おくすり110番
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成分(一般名) バリシチニブ
製品例 オルミエント錠2mg~4mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 他の代謝性医薬/抗リウマチ剤/ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 関節の腫れや痛みをおさえるお薬です。関節リウマチの治療に用います。
作用

【働き】

リウマチは、体の免疫系がかかわっている膠原病の一種です。関節に強い炎症を生じ、腫れや痛みをともないます。やがて、関節の骨や軟骨が破壊され、変形とともにその機能が失われます。

このお薬は抗リウマチ薬です。関節の炎症をしずめ腫れや痛みを軽くします。また、関節の破壊をおさえます。ただ、感染症など副作用がでやすいので、既存の標準療法が効果不十分な場合に用います。

【薬理】

炎症性サイトカインは、リンパ球など免疫細胞の活性化や増殖に不可欠です。サイトカインの第一の役目は、細胞表面にある受容体に結合し、細胞を活性化させる信号を細胞内へ発信することです。その受容体と細胞内側でくっつき、サイトカインの信号を監視・仲介するのがJAK(Janus kinase)ことヤヌスキナーゼです。

JAKはキナーゼと呼ばれるリン酸基転移酵素の一種で、2分子が受容体を囲むように会合しています。サイトカインの信号を受けると、ATP結合によリ活性化し、まず受容体をリン酸化、続いて次の信号伝達物質のSTAT(転写因子)をリン酸化し活性化させます。活性化したSTATは核内へと進入し、サイトカインに関連する遺伝子群の転写を促進するのです。ちなみに、ヤヌスの名は、その役割や作用部位から、また2つのリン酸化あるいは2分子が会合する構造をとることから、ローマ神話の門の守護神「二面神ヤヌス」にちなむそうです。

この薬はJAK阻害薬と呼ばれ、JAKのATP結合部位に先回りして結合しJAKが働かないようにします。このため、サイトカインが受容体に結合しても、その信号が細胞内部に届かず、細胞の活性化が抑制されるわけです。なお、JAK-STAT系の信号伝達経路を利用するサイトカインとして、インターロイキン(IL2・4・6・7・9・15・21)、インターフェロン(IFN-α・β)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などが知られています。これら複数の炎症性サイトカインの働きを阻害することから、広範な免疫・炎症反応の抑制につながるものと考えられます。

【臨床試験】

この薬の効果と安全性を検証する国際共同試験がおこなわれています。参加したのは、標準薬のメトトレキサート(リウマトレックス)で効果不十分な活動性関節リウマチの患者さん1305人、うち日本人249人です。そして、この薬を飲む人、生物製剤(TNF阻害薬)のアダリムマブ(ヒュミラ皮下注)を注射する人、プラセボ(にせ薬)を飲む人の3つのグループに分かれ、メトトレキサートとともに併用します。効果の判定は3ヶ月後のACR20改善率でおこないます。ACR20は、痛みや腫れのある関節数が20%以上減少、かつ医師または患者さん自身によるいくつかの評価項目が20%以上よくなった場合に“改善”と定義づけられます。

その結果、この薬を飲んでいた人達のACR20改善率は70%(339/487人)、アダリムマブで61%(202/330人)、プラセボの人達で40%(196/488人)でした。プラセボに比べ、この薬による改善率は明らかに高く、またアダリムマブに勝とも劣らない効果が示されたわけです。また、副次評価項目として、関節の構造的損傷をX線画像で調べたところ、プラセボに比べ関節破壊の進展抑制効果が高いことが分かりました。一方、安全性については、感染症の発現率がプラセボより高く、とくに日本人では帯状疱疹が100人中7人/年と多数みられました。
特徴
  • JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬に分類される関節リウマチ治療薬です。いわゆる分子標的薬の部類で、炎症反応にかかわる指令系統を分子レベルでブロックします。標的分子はJAKことヤヌスキナーゼという酵素です。この薬は、JAKのうち特にJAK1/JAK2を強く阻害するため、選択的JAK1/JAK2阻害薬と呼ばれることがあります。臨床的位置付けは難治例に用いられる生物製剤と同様と考えられます。
  • 生物製剤とは作用機序は違います。生物製剤は細胞外で特定のサイトカインを標的とするのに対し、この薬は細胞内で複数のサイトカイン シグナル伝達を遮断します。細胞内伝達阻害薬ともいえるわけです。また、生物製剤はどれも高分子のタンパク質のため点滴や皮下注射する必要がありましたが、この薬はATPの構造に含まれるアデニンに似た低分子のため消化管で分解されません。このため内服可能で、治療が簡便なのもメリットです。
  • 腫れや痛みを強力におさえる作用をもち、その効果は生物製剤に匹敵もしくは上回ります。関節痛、倦怠感や朝のこわばりなど患者さんの主観的症状についても、服薬1週目より改善がみられます。さらに、関節破壊の防止効果も期待できそうです。原則、単独では用いず、メトトレキサート(リウマトレックス)など従来の抗リウマチ薬(cDMARDs)が効果不十分な場合に追加併用します。ただし、感染症のリスク増大が予想される生物製剤との併用は避けます。
  • 強力な免疫抑制・抗炎症作用の裏返しとして、重い感染症を誘発する危険性があり、また発がんリスクについても否定できません。飲み薬といっても敷居が低いわけではなく、むしろ最後の切り札です。安全性が十分確認されるまで、当面は緊急時に対応できる医療施設で専門医により慎重に処方されることになります。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。
  • 事前に医師から、起こるかもしれない副作用や注意事項について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
  • 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告してください。

【注意する人】

結核をふくめ重い感染症にかかっている場合は使用を控え、感染症の治療を優先します。腎臓病があると副作用がでやすいので、病状によっては使用できません。妊娠中は禁止です。

  • 適さないケース..重い感染症、結核、重い腎臓病、白血球または赤血球が相当に減少している人、妊娠中もしくは可能性のある人、授乳中の人など。
  • 注意が必要なケース..感染症またはその疑いのある人、結核や帯状疱疹にかかったことがある人、B型肝炎既往歴またはB型肝炎ウイルスをもっている人、白血球など血球が減少している人、間質性肺炎の既往歴、がん、腸管憩室炎、肝臓病、腎臓病などのある人、静脈血栓塞栓症を起こしやすい人、高齢の人、手術前後など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 痛風の薬のプロベネシド(ベネシッド)との併用により、血中濃度が上昇する可能性があります。併用のさいは、減量を考慮します。
  • 生ワクチンの予防接種は避けなければなりません。たとえば、風しんワクチンやBCGなどです。免疫抑制下で、病原性があらわれるおそれがあるためです。

【使用にあたり】
  • 指示通りに飲んでください。通常、1日1回1錠(4mg)です。しばらく続け、効果十分ならば減量を考慮します。腎機能が低下している人は、少な目になることがあります。
  • 飲み忘れた場合、気づいたときに直ちに服用してください。ただし、翌日に気づき次の服用時間が近ければ、その分は抜かし次の通常の時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • カゼ症状を含め発熱やのどの痛み、咳、息切れ、倦怠感、発疹・発赤、小水疱、ピリピリする痛みなど、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と連絡をとってください。

【検査】

治療に先立ち、結核や肝炎ウイルスの有無をふくめ、服薬に問題がないか調べます。治療開始後も、効果や副作用をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。とくに重要なのが、白血球数など血球の検査、ヘモグロビン値、肝機能検査、脂質検査などです。肺炎や結核がないか胸部レントゲンで調べることもあります。

【妊娠授乳】

動物実験で催奇形性や胎児毒性が報告されています。妊娠中は使用できません。妊娠可能な女性は、服用中および服用中止後少なくとも1月経周期は適切な方法で避妊してください。

【食生活】

感染症にかかりやすいです。インフルエンザ流行時など、人ごみは避けたほうがよいかもしれません。外出のときはマスクをし、うがいや手洗いをしっかりしてください。
効能 既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
  • [注意]過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。
用法 通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 免疫力の低下にともない、細菌やウイルス、真菌などによる感染症にかかりやすくなります。なかでも多いのがヘルペスウイルスによる帯状疱疹です。皮膚発赤、ぶつぶつした小水疱、ピリピリ痛むなどの症状があらわれたら、すみやかに受診してください。早期に対処し重症化させないことが大事です。

ほかにも、鼻炎や咽頭炎、気管支炎、インフルエンザ、膀胱炎、肺炎や敗血症などなどさまざま感染症を起こすことがあり、ときに重症化します。また体内に潜んでいた結核菌やB型肝炎ウイルスが再活性化する可能性もあります。ウイルス性肝炎や結核の既往歴のある人は要注意です。発熱や咳、けん怠感など普段と違う症状が気になるときは医師と相談してください。

そのほか、肝障害、消化管穿孔、白血球減少、間質性肺炎、静脈血栓症や肺塞栓症が報告されています。さらに、因果関係は明らかではありませんが、リンパ腫や悪性腫瘍の発現リスクが少し高まる可能性があります。このへんも含め副作用を医師からよく聞き、その初期症状をふまえ日々体調変化に気を付けてください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い感染症..発熱、けん怠感、のどの痛み、咳や痰、息苦しい、嘔吐、下痢、皮膚発赤・小水疱・ピリピリ痛い、水ぶくれ、できもの。
  • 消化管穿孔..突然の激しい腹痛、持続する強い腹痛。
  • 白血球など血球減少..発熱、のどの痛み、口内炎、咳、だるい、息切れ、動悸、疲労、めまい、顔色が悪い。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、爪の色が紫、突然の息切れ・息苦しい、深呼吸で胸が痛い、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。

【その他】
  • 感染症(鼻炎、咽頭炎、気管支炎、インフルエンザ、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、胃腸炎、帯状疱疹、単純ヘルペス、寄生虫症)
  • 吐き気
  • 高脂血症、肝機能値異常
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye