おくすり110番
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成分(一般名) エルトロンボパグ オラミン
製品例 レボレード錠12.5mg~25mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の代謝性医薬/その他/経口造血刺激薬/トロンボポエチン受容体作動薬

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 赤血球、白血球、血小板など血球を増やすお薬です。特発性血小板減少性紫斑病や再生不良性貧血の治療に用います。
作用

【働き-A】

血小板が減る病気のひとつに「特発性血小板減少性紫斑病」があります。難病に指定され、その原因はよく分かっていませんが、近年、自己免疫疾患と理解されるようになりました。自己抗体により血小板が破壊され、また産生が抑制されるため、血小板が不足してしまうのです。この抗原・抗体反応においては、胃のなかのピロリ菌の関与も疑われています。

血小板は、血液を固め出血を止める大事な役割をしています。血小板の数がおおよそ5万/μL以下になると出血症状が出始めます。おもな症状は皮下出血で、皮膚にあらわれる紫斑(青あざ)や点状出血(血まめ)が特徴的です。鼻血、歯肉出血、血尿などもみられます。さらに低下すると、脳出血や消化管出血など、重大な出血を起こす危険性もでてきます。

このお薬は、そのような特発性血小板減少性紫斑病に用いる造血刺激薬です。別名をトロンボポエチン受容体作動薬と呼ばれるように、血小板の生成を促進するトロンボポエチンの受容体に作用することで、血小板を増やします。血小板が増加すれば、出血症状も改善します。処方の対象となるのは、血小板数や臨床症状からみて出血リスクが高く、また他の治療で十分な効果が得られない場合です。

【働き-B】

「再生不良性貧血」は、骨髄の造血幹細胞が減少し、血球が十分つくれなくなる病気です。赤血球、白血球、血小板などすべての血球が不足するため、いろいろな症状があらわれます。赤血球減少による疲れ、息切れ、動悸、めまいといった貧血症状、血小板の不足による皮下出血、鼻血、歯肉出血などです。さらに白血球が極端に減少すると重い感染症にかかりやすくなります。

このお薬はそのような再生不良性貧血に有効です。造血幹細胞を活性化し血球数を増やすことにより、再生不良性貧血にともなう諸症状を改善します。おもに中等症以上に用いられますが、軽症例でも血球減少が進行している場合や血小板数が相当に減少している場合は処方が考慮されます。重症例では骨髄移植が第一選択枝となります。ただ年齢制限などで移植が困難な場合も多いです。その場合、抗胸腺細胞免疫グロブリン(サイモグロブリン)とシクロスポリン(ネオーラル)との併用療法が検討されます。

【薬理】

血球は、造血幹細胞や巨核球系をふくめた骨髄前駆細胞から造られます。この過程に関与しているのがトロンボポエチン(TPO)という造血因子です。この薬は、骨髄前駆細胞にあるトロンボポエチンの受容体に働きかけますが、受容体に直接結合するのではなく、受容体膜貫通領域と特異的に相互作用することにより、トロンボポエチンと同様の信号を細胞内に送ります。この信号により 細胞内の伝達経路(JAK-STAT、MAPK)が活性化し、血球への分化・増殖が促進されるのです。このような作用メカニズムから「トロンボポエチン受容体作動薬」と呼ばれています。

【臨床試験-A】

慢性特発性血小板減少性紫斑病に対する有効性を検証する試験がおこなわれています。治療歴があり血小板数3万/μL以下の197人を対象に、プラセボ(にせ薬)と効き目を比較する二重盲検比較試験です。その結果、プラセボを飲んでいた人達(62人)は、血小板数中央値が3万を超えずほとんど変化しませんでした。一方、この薬を飲んでいた人達(135人)は、服用後すぐに血小板が増え始め、2週以降の中央値は6万前後で推移。また、重大な出血症状の発現頻度は、プラセボのグループに比べ65%低くなりました。この薬により、血小板数が増加するとともに、出血リスクが低下することが証明されたわけです。

【臨床試験-B】

再生不良性貧血に対する試験が国内で2つおこなわれています。1つは、病状が中等症以上で未治療の患者さん10人による臨床試験です。評価項目は、既存治療である抗胸腺細胞免疫グロブリン/シクロスポリン併用療法に、この薬を追加したときの奏効率です。奏効率は寛解(輸血非依存かつ血球数の改善)が得られた患者さんの割合と定義されました。その結果、治療6カ月後の奏効率は70%(7/10人)でした。残念ながら比較試験ではありませんが、既存治療の奏効率は40%前後とされることから、この薬を追加併用したときの有効性が十分期待できるわけです。

2つめの試験は、既存治療で効果不十分な患者さん21人による試験です。評価項目は、この薬を追加併用した場合の奏効率です。このときの奏効率は、いずれかの血球の改善または輸血量の減少を認めた人の割合と定義されました。その結果、治療6カ月後の奏効率は48%(10/21人)でした。やはり比較試験ではありませんが、既存治療無効例に同じ治療を再度試みた場合の有効率は20%前後とされますので、この薬を追加することにより治療効果がより高まると推測されるのです。
特徴
  • 世界初の飲み薬の造血刺激薬です。作用機序からトロンボポエチン受容体作動薬とも呼ばれます。血球数を増加させる作用から、特発性血小板減少性紫斑病または再生不良性貧血の治療に用いられます。
  • 特発性血小板減少性紫斑病においては、最初から用いません。第一に優先するのは、完治が期待できるヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法です。ピロリ菌が陰性または除菌効果無効例に対しては、ステロイド療法や脾臓摘出、さらにはこの薬による治療が検討されます。
  • 再生不良性貧血に対し適応拡大しました。移植非適応でやや重症以上における標準治療は抗胸腺細胞免疫グロブリン/シクロスポリン併用療法ですが、この薬を追加することにより治療効果がいっそう高まります。
注意
【診察で】
  • 肝臓病など持病のある人、またアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
  • 胃腸薬など別に薬を飲んでいる場合は、医師に報告してください。

【注意する人】

肝機能値を悪化させることがあるので、もともと肝臓病のある人は慎重に用います。また、心筋梗塞や脳卒中をふくめ血栓塞栓症の病歴がある人は、医師に伝えてください。

  • 注意が必要なケース..肝臓病、腎臓病、血栓塞栓症の素因のある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 他の薬あるいは飲食物と同時に飲むと、十分に吸収されない可能性があります。とくに、カルシウムやマグネシウム製剤、鉄剤、胃腸薬(アルミニウムやマグネシウム分を含む制酸剤)、また乳製品との同時服用は避けなければなりません。この薬の服用前4時間および後2時間は、これらの服用または飲食を避けてください。
  • 牛乳など水以外の飲み物や食べ物と一緒に飲むと、吸収率が低下します。ミネラル分の多いミネラルウォーターもよくありません。水道の水で飲むのが一番無難です。
  • コレステロール低下薬のロスバスタチン(クレストール)と併用すると、ロスバスタチンの血中濃度が上昇するかもしれません。

【使用にあたり】
  • 服用量は医師が決めます。飲む時間は1日1回空腹時です。飲食物の影響を受けやすいので、食事の前後2時間は避けてください。ミネラルウォーターではなく、普通の水で飲みましょう。
  • 治療開始後も、血小板数や出血リスクに応じ服用量を適宜調節します。血小板数が必要以上に増加した場合、減量またはいったん休薬することがあります。
  • 自分だけの判断で中止してはいけません。飲むのをやめてしまうと、血小板が急激に減少し、出血を起こしてしまうおそれがあります。
  • 万一飲み忘れた場合、その分は飲まないでください。翌日の服用量は通常どおりとします。2回分を一度に飲んではいけません。

【検査】
  • 定期的に血液検査を実施します。血小板数が治療目標の範囲内であることが大事です。また、医師の判断で服薬を中止するさいは、中止後4週間程度は頻回に血小板数を測定する必要があります。
  • 肝機能検査も重要です。こちらは、服薬開始前から用量調節時は2週間毎、用量の変更がなければ1カ月毎に実施します。
効能

【効能A】

慢性特発性血小板減少性紫斑病

【効能B】

再生不良性貧血
用法

【効能A】

通常、成人は、エルトロンボパグとして初回服用量12.5mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口服用する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減する。また、1日最大服用量は50mgとする。

【効能B】
<抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合>

抗胸腺細胞免疫グロブリンとの併用において、通常、成人は、エルトロンボパグとして75mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口服用する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
<既存治療で効果不十分な場合>

通常、成人は、エルトロンボパグとして初回服用量25mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口服用する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。また、1日最大服用量は100mgとする。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 人によっては、疲労を感じたり、頭痛や吐き気、筋肉痛を起こすことがあります。出血は病気によるものと考えられますが、もし、服用中あるいは中止後に皮下出血や鼻血など出血症状があらわれたら早めに受診してください。また、白内障が報告されていますので、視力の低下や目のかすみが気になるときは医師に伝えてください。

重い副作用として、念のため注意が必要なのが「血栓症」です。血液の固まりで血管が詰まることで起こります。とくに、血小板数が正常範囲を超えると、リスクが増加する可能性があります。生じる所はいろいろで、手足、とくにふくらはぎの痛みやシビレ、突然の息切れ、胸の痛み、急に視力が落ちるといった症状が前触れとなります。万一のことですが、そのような症状があらわれたら、すぐ医師に連絡しましょう。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 血栓塞栓症..手足とくにふくらはぎの痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急に視力が落ちる、視野が欠ける、目が痛む、頭痛、片側のまひ、うまく話せない、意識が薄れる。
  • 出血..皮下出血(青あざ・血豆)、鼻血、歯肉出血、生理の出血が多い、血尿。

【その他】
  • 疲労、頭痛、吐き気、筋肉痛
  • 血小板数増加、低カリウム血症、白内障(視力低下、かすんで見える、まぶしい)
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye