概説 |
がん細胞を抑えるお薬です。神経膠腫やユーイング肉腫の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- 神経膠腫は脳腫瘍の一種です。このお薬は、その腫瘍細胞の分裂・複製を阻止することで、病状を改善し より長生きにつなげます。そのほか、子供や若い人にまれにみられる骨の腫瘍 ユーイング肉腫にも適用します。

- 【薬理】

- 細胞の遺伝情報を持つ“DNA”をアルキル化して、DNAの働きをできなくします。そのようにして、がん細胞の増殖をおさえることから、「アルキル化薬」と呼ばれる部類に入ります。
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特徴 |
- アルキル化薬に属します。急速に分裂するがん細胞の複製を阻害することで、抗腫瘍活性を発揮します。化学構造的にはイミダゾテトラジン誘導体になります。
- 脳脊髄液への移行性が高く、神経膠腫に対し優れた治療効果が期待できます。実際に、この薬を使用した人と使用しなかった人を比較する試験で、“長生き効果”が証明されています。
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注意 |
 【診察で】
- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
- 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。
- この薬の有効性だけでなく、危険性や副作用についても十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

- 【注意する人】

- 重い肝臓病や腎臓病のある人は、副作用がでやすいので慎重に用いるようにします。また、骨髄機能抑制のある人、ウイルス性肝炎を含め感染症を合併している人は病状の悪化に注意が必要です。
- 注意が必要なケース..骨髄抑制、肝臓病、腎臓病、感染症、ウイルス性肝炎、肝炎ウイルスをもっている人、水痘(水ぼうそう)、子供、高齢の人など。
 【使用にあたり】
- 病状や治療方針によって飲み方が違います。決められた治療スケジュールにそって正確に服用してください。飲む時間は空腹時が望ましいです。
- カプセルを開けたり、噛んだり砕いたりしないで、そのまま多めの水で飲んでください。万一、カプセルの内容物に触ってしまったら、すぐに水で洗い流してください。
- 発熱やのどの痛み、皮下出血、空咳、息切れなど、この薬を服用中にいつもと違う症状があらわれたら、すぐに医師と相談してください。
 【妊娠授乳】
- 赤ちゃんの発育に悪い影響をおよぼすおそれがあります。そのため、妊娠中または妊娠している可能性のある女性は使用できません。
- 妊娠する可能性のある女性は、服薬中および最終服薬後6ヵ月間は避妊してください。避妊方法は医師から説明があると思います。
- 男性は服薬中および最終服薬後3カ月間はバリア法(コンドーム)で避妊してください。

- 【検査】

- 副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。白血球や血小板が減りすぎていないか調べます。肝機能検査も大事です。
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効能 |

- 【効能A】

- 悪性神経膠腫

- 【効能B】

- 再発又は難治性のユーイング肉腫
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用法 |
 【効能A】- <初発の悪性神経膠腫の場合>

- 放射線照射との併用にて、通常、成人ではテモゾロミドとして1回75mg/m2(体表面積)を1日1回連日42日間、経口服用し、4週間休薬する。その後、本剤単独にて、テモゾロミドとして1回150mg/m2を1日1回連日5日間、経口服用し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールでは1回200mg/m2に増量することができる。
- <再発の悪性神経膠腫の場合>

- 通常、成人ではテモゾロミドとして1回150mg/m2(体表面積)を1日1回連日5日間、経口服用し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールで1回200mg/m2に増量することができる。

- 【効能B】

- イリノテカンとの併用において、通常、テモゾロミドとして1回100mg/m2を1日1回連日5日間、経口服用し、16日間以上休薬する。これを1クールとし、服用を反復する。なお、患者の状態により適宜減量する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
一番や多いのは、吐き気や嘔吐、食欲不振などの胃腸症状です。また、放射線照射併用時には、脱毛や発疹もみられます。あわてないよう、事前に医師から十分説明を受けておきましょう。軽い副作用の場合、治療を優先しなければならないことも多いです。
副作用でもっとも重要なのが骨髄抑制にともなう血球減少です。気づかないまま白血球が極端に減少してしまうと、体の抵抗力が落ちて重い感染症にかかりやすくなります。肺炎や敗血症を起こしたり、潜んでいたB型肝炎ウイルスが再活性化するおそれがあるのです。さらに、血小板減少にともなう出血、赤血球の不足による貧血にも注意が必要です。発熱やのどの痛み、咳や痰、強い疲労感、歯茎出血や皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 骨髄抑制(血球減少)..発熱、ひどい疲労感、のどの痛み、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向、息切れ、動悸。
- 重い感染症..発熱、寒気、だるさ、食欲不振、のどの痛み、咳や痰、息苦しい、嘔吐、下痢、皮膚発赤・小水疱・ピリピリ痛い、水ぶくれ、できもの。
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 脳卒中..片側の手足のまひ・しびれ、口がゆがむ、うまく話せない、視野が欠ける、二重に見える、考えがまとまらない、ふらつく、激しい頭痛
- アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳込む、ゼーゼー息苦しい。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
 【その他】
- 食欲不振、吐き気、嘔吐、便秘、下痢、口内炎
- 倦怠感、頭痛
- 脱毛、発疹
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