おくすり110番
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成分(一般名) シタグリプチン リン酸塩/イプラグリフロジン L-プロリン
製品例 スージャヌ配合錠 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 糖尿病用剤/配合剤/選択的DPP-4阻害剤/選択的SGLT2阻害剤配合剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 血糖を下げるお薬です。糖尿病の治療に用います。
作用

【働き】

血液中の糖分「血糖」は、膵臓から分泌されるインスリン・ホルモンで調節されます。糖尿病は、そのインスリンの量が不足したり、働きが悪くなることで血糖値が上がってしまう病気です。そのまま放置すると、手足のしびれ(神経障害)、目の病気(網膜症)、腎臓病(腎症)などいろいろな合併症を引き起こします。さらには動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中をまねくおそれもあるのです。

このお薬には、2種類の血糖降下薬が含まれます。1つは、インクレチン関連薬(DPP-4阻害薬)のシタグリプチン。インクレチンという消化管ホルモンの分解をおさえ、その濃度を高めてインスリン分泌を促します。もう1つは、SGLT2阻害薬のイプラグリフロジンです。こちらは、腎臓での糖再吸収を抑制し、尿中に糖分を排泄させることにより血糖値を下げます。

これら2成分の異なる作用機序により、単独療法を上回る血糖改善効果が得られるのです。適応症は2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)です。ただし、初めから使いません。いずれか1剤で十分な血糖コントロールができない場合に用います。日々の血糖値を適切に保つことは、将来起こるかもしれないさまざまな合併症の予防につながります。

【臨床試験】

シタグリプチンとイプラグリフロジンの併用効果を検証する2つの試験が行われています。一つはイプラグリフロジン単独では効果不十分な患者さん141人が対象。もう一つはシタグリプチン単独療法で効果不十分な2型糖尿病の患者さん143人によるものです。そして、そのまま単独療法を続ける人と、シタグリプチンまたはイプラグリフロジンを追加し併用療法を行う人に分かれ、6カ月後のHbA1c(%)の変化量を比較するのです。HbA1cは糖化ヘモグロビンの割合で、一定期間の血糖の状態を示す重要な指標です。合併症予防のための目標値は7.0未満とされます。

その結果、第1の試験でイプラグリフロジン単独療法を続けた人達のHbA1cの変化量は平均0.1増加(8.08→8.10)、シタグリプチンを追加し併用療法をおこなった人達では0.7低下(8.01→7.27)。また、第2の試験でシタグリプチン単独療法を続けた人達のHbA1cは平均0.1低下(7.99→7.86)、併用療法としてイプラグリフロジンを追加した人達は0.8低下(8.05→7.20)しました。どちらの試験でも単独療法ではほとんどHbA1cの変化がなく高いままだったのに対し、併用療法では明らかに低下し より良好な血糖コントロールが達成できたわけです。
特徴
  • インスリン分泌促進系のDPP-4阻害薬と尿糖排泄促進作用をもつSGLT2阻害薬が配合される2型糖尿病治療薬です。前者としてシタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)、後者にはイプラグリフロジン(スーグラ)が採用されます。この組み合わせは、実際の医療現場でもしばしば処方されています。作用機序が異なる2剤の併用により、血糖降下作用のいっそうの増強が見込めるのです。
  • DPP-4阻害薬によるインスリン分泌促進作用は血糖依存性であり、またSGLT2阻害薬はインスリンとは関係なく作用します。低血糖症の発現リスクが比較的低い組み合わせです。
  • 原則、第一選択薬とはしません。まずは、単剤での治療を優先します。処方対象となるのは、いずれか1剤で効果不十分な場合、あるいは2剤以上の多剤併用をすでにおこなっている場合です。
  • 配合剤ですので、2剤による併用療法が簡便におこなえます。以前のように別々に飲む必要がなく、服薬回数も1日1回で済みます。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 妊娠中または妊娠している可能性のある人は申し出てください。
  • 体調が悪ければ、そのことを伝えてください。発熱、下痢、吐き気で食べられないときなどです。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。とくに低血糖時の対処法をご家族も知っておくことが大事です。
  • 治療中に「低血糖症」を起こした場合は、必ず医師に報告してください。

【注意する人】

インスリン注射が必須の1型糖尿病や、インスリン分泌能力が著しく低下している重い糖尿病には向きません。また、腎臓が悪いと十分な効果がでない可能性があるため処方を控えることがあります。膀胱炎や腟カンジダ症など尿路・性器感染がある人は、病状の悪化に気をつけてください。高齢の人は低血糖や脱水症にいっそうの注意が必要です。

  • 適さないケース..1型糖尿病、糖尿病性昏睡、重症ケトーシス、重い外傷、重症感染症、手術前後などでインスリンが適用となる場合、高度腎機能障害、透析中の末期腎不全。
  • 注意が必要なケース..腎臓病、重い肝臓病、尿路・性器感染、排尿困難などがある人、尿量の少ない人、脳下垂体機能不全または副腎機能不全のある人、栄養不良、衰弱状態、不規則な食事や食事摂取量が不足している場合、アルコール摂取量の多い人、他の血糖降下薬を使用している人、脱水を起こしやすい人、高齢の人、激しい筋肉運動をおこなう場合など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 他の血糖降下薬といっしょに飲むときは、低血糖症に注意が必要です。とくにスルホニルウレア系薬剤、速効型インスリン分泌促進薬またはインスリン注射薬と併用するさいは、その減量を考慮しなければなりません。該当するのはグリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)、グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)、ナテグリニド(スターシス、ファスティック)、ミチグリニド(グルファスト、グルベス)、レパグリニド(シュアポスト)などです。
  • ほかにも、血糖降下作用を強める薬剤があります。たとえば、高血圧や不整脈の治療に用いるβ遮断薬、解熱鎮痛薬としての高用量アスピリン、フィブラート系高脂血症治療薬(ベザトール、リピディル、トライコア等)などです。
  • 逆に、血糖降下作用を弱める薬剤として、ステロイド薬(プレドニン等)や甲状腺ホルモン薬(チラーヂン等)などがあります。使用中の薬を忘れず報告しましょう。
  • 利尿薬の作用を増強します。併用のさいは、利尿薬の減量を考慮するとともに、脱水の発現に注意が必要です。利尿薬は高血圧をはじめいろいろな病気に処方されます。
  • アルコールは血糖値を乱し、ときに低血糖発作を誘発します。できるだけ控えてください。飲酒を希望するなら、医師とよく相談のうえにしましょう。

【使用にあたり】
  • 飲み方は医師の指示通りにしてください。通常は1日1回、朝食前または朝食後に1錠飲みます。
  • もし飲み忘れたら、その分は抜かし、翌朝に通常どおり1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 低血糖症に注意してください。症状は副作用の項にあります。症状があらわれたら、すぐ糖分をとってください。吸収のいい砂糖がおすすめです。10〜20gをとりましょう。そのほか甘いジュースでもかまいませんが、アメ玉は溶けるのに時間がかかるので向きません。なお、αグルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル等)を併用している場合は、病院から渡されるステイックシュガー(ブドウ糖)にしてください。糖分を十分とれば15分くらいで治ってきます。外出のさいも持ち歩きましょう。
  • 低血糖には注意が必要ですが、こわがりすぎて血糖値を高いままにしてはいけません。

【検査】

血糖値やHbA1cをはじめ、必要な検査を定期におこない、効果や副作用をチェックします。腎臓病のある人は腎機能の検査も重要です。なお、糖が尿中に排泄されるため尿糖検査が陽性になります。

【妊娠授乳】
  • 妊娠中は飲み薬ではなく、インスリン注射薬による治療を優先します。
  • 授乳中も控えてください。母乳に薬が移行する可能性があります。

【食生活】
  • この薬を飲みはじめても、食事療法や運動療法をきちんと続けましょう。
  • 低血糖の症状があらわれたら、前述のとおり 直ちに糖質を摂取してください。万一の重い低血糖症にそなえ、糖尿病手帳やカードを身に付けるとよいでしょう。
  • 低血糖によるめまいやふらつき、さらには意識障害を起こすおそれがあります。車の運転や高所作業のさいは十分注意してください。
  • 適度な水分補給を心がけてください。副作用(利尿作用)による脱水症を防ぐためです。

【備考】
  • 2型糖尿病では、食事療法や運動療法がとても大切です。アメリカでおこなわれた「糖尿病予防プログラム(DPP)」でも、その重要性が示されています。糖尿病の一歩手前の人(IGT)約3200人を、@プラセボ(にせ薬)を飲む人、A糖尿病治療薬のメトホルミンを飲む人、B食生活を改善する人(強化食事・運動療法)の3つのグループに分け、糖尿病の発症予防効果を比較した試験です。試験の結果、もっとも予防効果があったのはBの「食生活を改善するグループ」でした。
  • 2型糖尿病や境界型の人は、まず食事療法や運動療法からはじめます。医師や栄養士とよく相談のうえ、自分に適したやりかたで日々続けることが大切です。このような基本療法だけで血糖値が十分に下がれば薬を使う必要はありません。けれど不十分な場合は、飲み薬やインスリン注射による薬物治療が必要となってきます。基本療法は、薬を飲みはじめても続けるようにしてください。
効能 2型糖尿病。ただし、シタグリプチンリン酸塩水和物及びイプラグリフロジン L-プロリンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。
用法 通常、成人は1日1回1錠(シタグリプチン/イプラグリフロジンとして50mg/50mg)を朝食前又は朝食後に経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 低血糖症が重要です。とくに他の血糖降下薬と併用する場合は十分注意してください。低血糖とは、必要以上に血糖値が下がってしまう状態です。おおよそ血糖値が50mg/dl以下になると低血糖特有の症状があらわれます。ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、力の抜けた感じ、目のちらつき、さらに重くなると、気が遠くなり、けいれんを起こしたり意識を失うこともあります。すぐに糖分を補給しましょう。

利尿作用にもとづく副作用として頻尿や多尿がみられます。場合によっては脱水につながります。脱水は、ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群をまねき、さらには腎障害、不整脈、脳梗塞を含む血栓・塞栓症をのリスクを高めますから油断できません。のどが渇く、尿量増加、排尿回数が増える、めまいや脱力感などがあらわれたら医師に相談してください。予防のため適度な水分補給が大事です。

ケトアシドーシスとは、糖排泄にともないエネルギー源として脂肪酸の代謝が亢進し、脂肪酸の分解物のケトン体により血液が酸性に傾くことをいいます。血糖値が高くなくても発現することがあり、とくに、インスリン分泌能が低下している人、インスリン注射の減量・中止時、過度な糖質制限、不規則な食事や食事摂取量の不足、感染症や脱水を伴うときなど要注意です。症状として、食欲不振、吐き気や嘔吐、腹痛、のどが渇く、けん怠感、息苦しい、意識がうすれるといった症状があらわれます。このような場合は直ちに受診してください。

意外かもしれませんが、膀胱炎など尿路感染症、膣カンジダ症をはじめとする性器感染症があらわれることがあります。これは尿中に糖分が多くなり、尿路や陰部で微生物が繁殖しやすくなるためです。まれなケースですが、腎盂腎炎、陰部壊疽、敗血症など重篤な感染症に至った例も報告されています。発熱、頻尿、排尿痛、陰部や性器周辺の痛みや腫れ・赤み、脇腹の痛みまたは背部痛などがあらわれたら直ちに受診してください。

発現頻度はきわめて低いのですが、急性膵炎を起こす可能性があります。嘔吐や激しい腹痛が続く場合は、すみやかに医師の診察を受けるようにしてください。ほかにも肝障害や腎不全、腸閉塞、横紋筋融解症などの報告があるようです。ひどい倦怠感、吐き気、発熱、皮膚や白目が黄色くなる、尿が出ない、腹部膨満、便秘、筋肉痛や脱力といった症状に注意し、そのような場合は医師と連絡をとり適切な指示を受けてください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
  • 脱水..のどが渇く、多尿、頻尿、さらに進むと尿が少ない・出ない、脱力、立ちくらみ、めまい、血圧低下、意識もうろう。
  • ケトアシドーシス..吐き気、吐く、腹痛、食欲減退、のどが渇く、けん怠感、息苦しい、息が荒い、深く大きい呼吸、意識低下。
  • 腎盂腎炎、陰部壊疽、敗血症..発熱、寒気、陰部や性器周辺の強い痛み・腫れ・発赤、脇腹や背部の痛み、腰痛、高熱、吐き気、けん怠感、意識低下。
  • 腸閉塞..お腹が張る・膨れる、吐き気、吐く、便秘、腹痛。
  • アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳込む、ゼーゼー息苦しい。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
  • 膵炎..吐き気、吐く、持続的な激しい腹痛、上腹部または腰から背中の激痛、発熱。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 横紋筋融解症..手足のしびれ・こわばり、脱力、筋力低下、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
  • 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。

【その他】
  • 頻尿、多尿、のどが渇く
  • 膀胱炎など尿路感染症(頻尿、排尿痛、残尿感)、膣カンジダなど性器感染症(性器・陰部の発赤、かゆみや痛み)
  • 便秘、腹痛、腹部不快感
  • 腎機能の異常、血中ケトン体増加、肝機能値の異常
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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