概説 |
鼻づまりや慢性鼻炎に用いる漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)という方剤です。鼻づまりを改善する効果が期待できます。体力が中くらい以上の人で、患部に熱感や痛みを伴うときに向きます。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。辛夷清肺湯は、下記の9種類の生薬からなります。主薬の“辛夷”には、鼻の通りをよくする作用があるといわれます。“枇杷葉”や“升麻”も鼻づまりによい発散性の生薬です。ほかに、熱や炎症をひく“石膏”や“黄ごん”も配合されています。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
- 辛夷(シンイ)
- 枇杷葉(ビワヨウ)
- 升麻(ショウマ)
- 知母(チモ)
- 麦門冬(バクモンドウ)
- 百合(ビャクゴウ)
- 石膏(セッコウ)
- 黄ごん(オウゴン)
- 山梔子(サンシシ)
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特徴 |
- 清肺湯をベースに“辛夷”を主薬として加えた方剤です。明時代の「外科正宗」という古典書で紹介されています。
- 適応証(体質)は、実〜中間証(体力中くらい以上)、熱証(熱感・炎症)となります。
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注意 |

- 【診察で】

- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
 【注意する人】
- 体がひどく弱っている「著しい虚証」の人、また、冷えの強い人には向きません。
- 胃腸が弱く、食欲不振や吐き気、嘔吐や下痢などを起こしやすい人は慎重に用いるようにします。
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、辛夷清肺湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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効能 |

- 【ツムラ・他】

- 鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症。

- 【コタロー】

- 蓄膿症、慢性鼻炎、鼻閉。
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用法 |
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。
そのほか、間質性肺炎、肝障害、腸間膜静脈硬化症などが報告されいます。万一のことですが、咳や息切れ、発熱、皮膚や白目が黄色くなる、腹痛や下痢または便秘が続く といった症状に注意し、そのような場合は医師に報告してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 腸間膜静脈硬化症..長期服用時に腹痛・下痢・便秘・腹部膨満などが繰り返しあらわれる、便潜血陽性。
 【その他】
- 胃の不快感、食欲不振、吐き気、軟便、下痢
- 発疹、発赤、かゆみ
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