おくすり110番
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成分(一般名) イマチニブ メシル酸塩
製品例 グリベック錠100mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 その他の腫瘍用薬/他の抗悪性腫瘍剤/抗悪性腫瘍剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 白血病や消化管間質腫瘍を治療するお薬です。おもに慢性骨髄性白血病に用いられています。
作用

【作用-1】

血液は骨のなかの骨髄の造血幹細胞からつくられます。慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞ががん化し、白血球の一種の顆粒球が異常増殖する病気です。進行すると、正常な血球ができなくなり、貧血や出血、感染症などを引き起こし命を脅かします。病因としてあげられるのが、フィラデルフィア染色体に由来する異常遺伝子‘BCR-ABL’が産生するチロシンキナーゼという酵素タンパクです。

このお薬は、チロシンキナーゼのはたらきを阻害することにより、病的な血球の産生を抑え血液を正常化させます。おもに、慢性骨髄性白血病の治療に用いられていますが、リンパ系造血幹細胞が腫瘍化する急性リンパ性白血病に対する効能も別にあります。さらに、好酸球増多症候群と慢性好酸球性白血病に対しても使用できるようになりました。

慢性骨髄性白血病に対する有効率はかなり高く、血液が正常化する割合がおおよそ90%、遺伝子レベルで正常化(完全寛解)する割合が40%〜80%くらいです(移行期・急性期では成績が落ちます)。血液や遺伝子が正常化し寛解できれば、急性転化(急激な悪化)が回避され、より長生きできる可能性が高まるのです。

【作用-2】

消化管間質腫瘍(GIST)は、食道や胃、小腸、大腸などの消化管粘膜の下層に発生する粘膜下腫瘍の一種です(一般的な粘膜がんとは異なります)。稀ながんですが、悪性度が高いと肝臓などに転移し、予後も好ましくありません。完全切除後に再発が多いのも問題です。

このお薬は、消化管間質腫瘍の細胞増殖を促すKITチロシンキナーゼという蛋白のはたらきを阻害することにより抗腫瘍作用を発揮します。治療効果は十分とはいえませんが、おおよそ半分くらいの人に有効で、病気の進行がおさまり より長生きできる可能性があります。また、術後補助療法として手術後の再発予防にも有用です。

【薬理】

がん細胞増殖のシグナル伝達に重要な役割をするのがチロシンキナーゼという腫瘍タンパクの部類です。たとえば、白血病ではフィラデルフィア染色体の本態であるBCR-ABL融合遺伝子が産生するBcr-Ablチロシンキナーゼが細胞増殖の引き金になります。この薬には、白血病におけるBcr-Abl、消化管間質腫瘍のKIT、好酸球増多症候群および慢性好酸球性白血病におけるFIP1L1-PDGFRαなど各種の腫瘍タンパクの活性を阻害する作用があります。
特徴
  • 「分子標的薬」と呼ばれる新しいタイプの抗がん薬です。がん細胞の増殖を指令するシグナル伝達経路を分子レベルで遮断します。この薬のおもな標的分子(蛋白)は、白血病細胞増殖の最初の伝達ポイントとなるBcr-Ablチロシンキナーゼ、消化管間質腫瘍におけるKITチロシンキナーゼなどです。
  • チロシンキナーゼを阻害し、基質のチロシンリン酸化を妨げる作用から広く「チロシンキナーゼ阻害薬」と呼ばれています。この薬の登場により慢性骨髄性白血病の治療は大きく前進し、治せる病気に変わってきています。その後、いくつかの新薬が開発されていますが、使用経験が豊富で実績ある標準薬としての位置づけは以前同様です。なお、Bcr-Ablチロシンキナーゼを阻害する類似薬として、ニロチニブ(タシグナ)、ダサチニブ(スプリセル)、ボスチニブ(ボシュリフ)が発売されています。この薬が効果不十分な場合にはこれらで対応可能です。
  • がん細胞の特定の分子だけを阻害するため、腫瘍選択性が低い従来の抗がん薬やインターフェロンに比べ副作用が軽減され治療も楽です。ただし、特異な副作用として骨髄抑制にともなう血液障害、出血、肝障害や体液貯留などに注意が必要なことに変わりありません。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。
  • 注意事項や副作用を含め、医師から この薬の有効性や安全性について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

肝臓病がある場合は、病状の悪化に注意するなど慎重に用いるようにします。また、B型肝炎ウイルスに感染したことのある人は、その再活性化に注意が必要です。高齢の人は、むくみの副作用がでやすいです。

  • 注意が必要なケース..肝臓病、心臓病、B型肝炎既往歴またはB型肝炎ウイルスをもっている人、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

いろいろな薬と相互作用を起こしやすい性質があります。飲み合わせによっては、薬の副作用がでやすくなります。逆に効果が弱くなってしまうこともあります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • 高脂血症治療薬のロミタピド(ジャクスタピッド)とは併用できません。ロミタピドの血中濃度が著しく上昇し、重い副作用をまねくおそれがあるためです。
  • 禁止ではありませんが、マクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)は、この薬の血中濃度を上昇させやすいです。
  • 抗結核薬のリファンピシン(リファジン)や抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(テグレトール)、フェノバルビタール(フェノバール)、ステロイド薬のデキサメタゾン(デカドロン)など ある種の薬と併用すると、この薬の作用が弱まるかもしれません。
  • 抗血栓薬のワルファリン(ワーファリン)の作用が強まり、出血しやすくなる可能性があります。
  • グレープフルーツジュースは飲まないでください。この薬の血中濃度が上昇し、副作用がでやすくなるおそれがあります。
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品は控えてください。この薬の作用を弱めるかもしれません。

【使用にあたり】
  • 病状や治療方針によって飲み方が違います。決められた用法・用量を厳守してください。胃への刺激をやわらげるため、食後すぐに多めの水、コップ1杯以上で飲むとよいでしょう。
  • 発熱、息切れ、咳、下痢、むくみ、急激な体重増加、出血など、いつもと違う症状があらわれたら医師に伝えてください。副作用の程度により、減量または一時休止することがあります。

【検査】

副作用や効果をチェックするため、定期的に検査を受けなければなりません。血液検査や肝機能検査のほか、体重測定も重要です。

【妊娠・授乳】
  • おなかの赤ちゃんの発育に悪い影響をおよぼすおそれがあります。このため妊娠中は禁止です。
  • 妊娠可能な女性は、医師の指示に従い服薬中および服薬終了後一定期間 適切に避妊してください。
  • 授乳は中止してください。母乳に薬が移行する可能性があります。

【食生活】
  • 眠気やめまいがしたり、目がかすんで見えることがあります。危険な作業、高所作業、車の運転などには十分注意してください。
  • むくみの副作用予防に、塩分は控えめにしたほうがよいでしょう。
効能

【効能A】

慢性骨髄性白血病

【効能B】

KIT(CD117)陽性消化管間質腫瘍

【効能C】

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病

【効能D】

FIP1L1-PDGFRα陽性の下記疾患

  • 好酸球増多症候群
  • 慢性好酸球性白血病
用法
【効能A】
<慢性期>

通常、成人はイマチニブとして1日1回400mgを食後に経口服用する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日1回600mgまで増量できる。
<移行期又は急性期>

通常、成人はイマチニブとして1日1回600mgを食後に経口服用する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日800mg(400mgを1日2回)まで増量できる。

【効能B】

通常、成人はイマチニブとして1日1回400mgを食後に経口服用する。なお、年齢・症状により適宜減量する。

【効能C】

通常、成人はイマチニブとして1日1回600mgを食後に経口服用する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜減量する。

【効能D】

通常、成人はイマチニブとして1日1回100mgを食後に経口服用する。なお、患者の状態により、適宜増減するが、1日1回400mgまで増量できる。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 吐き気や嘔吐、下痢、むくみ、体重増加、筋肉のつっぱり、発疹など、いろいろな副作用がでやすいです。あわてないよう、事前に医師から十分説明を受けておきましょう。軽い副作用の場合、治療を優先しなければならないことも多いです。

副作用でもっとも重要なのが骨髄抑制にともなう血球の減少です。白血球が極端に減少すると、体の抵抗力がひどく落ちて感染症にかかりやすくなります。また、血小板減少により出血を生じることもあります。発熱やのどの痛み、あるいは歯茎出血・皮下出血など出血傾向に注意しましょう。

特異な副作用として体液貯留をみることがあり、なかでも胸水の発現率が高いです。症状としては、息苦しさ、から咳、急激な体重増加などがあらわれます。ほかにも、肝障害や腎障害、間質性肺炎など注意を要する副作用があります。下記のような初期症状をふまえ、なにか普段と違う「おかしいな」と感じたら、すぐ医師と連絡をとってください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 出血(脳出血、硬膜下出血、消化管出血)..激しい頭痛、片側の麻痺、うまく話せない、腹痛、下血(黒いタール状の便)、吐血、貧血。
  • 体液貯留(胸水、肺水腫、腹水、心不全)..息苦しい、胸苦しい、咳、むくみ、お腹のはり、急な体重増加。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • ショック、アナフィラキシー..気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
  • 肺高血圧症..息苦しい、胸の痛み。

【その他】
  • 食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛
  • むくみ(手足、顔、目の周り)、体重増加
  • 筋肉痛、筋肉のつっぱり・けいれん、関節痛
  • 発疹、かゆみ
  • 頭痛、不眠、眠気
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye