おくすり110番
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成分(一般名) ヒドロキシクロロキン硫酸塩
製品例 プラケニル錠200mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の代謝性医薬/その他/免疫調整剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 エリテマトーデスを治療するお薬です。
作用

【働き】

エリテマトーデスは自己免疫疾患‘膠原病’の一つです。皮膚にできる赤い斑点をはじめ、全身のさまざまな臓器に炎症症状があらわれます。このうち皮膚病変を主体とする病態をとくに「皮膚エリテマトーデス」とし、全身性の「全身性エリテマトーデス」と区別しています。

このお薬は、エリテマトーデス治療薬です。皮膚エリテマトーデスの皮膚症状を改善するほか、全身性エリテマトーデスにおける筋肉痛や関節痛を緩和し、さらには倦怠感など全身症状をやわらげます。詳しい作用機序は分かっていませんが、抗炎症作用や免疫調節作用により、炎症症状を改善するものと考えられています。

【薬理】

この薬の有効成分ヒドロキシクロロキンが、リソソームという細胞小器官に蓄積することにより免疫調節作用を発揮するものと考えられています。つまり、ヒドロキシクロロキンの蓄積によるリソソーム内の酸性度(pH)の変化と種々の機能の抑制、それに伴う抗原提示の阻害、サイトカイン産生と放出の抑制、トール様受容体を介する免疫反応抑制、アポトーシス誘導、アラキドン酸放出抑制などが関与しているものと推察されています。

【臨床試験】

皮膚エリテマトーデスに対する有効性を調べる試験が国内でおこなわれています。参加したのは活動性の皮膚病変がある皮膚エリテマトーデスの患者さん96人です。そして、72人はこの薬を、24人はプラセボ(にせ薬)を服用し、皮膚病変に対する効果を服薬前後で比べます。また、全身性エリテマトーデスを合併している場合には、筋骨格系症状と倦怠感などの全身症状についても副次的に調べます。

なお、皮膚症状における効果判定は、全身を13に分けた各部位の紅斑と鱗屑・肥厚の程度を4段階または3段階で点数化し、さらに粘膜症状の有無や脱毛状態などを評価した合計点数の変化量でおこないます。点数が低ければ軽症、高いほど重症です。試験に参加した患者さんの服用前の合計点数の平均はおおよそ13点でした。

その結果、この薬を飲んだ人達は4ヶ月後に平均4.6点低下(13.5点→8.5点)、プラセボの人達は3.2点低下(13.6点→10.4点)しました。服用前に比べて点数が低下し、その減少量はプラセボを上回る傾向が示されたことから、この薬の皮膚症状に対する有効性が確かめられたわけです。また、全身性エリテマトーデスにおいては、筋骨格系症状にくわえ倦怠感など全身症状についても改善傾向が示されています。
特徴
  • 世界的に広く用いられているエリテマトーデス治療薬です。化学構造的には4-アミノキノリン化合物であるクロロキン誘導体になります。
  • 重い臓器障害を除くエリテマトーデスの諸症状の治療に用いられます。とくに皮膚病変、筋肉痛・関節炎など筋骨格系症状、倦怠感などの全身症状の緩和に最適です。また、維持療法においては、再燃回数が減少するなど長期有効性も明らかになっています。海外では標準薬の一つとして位置付けられており、今後、国内でも処方機会が増えることでしょう。
  • 薬害で問題となったクロロキンに比べ、組織親和性が低く、眼毒性もそれほど高くないとされます。10年以上の投与によりクロロキンで2.5%(16/647例)に網膜毒性が認められたのに対し、ヒドロキシクロロキン(この薬)では0.1%(2/2043例)と報告されています。適量であれば長期管理薬としても比較的安全に使用できそうです。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 網膜症など目に病気のある人は医師に報告してください。
  • 使用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の女性は医師に伝えてださい。
  • 副作用や注意事項について十分説明を受けてください。とくに眼障害と低血糖のリスク、その症状や対処方法をよく理解したうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

目の網膜に病気がある人、または既往歴のある人は使用できません。この薬の影響で網膜症状が悪化するおそれがあるためです。薬の血中濃度が上昇しやすい肝臓病や腎臓病のある人も慎重に用いる必要があります。

  • 適さないケース..網膜症(SLE網膜症を除く)、黄斑症、6歳未満の幼児。
  • 注意が必要なケース..肝臓病、腎臓病、ポルフィリン症、乾癬、胃腸障害、神経系障害、血液障害、SLE網膜症、眼障害を起こす危険性がある人、妊娠中もしくはその可能性のある人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

強心薬のジゴキシン(ジゴシン)の血中濃度を上昇させる可能性があります。併用する場合には血中ジゴキシン濃度をモニターするなど慎重に用いる必要があります。また、インスリンをふくめ糖尿病治療薬の血糖降下作用が強まるおそれがあります。併用のさいは必要に応じインスリンまたは糖尿病治療薬の減量を考慮します。

  • 飲み合わせに注意..ジゴキシン(ジゴシン)、インスリン、糖尿病治療薬、アミオダロン(アンカロン)、モキシフロキサシン(アベロックス)、シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、抗てんかん薬など。

【使用にあたり】
  • 医師から指示された飲み方を厳守してください。用法用量は、身長から算出される理想体重に基づきます。具体的には、男女別に理想体重が軽い人、中くらいの人、重い人に3区分され、軽い人は1回1錠を服用、中くらいの人は1回1錠と1回2錠を1日おきに服用、重い人は1回2錠を服用します。服用回数は、いずれの場合も1日1回食後です。
  • 飲み間違いや飲み忘れにも注意しましょう。もし飲み忘れた場合は、気がついたときにすぐに飲んでください。ただし、次の服用が近い場合は忘れた分は飲まないで、次の服用時間に決められた1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
  • 視覚の異常、脱力、低血糖症状(副作用を参照)などがみられたら、いったん使用を中止し直ちに受診してください。

【検査】

目の検査が重要です。まず、治療に先立ち詳細な眼科検査を実施し、服薬に問題がないか確認しなければなりません。また、長期服用時は少なくとも年に1回、同様の眼科検査をおこない、網膜症状の早期発見に努めます。そのほか必要に応じ、骨格筋検査、腱反射検査、血液検査などもおこないます。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中にこの薬を飲んでいたとしても、催奇形性の発現率に大きな差がないことが複数の臨床研究で報告されています。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合、妊娠中でもこの薬を継続使用することがあります。休止による病状の悪化や再燃による妊娠・出産時の母体への悪影響を回避するためです。
  • ただし、安全性が確立されているわけではなく、おなかの赤ちゃんへの影響を完全には否定できません。このため、妊娠する可能性のある女性は、適切な方法で避妊することが望ましいです。
  • 乳汁中に薬が移行することが報告されています。赤ちゃんは この薬に感受性が高いですから、服用中の授乳は避けなければなりません。

【食生活】

視覚異常や低血糖症状があらわれることがあります。車の運転や危険をともなう機械の操作、高所作業のさいは十分注意してください。
効能 皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス
  • [注意1]限局的な皮膚症状のみを有する皮膚エリテマトーデス患者に対して、本剤は、ステロイド等の外用剤が効果不十分な場合又は外用剤の使用が適切でない皮膚状態にある場合に投与を考慮すること。
  • [注意2]全身性エリテマトーデス患者に対して、本剤は、皮膚症状、倦怠感等の全身症状、筋骨格系症状等がある場合に投与を考慮すること。
用法

【用法用量】

通常、ヒドロキシクロロキン硫酸塩として200mg又は400mgを1日1回食後に経口服用する。ただし、1日の服用量はブローカ式桂変法により求められる以下の理想体重に基づく用量とする。

女性患者の理想体重(kg)=(身長(cm)−100)×0.85

男性患者の理想体重(kg)=(身長(cm)−100)×0.9

  • (1)理想体重が31kg以上46kg未満の場合、1日1回1錠(200mg)を経口服用する。
  • (2)理想体重が46kg以上62kg未満の場合、1日1回1錠(200mg)と1日1回2錠(400mg)を1日おきに経口服用する。
  • (3)理想体重が62kg以上の場合、1日1回2錠(400mg)を経口服用する。

【身長(理想体重)と1回服用量の関係】
<女性患者の場合>
  • 身長(理想体重):136cm以上154cm未満(理想体重31kg以上46kg未満)→1回服用量:1錠(200mg)
  • 身長(理想体重):154cm以上173cm未満(理想体重46kg以上62kg未満)→1回服用量:1錠(200mg)と2錠(400mg)を1日おき
  • 身長(理想体重):173cm以上(理想体重62kg以上)→1回服用量:2錠(400mg)
<男性患者の場合>
  • 身長(理想体重):134cm以上151cm未満(理想体重31kg以上46kg未満)→1回服用量:1錠(200mg)
  • 身長(理想体重):151cm以上169cm未満(理想体重46kg以上62kg未満)→1回服用量:1錠(200mg)と2錠(400mg)を1日おき
  • 身長(理想体重):169cm以上(理想体重62kg以上)→1回服用量:2錠(400mg)
<注意1>

本剤服用後の脂肪組織中濃度は低いことから、実体重に基づき本剤を服用した場合、特に肥満患者では過量服用となり、網膜障害等の副作用発現リスクが高まる可能性があるため、実体重ではなく、身長に基づき算出される理想体重(上記)に基づき服用量を決定すること。
<注意2>

本剤には網膜障害を含む眼障害の発現リスクがあり、1日平均服用量として6.5mg/kg(理想体重)を超えると網膜障害を含む眼障害の発現リスクが高くなることが報告されていることから、用法及び用量を遵守すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 副作用でもっとも重要なのが目の網膜障害です。発現率はかつてのクロロキンと比べ相対的に低いとされますが、そのリスクは高用量(6.5mg/kg超)、長期投与で高まるとされます。視力低下、霧視、色覚異常、視野暗点など見え方がおかしいと感じたら、いったん使用を中止し、直ちに受診してください。

一般的な副作用として比較的多いのは、下痢、腹痛、頭痛、発疹などです。また、頻度は低いものの、重い副作用として皮膚・粘膜障害、骨髄抑制、ミオパチー(筋肉障害)、低血糖症などを起こすことがあります。下記のような初期症状をふまえ、気になる症状があらわれたら、医師または薬剤師と相談してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 網膜症、黄斑症..視力低下、かすむ、色が見分けにくい、ゆがんで見える、視野に暗点、視界が欠ける。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 骨髄抑制(血球減少)..発熱、ひどい疲労感、のどの痛み、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向、息切れ、動悸。
  • 心筋症..胸の痛み、動悸、息苦しい、息切れ、むくみ、体重増加。
  • ミオパチー..手足のこわばり・しびれ、筋肉のぴくつき、力が入らない、立ち上がれない、歩きにくい。
  • 低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。

【その他】
  • 下痢、腹痛、頭痛、発疹
  • 発疹、じん麻疹、かゆみ
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye