|  概説 | 細菌を殺菌するお薬です。細菌が原因のいろいろな病気に用います。 | 
|  作用 |  
 【働き】
  
感染症は、病原微生物が人の体に侵入し悪さをする病気です。腫れや発赤を生じ、ときに化膿し、痛みや発熱により苦痛をもたらします(実は、このような症状は病原微生物と戦うための体の防衛システムでもあるのです)。
 病原微生物には、細菌やウイルス、真菌(カビ)、原虫などが含まれます。このお薬が有効なのは おもに“細菌”による感染症です。グラム陽性菌をはじめ、マイコプラズマという細菌に有効です。病原菌が死滅すれば、腫れや発赤がおさまり、痛みがとれ、熱があれば解熱します。
 
 細菌以外のトキソプラズマ原虫という寄生虫にも有効です。保険適応外で正式な効能ではありませんが、妊娠中にトキソプラズマ初感染が疑われる場合に処方されることがあります。胎内感染を防ぎ、赤ちゃんへの悪影響を避けるためです。早期服用により、胎内感染が約60%低下すると報告されています。
  
 【薬理】
  
細菌の蛋白質の合成を阻害することで、その増殖を抑えます(静菌作用)。高濃度では殺菌的に作用します。
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|  特徴 | マクロライド系の抗生物質です。グラム陽性菌にわりとよく効きます。ただ、同系の新しい抗生物質がたくさん開発されたこともあり、最近はあまり処方されません。未承認となりますが、妊娠中のトキソプラズマ初感染時に単独で、その他のトキソプラズマ症にサルファ薬などと併用して用いることがあります。 | 
  
    |  注意 |  【診察で】
 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えておきましょう。服用中の薬は、医師に伝えてください。
  【注意する人】
  【使用にあたり】
 決められた飲み方を守ってください。症状、年齢、製剤によって用法用量が異なります。症状が重いときは、多めになることがあります。時間毎(6時間毎等)のほか、食事に合わせて食後に飲むことも多いです。コップ1杯ほどの十分な水で飲んでください。指示された期間きちんと続けましょう。症状によっては、少し長めになるかもしれません。自分だけの判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなるおそれがあります。ふつう、3〜4日も飲めば治ってきます。もし、効果がなかったり、かえって悪化する場合は、早めに受診してください。薬が合っていないかもしれません。
  
 【妊娠・授乳】
  
妊婦トキソプラズマ症に応用されることがあります。使用実績も多く、妊娠中でも比較的安全と考えられています。
  
 【備考】
  
抗生物質の効きにくい細菌が増えています。ある調査によると、中耳炎を起こす肺炎球菌の7割が抵抗力を持っていたそうです。このような耐性菌を増やさないため、欧米では抗生物質の安易な使用は慎まれています。
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    |  効能 |  
 【適応菌種】
  
スピラマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、梅毒トレポネーマ
  【適応症】
 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染梅毒子宮付属器炎涙のう炎、麦粒腫中耳炎猩紅熱
  
 【応用】
  
妊娠中のトキソプラズマ胎内感染予防、トキソプラズマ症など。
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    |  用法 | 通常、成人はスピラマイシン酢酸エステルとして1回200mg(力価)を1日4〜6回経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。 
    
      
        | ※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
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    |  副作用 | 副作用は少ないほうです。ときに、吐き気や食欲不振、下痢などの胃腸症状があらわれます。軽ければたいてい心配ないですが、ひどい症状が続くときは早めに受診してください。重い副作用はまずありません。 
 
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