概説 |
血糖を上げるお薬です。「高インスリン血性低血糖症」の治療に用います。 |
作用 | 高インスリン血性低血糖症は、インスリンの異常分泌により低血糖症状を起こす病気です。おもに新生児や乳幼児に発症し、適切に治療をおこなわないと発育に悪影響し、場合によっては命にもかかわります。
このお薬は、インスリンの分泌を抑制し、血糖値を適正に上昇させます。国内の服用者約70人に基づくある調査報告によると、血糖値は治療開始1ヵ月後に正常値(80mg/dL)に上昇し、その後5年間同程度の値で推移したということです。 |
特徴 |
- 国内初の高インスリン血性低血糖症治療薬。長期使用が可能な唯一の治療薬です。化学構造的にはベンゾチアジアジン誘導体になります。
- 海外では以前から第1選択薬として使用されており、厚生労働省の未承認薬検討会議から早期の導入が求められていました。投与対象となる国内患者数は200〜250人程度と推定されています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 腎臓が悪いと薬の排泄が遅れ、副作用が強く出るおそれがあります。そのため、服用量の減量を考慮します。心不全のある人は病状の悪化に注意が必要です。
- 注意が必要なケース..腎臓病、心臓病、高尿酸血症・痛風のある人、小児。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせによっては、効果が弱くなったり副作用が出やすくなります。抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)をはじめ、利尿薬や降圧薬、血糖降下薬などとの併用により相互作用を起こすおそれがあります。市販薬を含め使用中の薬を医師に報告しておきましょう。
 【使用にあたり】
- 症状によって飲む量や飲み方が違います。指示どおりに正しくお飲みください。一般的には、やや少な目で開始し、臨床症状や血糖値をみながら最適な用量に調整していきます。
- 飲み始めから数日で血糖値が安定してきます。2〜3週間続けても効果がない場合は、中止することになっています。

- 【検査】

- 長期服用時は、血糖や尿糖、尿ケトン値などを定期的に検査しなければなりません。腎臓の悪い人は、血液の電解質に異常が出ていないか随時チェックします。
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効能 |
高インスリン血性低血糖症 |
用法 |
- 1歳以上の幼小児及び成人..通常、ジアゾキシドとして1日3〜8mg/kgを2、3回に分割し、8あるいは12時間ごとに経口服用する。ただし、服用開始時は1日3〜5mg/kgを2、3回に分割服用する。
- 1歳未満の乳児..通常、ジアゾキシドとして1日8〜15mg/kgを2、3回に分割し、8あるいは12時間ごとに経口服用する。ただし、服用開始時は1日5〜10mg/kgを2、3回に分割服用する。
- なお、いずれの場合も、血糖値に応じて適宜増減するが、1日最大服用量は20mg/kgまでとする。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
人によっては胃腸の調子が少し悪くなるかもしれません。食欲が落ちたり吐き気をもよおしたりします。また、長く続けていると、体毛が増えてくることがあります。気になるときは、医師とよく相談してください。
重い副作用として、重篤な体液貯留やうっ血性心不全を起こすことがあります。症状は、顔や手足のむくみ、体重増加、疲れやすい、息切れなどです。もともと心臓の弱っている人は十分注意してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重篤な体液貯留、心不全、心嚢液貯留..息切れ、息苦しい、胸が苦しい、疲れやすい、むくみ、体重増加。
- ケトアシドーシス、高浸透圧性昏睡..息苦しい、息が荒い、脱力、筋肉痛、動悸、吐き気、腹痛、意識がうすれる。
- 膵炎..吐き気、吐く、持続的な激しい腹痛、上腹部または腰から背中の激痛、発熱。
- 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
- 肺高血圧症..息苦しい、息切れ、胸が痛い、チアノーゼ、疲れやすい、むくみ、気を失う。
- 壊死性腸炎(新生児)..嘔吐、腹部膨満、下痢、血便。
 【その他】
- 食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛
- 浮腫(むくみ)、多毛症、発疹
- 尿酸増加、血小板減少
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