概説 |
手足のしびれや痛みを改善するお薬です。糖尿病による末梢神経障害に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 糖尿病の合併症でもっとも多いのは糖尿病性末梢神経障害です。神経細胞の働きが悪くなり、手足のしびれ、知覚の麻痺、神経痛などが現れます。
このお薬は、そのような末梢神経の異常症状をやわらげます。強力な作用があるとはいえませんが、わりと軽い初期症状に対して、ある程度の効果が期待できます。

- 【薬理】

- 末梢神経の働きをおかしくするソルビトールという糖分をおさえる作用があります。その作用機序は、ブドウ糖をソルビトールに変換する「アルドース還元酵素」の働きをじゃますることです。結果的に、神経細胞内のソルビトールが少なくなり、神経の働きがよくなると考えられます。
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特徴 |
- 糖尿病性末梢神経障害の治療に広く用いられています。ただ、すべての人に効くわけではなく、効かない人にはまったく効きません。糖化ヘモグロビンが高いことを、使用目安とします。
- はっきりした効果がないこともあり、海外では使われていません。日本だけのローカルドラッグです。
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注意 |
 【使用にあたり】
- ふつう、1日3回毎食前に1錠飲みます。
- 3カ月以上飲んでも、効果がないときは医師と相談してみてください。効果がないまま、漫然と続けても意味がありません。
- 尿がオレンジ色に変色するのは、薬の色なので心配いりません。ただ、ビリルビンやケトン体の尿検査に影響することがあります。

- 【検査】

- 定期的に血糖値や糖化ヘモグロビン、その他必要な検査を受け、効果や副作用をチェックするようにしましょう。
 【備考】
- 2型糖尿病では、食事療法や運動療法がとても大切です。アメリカでおこなわれた「糖尿病予防プログラム(DPP)」でも、その重要性が示されています。糖尿病の一歩手前の人(IGT)約3200人を、@プラセボ(にせ薬)を飲む人、A糖尿病治療薬のメトホルミンを飲む人、B食生活を改善する人(強化食事・運動療法)の3つのグループに分け、糖尿病の発症予防効果を比較した試験です。試験の結果、もっとも予防効果があったのはBの「食生活を改善するグループ」でした。
- 2型糖尿病や境界型の人は、まず食事療法や運動療法からはじめます。医師や栄養士とよく相談のうえ、自分に適したやりかたで日々続けることが大切です。このような基本療法だけで血糖値が十分に下がれば薬を使う必要はありません。けれど不十分な場合は、飲み薬やインスリン注射による薬物治療が必要となってきます。基本療法は、薬を飲みはじめても続けるようにしてください。
- メトホルミンは別として、飲み薬の最終的な効果(重い合併症を防げるか、長生きできるか)は、必ずしも確かめられていません。一方、インスリン注射薬でより厳格に血糖値をコントロールすると、目の病気(網膜症)や腎臓病などの重い合併症を減らせることが証明されています。2型糖尿病でも、医師からインスリン療法をすすめられた場合は積極的に受け入れてください。
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効能 |
糖尿病性末梢神経障害に伴う自覚症状(しびれ感、疼痛)、振動覚異常、心拍変動異常の改善(糖化ヘモグロビンが高値を示す場合)。 |
用法 |
通常、成人はエパルレスタットとして1回50mgを1日3回毎食前に経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうですが、ときに、吐き気や嘔吐、下痢や腹痛など胃腸症状があらわれます。また、人によっては肝臓の働きが悪くなることがあります。重い肝障害も報告されていますので、定期的に肝機能検査を受けたほうが安心です。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
 【その他】
- 吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛
- 肝機能、腎機能の異常
- 発疹、発赤
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