|  概説 | 関節痛や神経痛に用いる漢方薬です。 | 
|  作用 |  
 【働き】
  
桂枝加苓朮附湯(ケイシカリョウジュツブトウ)という方剤です。体をあたため、痛みを発散させる作用があります。具体的には、関節痛や神経痛、冷えによる痛み、手足のしびれやこわばりに適応します。冷え症で、体力のあまりない人に向く処方です。
  
 【組成】
  
漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。桂枝加朮附湯は、主薬の“桂枝(桂皮)”をはじめ、下記の8種類の生薬からなります。おだやかな発汗・発散作用のある“桂皮”、痛みをやわらげる“芍薬”、余分な水分を取り除く“茯苓”と“蒼朮”、体をあたため痛みをとる“附子”、緩和作用のある“甘草”などが配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
 
 桂皮(ケイヒ)芍薬(シャクヤク)茯苓(ブクリョウ)蒼朮(ソウジュツ)附子(ブシ)生姜(ショウキョウ)大棗(タイソウ)甘草(カンゾウ)
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|  特徴 | 基本処方である桂枝湯に、“茯苓”と“蒼朮”、“附子”を加えた処方です。方剤名の由来もそこにあります。適応証(体質)は、虚証(虚弱)、寒証(冷え)、湿証(水分停滞)となります。
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    |  注意 |  【診察で】
 持病のある人は医師に伝えておきましょう。市販薬も含め服用中の薬を医師に教えてください。
  
 【注意する人】
  
冷えの強い「寒証」向けの方剤です。したがって、体力が充実し、暑がりで、のぼせのある人には不向きです。
 
 注意が必要なケース..実証・熱証(体力充実・のぼせ)。
  
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
  
附子や甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、それらの重複に注意が必要です。
 
 飲み合わせに注意..附子含有製剤、甘草含有製剤、グリチルリチン(グリチロン等)など。
  【使用にあたり】
 ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
  【備考】
 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、桂枝加苓朮附湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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    |  効能 | 関節痛、神経痛。 | 
  
    |  用法 | 通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(クラシエ)。 
    
      
        | ※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
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    |  副作用 | 漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。また、動悸やのぼせ、舌のしびれ感などもみられます。症状の強いときは、早めに受診してください。 
 重い副作用はまずありませんが、配合生薬の甘草の大量服用により、浮腫(むくみ)を生じたり血圧が上がってくることがあります。「偽アルドステロン症」と呼ばれる症状です。複数の方剤の長期併用時など、念のため注意が必要です。
 
 
  【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
 偽アルドステロン症..だるい、血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のしびれ・痛み、筋肉のぴくつき・ふるえ、力が入らない、低カリウム血症。
  【その他】
 胃の不快感、食欲不振、吐き気動悸、のぼせ、舌のしびれ発疹、発赤、かゆみ
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