概説 |
気持ちをやわらげ、胃の働きをよくする漢方薬です。 |
作用 | 
- 【働き】

- 茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)という方剤です。抑うつ感や不安感をやわらげるとともに、胃の働きをよくして水分の停滞を改善します。
そのような作用から、精神神経症状をともなう湿性の胃症状、たとえば胃もたれ、胸やけ、吐き気などに好適です。尿量減少や動悸、ノドのつかえ感、めまいなども使用目安になります。体力が中くらいかやや虚弱な人に向く処方です。

- 【組成】

- 漢方薬は、自然の草や木からとった「生薬」の組み合わせでできています。茯苓飲合半夏厚朴湯には、心と体によいいろいろな生薬が配合されています。無駄な水分を取り除く“茯苓”と“蒼朮”、滋養強壮薬の“人参”、吐き気をしずめる“半夏”、気のめぐりをよくして元気をつける“厚朴”や“蘇葉”、さらに、健胃作用のある“陳皮”や“枳実”・“生姜”などからなります。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。病院では、煎じる必要のない乾燥エキス剤を用いるのが一般的です。
- 茯苓(ブクリョウ)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 人参(ニンジン)
- 陳皮(チンピ)
- 枳実(キジツ)
- 半夏(ハンゲ)
- 厚朴(コウボク)
- 蘇葉(ソヨウ)
- 生姜(ショウキョウ)
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特徴 |
- 茯苓飲と半夏厚朴湯を合わせた処方です。方剤名の由来もそこにあります。
- 適応証(体質)は、中間証〜やや虚証(やや虚弱)、湿証(水分停滞)、升証(ノドのつかえ感・嘔気・咳)、気滞(抑うつ・不安)となります。
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注意 |

- 【診察で】

- 持病のある人は医師に伝えておきましょう。
 【使用にあたり】
- ふつう、漢方薬は食前もしくは食間(空腹時)に飲みます。顆粒は、お湯で溶かしてから、ゆったりした気分で飲むとよいでしょう。むかつくときは、水で飲んでもかまいません。
- もし、食欲がなくなったり、吐き気を催すようでしたら、食後でもよいと思います。
- 効果のないときは、医師と相談してみてください。証の再判定が必要かもしれません。
 【備考】
- 漢方は中国で生まれた体系医学です。その起源は遠く2千年以上もさかのぼります。そして、日本にも古くから伝わり、独自の発展をとげました。
- 漢方の特徴は、体全体をみるということです。体全体の調子を整え、病気を治していくのです。ですから、病気の症状だけでなく、一人ひとりの体質も診断しなければなりません。このときの体の状態や体質をあらわすのが「証(しょう)」という概念です。このような考え方は、西洋医学が臓器や組織に原因を求めていくのとは対照的です。漢方のよさは、薬そのものよりも、証にもとづき「人をみる」という、その考え方にあるといっても過言でないでしょう。
- 病院では、服用が簡単な「エキス剤」が広く使われています。これは、煎じ薬を濃縮乾燥させたもので、そのままお湯に溶かすだけで飲めます(一部の専門外来では、生薬のまま調合することも)。現在、茯苓飲合半夏厚朴湯をはじめ約150種類の方剤が保険適応となっています。
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効能 |
気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気、胸やけなどがあり、尿量の減少するものの次の諸症。
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用法 |
通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口服用する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する(ツムラ)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
漢方薬にも少しは副作用があります。人によっては、服用時にむかついたり、かえって食欲がなくなるかもしれません。しだいに慣れることが多いのですが、つらいときは医師と相談してください。
- 胃の不快感、食欲不振、軽い吐き気
- 発疹、発赤、かゆみ
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