おくすり110番
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成分(一般名) パルボシクリブ
製品例 イブランスカプセル25mg~125mg、イブランス錠25mg~125mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 その他の腫瘍用薬/他の抗悪性腫瘍剤/抗悪性腫瘍剤(CDK 4/6阻害剤)

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 がんを抑えるお薬です。乳がんの治療に用います。
作用

【働き】

乳がんでは根治のための手術を第一としますが、薬の効き目がよいので薬物治療も大事です。薬物治療は大きく3つに分かれます。ホルモン関連薬によるホルモン療法(内分泌療法)、HER2蛋白など特定の蛋白を標的とする分子標的薬による治療、従来の抗がん薬による化学療法の3つです。女性ホルモン受容体(HR)が陽性ならホルモン療法が適応となり、多くの患者さんに実施されています。

このお薬は、ホルモン療法を助ける新しいタイプの抗がん薬です。細胞周期の調節にかかわるタンパク質‘CDK4/6’を阻害することにより、細胞周期の進行を停止させ、腫瘍の増殖を抑えます。単独ではなく、必ず適切なホルモン療法のもとで用います。併用療法により抗腫瘍作用が増強し、治療効果がいっそう高まるのです。実際の臨床試験でも、ホルモン療法単独治療に比べ、病状が安定している無増悪生存期間がおおよそ2倍延長することが示されています。

【薬理】

CDK4/6(Cyclin Dependent Kinase4/6:サイクリン依存性キナーゼ4/6)は、多くの腫瘍で過剰に発現し活性化しています。そして、細胞周期の調節にかかわり、腫瘍の増殖をまねくのです。この薬は、そのようなCDK4/6を選択的に阻害し、網膜芽細胞腫蛋白質(Rb)のリン酸化を阻止、細胞周期の進行を停止させることにより、腫瘍の増殖を抑制します。

さらに、CDK4/6を直接的に阻害するだけでなく、エストロゲン受容体の下流物質であるサイクリンDの発現抑制を介したCDK4/6・サイクリンD複合体の間接的阻害作用も加わります。基礎試験においても、ホルモン関連薬のイブランス、抗エストロゲン薬(フルベストラント、タモキシフェン)あるいはアロマターゼ阻害剤(レトロゾール)との併用により、各薬剤の単剤投与と比べ抗腫瘍作用の増強が確認されています。

【臨床試験-1】

手術できない進行した乳がんに対する有効性と安全性を検証する国際共同試験が行われています。参加したのは、HR陽性かつHER2陰性で、ホルモン療法を受けていない閉経後進行・再発乳がんの患者さん666人、うち日本人46人です。このうち、444人はこの薬を、別の222人はプラセボ(にせ薬)を服用し、全員がホルモン関連薬(アロマターゼ阻害薬)のレトロゾール(フェマーラ)と併用します。有効性の主要評価項目は、がんが大きくならず病状が安定している期間‘無増悪生存期間’です。

その結果、この薬を飲んでいた人達(イブランス・レトロゾール併用療法)の無増悪生存期間の中央値は24.8カ月でした。一方、プラセボ(レトロゾール単独療法)の人達は14.5カ月にとどまりました。この薬を飲んでいた人達のほうが無増悪生存期間が2倍近く延長し、プラセボに対する優越性が確認できたわけです。副作用でもっとも多かったのは、白血球減少症や貧血をもたらす骨髄抑制でした。その発現率は82%(364/444人)と、プラセボの14%(32/222人)に比べ明らかに高く、なかには重篤な骨髄抑制もみられました。ただ、多くの場合、減量もしくは休薬により対処可能でした。

【臨床試験-2】

次は、ホルモン療法が効かなくなった進行乳がんに対する試験です。参加したのは、閉経状態は問わず、ホルモン療法後に進行が認められたHR陽性かつHER2陰性の乳がんの患者さん521人、うち日本人35人です。このうち、347人はこの薬を、別の174人はプラセボ(にせ薬)を服用し、全員がホルモン関連薬(抗エストロゲン薬)のフルベストラント(フェソロデックス筋注)と併用します。有効性の主要評価項目は、がんが大きくならず病状が安定している期間‘無増悪生存期間’です。

その結果、この薬を飲んでいた人達(イブランス・フルベストラント併用療法)の無増悪生存期間の中央値は9.2カ月でした。一方、プラセボ(フルベストラント単独療法)の人達は3.8カ月にとどまりました。この薬を飲んでいた人達のほうが無増悪生存期間が2倍以上延長し、プラセボに対する優越性が確認できたわけです。副作用でもっとも多かったのは、白血球減少症や貧血をもたらす骨髄抑制でした。その発現率は89%(307/345人)と、プラセボの17%(30/172人)に比べ明らかに高く、なかには重篤な骨髄抑制もみられました。ただ、多くの場合、減量もしくは休薬により対処可能でした。
特徴
  • 世界初のCDK4/6阻害薬です。従来の抗がん薬とは効きかたが異なり、CDK4/6蛋白を標的する分子標的薬になります。アメリカではブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)の指定を受け、迅速承認されています。
  • 手術が困難な進行・再発乳がんに用います。使用条件は、女性ホルモン受容体(HR)が陽性で、HER2が陰性なことです。HER2蛋白が発現しているなら、HER2を標的とする治療を優先しなければなりません。手術の補助療法としては現時点 推奨されませんが、術前補助療法における有効性を示唆する報告があります。
  • 適切なホルモン療法のもとで使います。初回治療として、ホルモン関連薬のアロマターゼ阻害薬と併用することにより、病状が安定している期間(無増悪生存期間中央値)が約1年延長することが分かっています。
注意
【診察で】
  • 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は医師に伝えてださい。妊娠中は使用できません。
  • 注意事項や副作用を含め、医師から この薬の有効性や安全性について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。

【注意する人】

肝臓が悪いと、この薬の代謝が遅れ、血中濃度が上昇しやすいです。肝臓の働きが落ちている場合は、減量を考慮するとともに、副作用の発現に十分注意する必要があります。間質性肺炎を併発している人、またはその既往歴のある人は慎重に用います。肺炎が悪化したり、再発するおそれがあるためです。妊婦中またはその可能性のある女性は使用できません。

  • 適さないケース..妊娠中。
  • 注意が必要なケース..重い肝臓病、間質性肺疾患のある人。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

いろいろな薬と相互作用を起こしやすい性質があります。飲み合わせによっては、この薬の血中濃度が上昇し副作用がでやすくなります。逆に効果が弱くなってしまうこともあります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • この薬の血中濃度を上昇させる薬剤として、たとえばマクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(エリスロシン)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)、アゾール系抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、ボリコナゾール(ブイフェンド)、抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、ヴィキラックス、カレトラ)、コビシスタット(スタリビルド、ゲンボイヤ、プレジコビックス)、エルビテグラビル(スタリビルド、ゲンボイヤ)、ネルフィナビル(ビラセプト)やサキナビル(フォートベイス)などがあります。薬ではありませんが、グレープフルーツジュースにも同様の性質があります。できたら、これらとの併用は避け、相互作用のより少ない薬剤への変更を考慮します。
  • 逆に、血中濃度が低下し作用減弱のおそれがあるのが、結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)とリファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)やフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、カルバマゼピン(テグレトール)などです。さらに、健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)にも同様の性質があることが知られています。これらとの併用はできるだけ避け、相互作用の少ない薬剤への変更を考慮しなければなりません。

【使用にあたり】
  • 通常、1回に1カプセルを1日1回食後に飲みます。3週間続け、その後1週間休みます。これを1サイクルとして繰り返します。ただし肝機能障害がある場合や副作用の程度により減量することがあります。決められた飲み方を厳守してください。
  • 単独では用いません。治療歴、閉経の有無などを考慮して、適切なホルモン関連薬とともに使用します。たとえば、ホルモン治療歴がなければアロマターゼ阻害薬のレトロゾール(フェマーラ錠)、一次ホルモン療法後に進行が認められるなら抗エストロゲン薬のフルベストラント(フェソロデックス筋注)との併用です。さらに、閉経前なら、LH-RHアゴニスト製剤も加わります。
  • 飲み忘れた場合は、その分は飲まないで、翌日から通常通り服用してください。絶対に2回分を一度に飲んではいけません。
  • 副作用で重要なのが間質性肺疾患と骨髄抑制にともなう血球減少です。咳、息切れ、発熱、動悸、出血などがあらわたら、直ちに受診してください。

【検査】

血液検査が重要です。白血球や血小板など血液の成分に異常がないか調べます。間質性肺疾患の疑いがあれば、胸部X線検査などで確認します。

【妊娠・授乳】
  • おなかの赤ちゃんに悪い影響をおよぼすおそれがあります。このため、妊娠中は禁止です。また、服薬中と治療終了から一定期間は妊娠しないよう適切な方法で避妊してください。
  • 男性への処方はまれと思いますが、もし、パートナーが妊娠する可能性があるなら、服薬中と治療終了から一定期間は避妊してください。動物実験で精巣毒性や遺伝毒性が認められているようです。
  • 授乳は中止してください。母乳に薬が移行する可能性があります。

【食生活】
  • グレープフルーツジュースは飲まないほうがよいでしょう。この薬の血中濃度が上昇し副作用が増強するおそれがあるためです。
  • 薬草の1種‘セイヨウオトギリソウ’は、この薬の作用を弱めるかもしれません。セント・ジョーンズ・ワートなどセイヨウオトギリソウを含む健康食品やハーブティーの飲食は避けてください。
効能 手術不能又は再発乳癌
  • [注意1]本剤の術前・術後薬物療法としての有効性及び安全性は確立していない。
  • [注意2]本剤の投与を行う場合には、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の患者を対象とすること。
用法 内分泌療法剤との併用において、通常、成人はパルボシクリブとして1日1回125mgを3週間連続して食後に経口服用し、その後1週間休薬する。これを1サイクルとして服用を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、吐き気、下痢、口内炎、疲労、脱毛、発疹などです。そのほか、重い副作用として間質性肺疾患が報告されています。頻度はまれなものの、重症化することがあります。咳、息苦しさ、息切れや発熱などがあらわれたら、すみやかに受診してください。

検査で見つかるのは、骨髄抑制にともなう血球減少です。異常があれば、減量もしくは休薬し回復を待ちます。気づかないまま白血球が極端に減少してしまうと、体の抵抗力が落ち重い感染症にかかりやすくなります。さらに、血小板減少にともなう出血や、赤血球の不足による貧血を起こす可能性もあります。発熱やのどの痛み、強い疲労感、あるいは歯茎出血や皮下出血など出血傾向がみられたら、ただちに医師に連絡してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 骨髄抑制(血球減少)..発熱、ひどい疲労感、のどの痛み、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向、息切れ、動悸。
  • 間質性肺疾患..息切れ、咳、息苦しい、息が荒い、呼吸困難、血痰、発熱。

【その他】
  • 吐き気、食欲減退、嘔吐、下痢、口内炎、味覚異常
  • 疲労、無力症
  • 感染症(鼻咽頭炎、膀胱炎、歯肉炎など)
  • 発疹、皮膚乾燥、脱毛
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用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye