが閉鎖し、細胞膜の脱分極が起こります。すると、電位依存性カルシウムチャネルが開口、細胞内Ca濃度が上昇することで、インスリン分泌が促進されるのです。このような作用機序から、広く“スルホニルウレア受容体1作動薬(SUR1作動薬)”に分類することができます。

【臨床試験-1】

2型糖尿病の患者さんを2つのグループに分け、この薬と、既存の類似薬ナテグリニド(スターシス、ファスティック)の効果を比較する臨床試験がおこなわれています。はたして どちらが血糖改善効果が高いのかを確かめるのが目的です。効果の判定は平均血糖値の指標となるHbA1c値の変化量でおこないます。

4カ月飲み続けたあとに、HbA1cを検査したところ、この薬を飲んでいた人達は平均1.14低下(平均7.32→6.15)、ナテグリニドを飲んでいた人達は0.83低下(平均7.19→6.38)しました。食後の血糖値が十分に下がるとともに、HbA1cの改善効果がナテグリニドよりも優れていることが示されたのです。

【臨床試験-2】

ビグアナイド系薬剤のメトホルミンで効果不十分な患者さんを対象に、この薬を追加した場合の併用効果を確かめる試験がおこなわれています。患者さんをくじ引きで2つのグループに分け、92人はこの薬(実薬)を、別の36人はプラセボ(にせ薬)を追加併用し、4カ月後のHbA1cを比較します。プラセボには薬理作用がありませんので、プラセボを割り付けられた人達は実質 メトホルミン単独療法を続けることになります。

その結果、この薬を追加した人達のHbA1cは平均1.0低下(7.2→6.2)、プラセボを追加した人達は0.1(7.1→7.2)上昇しました。プラセボではかえって上昇したのに対し、この薬では明らかに低下し血糖がより改善されたわけです。また、別の長期投与試験においても、長期にわたり効果が持続することが確かめられました。さらに、チアゾリジン系薬剤(アクトス)で効果不十分な患者さんを対象にした別の試験でも、同様の有効性が示されています。
特徴
  • グリニド系の新しい血糖降下薬です。化学構造的にはフェニルアラニン誘導体(ベンジルコハク酸誘導体)になります。スルフォニル尿素系(SU薬)ではありませんが、作用する受容体はいっしょなので、広く“スルホニルウレア受容体1作動薬(SUR1作動薬)”に分類されます。
  • 最大の特徴は速効型ということです。この作用特性から、速効型インスリン分泌促進薬とも呼ばれます。食事のすぐ前に飲むことで、食後のインスリン分泌を速やかに増やし、食後の高血糖を改善、正常な血糖推移パターンに近づけるのです。したがって、食後過血糖がみられる人に向くものと考えられます。なお、インスリンの代わりにはならないので、インスリンがまったくでない1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)には無効です。
  • グリニド系の安全面のよいところとして、作用時間が短いことから、重く長びく低血糖症は起こしにくいです。また、旧来のSU薬に比べ、膵臓のβ細胞を弱らせることが少ないと考えられます。
  • 同系のナテグリニド(スターシス、ファスティック)よりも切れ味がよく、持続時間もやや長いです。このため、食後血糖値にくわえ、空腹時血糖値やHbA1cの改善効果も期待できます。一方で、同類薬のなかでは、強い血糖降下作用が長引く傾向があり、低血糖症の発現により注意が必要です。おもに肝臓で代謝、胆汁に排泄されるので、腎障害がある場合にも使いやすいかもしれません。
  • 単独で用いるほか、別系統の薬と併用することも多いです。α-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬、さらにはインスリン注射薬をふくめすべての血糖降下薬と併用可能です。ただし、類似薬のスルフォニル尿素薬との併用は避けなければなりません。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中や、その可能性のある人は申し出てください。妊娠中は服用禁止です。
  • もし、体調が悪ければ、そのことも伝えてください(発熱、食欲がない、下痢をしている・・など)
  • 飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。服用中の薬は、すべて報告しておきましょう。
  • 注意事項や副作用、また、体調が悪いときの飲み方「シックデイルール」などについて十分説明を受けてください。とくに低血糖時の対処法を、ご家族も知っておくことが大事です。
  • 治療中に低血糖症を起こした場合は、必ず医師に報告してください。

【注意する人】

肝臓病や腎臓病がある人、高齢の人、また体の状態が悪いときなどは、血糖値が下がりすぎる低血糖症にとくに注意が必要です。

  • 適さないケース..重症ケトーシス、糖尿病性昏睡、1型糖尿病、重い感染症、重い外傷、手術前後,、妊娠中。
  • 注意が必要なケース..肝臓や腎臓の悪い人、狭心症・心筋梗塞、脳下垂体機能不全、副腎機能不全、下痢や嘔吐のあるとき、栄養不良状態、衰弱状態、不規則な食事やアルコール摂取量の多い人、激しい筋肉運動、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

薬の飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり、低血糖の副作用がでやすくなります。逆に効果が弱くなってしまうケースもあります。他の薬との併用は、医師の判断で慎重におこなわなければなりません。なお、作用点がいっしょのSU系血糖降下薬とは併用しないことになっています。

  • 血糖降下作用を強める薬の例..他の血糖降下薬(とくにインスリン注射薬と併用する場合、インスリンの減量を検討)、解熱鎮痛薬(アスピリンなど)、タンパク同化ホルモン薬、血圧や心臓の薬(β遮断薬、ACE阻害薬など)、抗菌薬(テトラサイクリン系など)、免疫抑制薬のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、抗血栓薬のクロピドグレル(プラビックス、コンプラビン)、抗菌薬のスルファメトキサゾール・トリメトプリム(バクタ、バクトラミン)など。
  • 血糖降下作用を弱める薬の例..副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)、甲状腺ホルモン薬、女性ホルモン薬、利尿薬、結核の薬(イソニアジド、リファンピシン)、安定剤(フェノチアジン系)、抗けいれん薬(フェニトイン)など。
  • アルコールは血糖値を乱し、ときに低血糖発作を誘発します。できるだけ控えてください。飲酒を希望するのなら、医師とよく相談のうえにしましょう。

【使用にあたり】
  • 1日3回、食事の直前に服用しなければなりません(食前10分以内)。言い換えれば、薬を飲んでから直ちに食事をとる必要があるのです。そうしないと、低血糖を誘発する可能性が高まります。服用量、服用時間を厳守してください。
  • 万一飲み忘れたら、その1回分は抜かしてください。絶対に、2回分を1度に飲んではいけません。
  • 体調が悪く、食事がとれていないとき、下痢をしているとき、あるいは激しい運動の前後、疲労のひどいときなどは、薬の量を減らしたり休薬したほうがよいことがあります。そのようなときの対処法(シックデイルール)を医師から聞いておきましょう。
  • 薬の効きすぎによる低血糖症状(副作用の項参照)があらわれたら、すぐに甘いもの(糖分)をとるようにします。糖分としては、吸収の良い砂糖がおすすめで10〜20gをとるようにしてください。外出のときにも持ち歩くようにしましょう。そのほか糖分の多いジュースなどでもかまいませんが、アメ玉は溶けるのに時間がかかるので向いていません。なお、αグルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル等)を併用している場合は、病院から渡されるステイックシュガー(ブドウ糖)をとるようにしてください。すぐに糖分をとれば15分くらいで治ってきますが、医師への報告も忘れないようにしましょう。
  • 万一の重い低血糖症状にそなえ、糖尿病手帳やカードを身につけているとよいでしょう。
  • 低血糖には注意が必要ですが、こわがりすぎて血糖値を高いままにしてはいけません。

【検査】

定期的に血糖値やHbA1c(長期平均血糖値の指標)、その他必要な検査を受け、効果や副作用をチェックするようにしましょう。

【妊娠授乳】

妊娠中は飲み薬ではなく、インスリン注射薬による治療をおこないます。

【食生活】
  • 低血糖によるめまいやふらつきを起こすおそれがあります。車の運転や高所での危険な作業などには十分注意しましょう。
  • この薬を飲みはじめても、食事療法や運動療法をきちんと続けるようにしてください。

【備考】
  • 2型糖尿病では、食事療法や運動療法がとても大切です。アメリカでおこなわれた「糖尿病予防プログラム(DPP)」でも、その重要性が示されています。糖尿病の一歩手前の人(IGT)約3200人を、@プラセボ(にせ薬)を飲む人、A糖尿病治療薬のメトホルミンを飲む人、B食生活を改善する人(強化食事・運動療法)の3つのグループに分け、糖尿病の発症予防効果を比較した試験です。試験の結果、もっとも予防効果があったのはBの「食生活を改善するグループ」でした。
  • 2型糖尿病や境界型の人は、まず食事療法や運動療法からはじめます。医師や栄養士とよく相談のうえ、自分に適したやりかたで日々続けることが大切です。このような基本療法だけで血糖値が十分に下がれば薬を使う必要はありません。けれど不十分な場合は、飲み薬やインスリン注射による薬物治療が必要となってきます。基本療法は、薬を飲みはじめても続けるようにしてください。
  • メトホルミンは別として、飲み薬の最終的な効果(重い合併症を防げるか、長生きできるか)は、必ずしも確かめられていません。一方、インスリン注射薬でより厳格に血糖値をコントロールすると、目の病気(網膜症)や腎臓病などの重い合併症を減らせることが証明されています。2型糖尿病でも、医師からインスリン療法をすすめられた場合は積極的に受け入れてください。
効能 2型糖尿病
用法 通常、成人はレパグリニドとして1回0.25mgより開始し、1日3回毎食直前に経口服用する。維持用量は通常1回0.25〜0.5mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1回量を1mgまで増量することができる。
  • 注意:本剤は食後服用では速やかな吸収が得られず効果が減弱する。効果的に食後の血糖上昇を抑制するため、本剤の服用は毎食直前(10分以内)とすること。また、本剤は服用後速やかに薬効を発現するため、食事の30分以上前の服用では食事開始前に低血糖を誘発する可能性がある。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 もっとも注意が必要なのは「低血糖」です。低血糖とは、必要以上に血糖値が下がってしまう状態です。おおよそ血糖値が50mg/dl以下になると低血糖特有の症状があらわれてきます。ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、力の抜けた感じ、目のちらつき、イライラ、ぼんやり、さらに重くなると、気が遠くなり、けいれんを起こしたり意識を失うこともあります。すぐに糖分を補給しましょう。

そのほかの重い副作用はまずありませんが、肝機能障害や心筋梗塞の報告があるようです。頻度的にきわめてまれと思われますが、狭心症など、もともと心臓の悪い人は注意してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 心筋梗塞..冷や汗、めまい、顔面蒼白、胸の違和感、締め付けられるような胸の痛み。

【その他】
  • 肝機能値の異常
  • 発疹、かゆみ
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye