 概説 |
細菌を殺菌するお薬です。細菌が原因の病気に用います。 |
 作用 | 
- 【働き】
- 感染症は、病原微生物が人の体に侵入し悪さをする病気です。腫れや発赤を生じ、ときに化膿し、痛みや発熱により苦痛をもたらします（実は、このような症状は病原微生物と戦うための体の防衛システムでもあるのです）。
病原微生物には、細菌やウイルス、真菌（カビ）などが含まれますが、このお薬が有効なのは“細菌”による感染症です。グラム陽性菌をはじめ、グラム陰性菌や嫌気性菌などさまざまなタイプの細菌に有効です。病原菌が死滅すれば、腫れや発赤がおさまり、痛みがとれ、熱があれば解熱します。
具体的な適応症は、子供の肺炎と中耳炎、それと副鼻腔炎です。とくに、これらの原因菌となる“肺炎球菌”に強い抗菌力を示し、他の抗菌薬が効きにくい場合でも優れた効果が期待できます。なお、本来、インフルエンザを含め一般的なウイルス性の“かぜ”には無効なのですが、細菌による二次感染時やその恐れがあるときに用いることがあります。
- 【薬理】
- 細菌の細胞壁の合成を抑えることで、殺菌的に作用します。細菌が産生する抗生物質分解酵素のβラクタマーゼにも安定しています。
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 特徴 |
- 小児専用の経口剤として開発された“カルバペネム系”の抗生物質です。同系の注射薬はすでに販売済みですが、飲み薬としては国内初になります。活性本体のテビペネムに改良を加え経口吸収性を向上、注射薬と同等の効果が得られます。
- カルバペネム系は抗菌スペクトルが非常に広く、グラム陽性菌からグラム陰性菌、さらに嫌気性菌に対し強い殺菌作用を示します。また、ペニシリン耐性肺炎球菌（PRSP）をはじめ、マクロライド耐性肺炎球菌、アンピシリン耐性インフルエンザ菌など、一般的な抗菌薬が効きにくい各種耐性菌に対しても強い抗菌力を発揮します。
- 副作用の少ない安全性の高い抗生物質です。ショックなどのアレルギー症状もペニシリン系に比べれば少ないです。
- 抗菌力が強いぶん、下痢の副作用がやや多いようです。また、ピボキシル基をもつ抗生物質なので、低カルニチン血症を引き起こす可能性があります。新しいタイプの抗生物質ということで、他の一般的な抗菌薬による治療効果が期待できない症例に限り用いることになります。
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注意 |
【診察で】
- アレルギーを起こしやすい人は、必ず医師に伝えておきましょう。
- 今までに薬を飲んで発疹などアレルギー症状を起こしたことのある人は、その薬の名前を医師に教えてください。
- 喘息、じん麻疹、てんかん、腎臓病など持病のある人は、医師に報告してください。
- 服用中の薬を医師に伝えておきましょう。
【注意する人】
- この薬で、じん麻疹などアレルギー症状を起こしたことのある人は禁止です。同系のカルバペネム系、あるいは類似のペニシリン系やセフェム系抗生物質にアレルギーのある人も慎重に用いる必要があります。
- 喘息やじん麻疹などアレルギー性の病気のある人、てんかんや腎臓病のある人などは、副作用の発現に注意するなど慎重に使用するようにします。
- 赤ちゃんや小さな子供は、大人よりも下痢を起こしやすいです。また、まれに血液中のカルニチンが減少し、低血糖をまねくことがあります。このため、血清カルニチンが低下する先天性代謝異常がある場合は処方を控えるようにします。
- 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- てんかんの薬のバルプロ酸（デパケン等）を飲んでいる人は、この薬を飲んではいけません。併用によりバルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかん発作が再発するおそれがあるためです。
【使用にあたり】
- 決められた飲み方を守ってください。通常、１日２回、朝夕食後に飲みます。症状が重いときは、多めになることがあります。
- １包を適量の水で溶いてから飲むようにします｡大きい子供は、そのままでもかまいませんが、多めの水で飲ませてください｡
- 指示された期間きちんと続けましょう。症状によっては、少し長めになるかもしれません。自分だけの判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなるおそれがあります。
- ふつう、３〜４日も飲めば治ってきます。もし、効果がなかったり、かえって悪化する場合は、早めに受診してください。薬が合っていないかもしれません。
【その他】
- 下痢の予防に、乳酸菌の整腸薬と併用することがあります。
- 尿糖検査が不正確になることがあります。
- 【備考】
- 抗生物質の効きにくい細菌が増えています。ある調査によると、中耳炎を起こす肺炎球菌の７割が抵抗力を持っていたそうです。この薬は、そのような耐性菌に効果的ですが、第一選択薬としてむやみに用いるべきではありません。耐性菌を増やさないため、欧米では抗生物質の安易な使用は慎まれています。
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効能 |
- 【適応菌種】
- テビペネムに感性の黄色ブドウ球菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ（ブランハメラ）・カタラーリス、インフルエンザ菌
- 肺炎球菌にはペニシリン耐性肺炎球菌及びマクロライド耐性肺炎球菌を含む
- インフルエンザ菌にはアンピシリン耐性インフルエンザ菌を含む
- 【適応症】
- 肺炎、中耳炎、副鼻腔炎
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用法 |
通常、小児はテビペネム ピボキシルとして１回４mg（力価）/kgを１日２回食後に経口服用する。なお、必要に応じて１回６mg（力価）/kgまで増量できる。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
下痢や軟便が、３歳未満で３人に１人、３歳以上で１０人に１人くらいの割合で起こります。下痢が起こるのは、抗菌作用により 腸内細菌のバランスが乱れるためです。軟便くらいでしたら たいてい心配いりませんが、ひどい下痢が続くときや血便がみられるときは受診するようにしましょう。
人によっては、小さいブツブツした「発疹」ができます。ときに、発熱をともなうこともあります。この場合、いったん服用を中止し、医師の指導を受けてください。ショックに至るような重いアレルギー症状（アナフィラキシー）を起こすことはまずないですが、万一、ひどい「じん麻疹」ができたり、顔や口が腫れてゼーゼーしてくるときは、すぐに受診してください。
重い副作用として、けいれんの発現が同系の注射薬で報告されています。その頻度はきわめて低いのですが、もともと てんかんなど脳神経に病気のある人や、腎臓の働きが低下している人に起こりやすいことが分かっています。ほかにも、重い腎不全や血液障害、大腸炎、皮膚障害、低カルニチン血症にともなう低血糖などを起こす可能性がないわけではありません。下記のような初期症状をふまえ、念のため注意するようにしましょう。
【重い副作用（類薬）】 ．．めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー．．気持ちが悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔のむくみ・腫れ、のどが腫れゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- けいれん．．筋肉のぴくつき、ふるえ、白目、硬直、全身けいれん、意識低下・消失。
- 腎臓の重い症状．．尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
- 重い血液成分の異常．．発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血（血豆・青あざ）や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 大腸炎．．激しい腹痛、頻回な下痢、発熱、血液便、下血。
- 重い皮膚・粘膜障害．．発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 間質性肺炎．．から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 肝臓の重い症状．．だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 低カルニチン血症に伴う低血糖．．元気がない、吐く、冷や汗、異常な言動、ふるえ、ぴくつき、けいれん、意識がうすれる。
【その他】
- 発疹（小さな赤いブツブツなど）、じん麻疹（プックリと赤く腫れる）
- 軟便、下痢、腹痛、吐き気、嘔吐
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