おくすり110番
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成分(一般名) ダルナビル エタノール付加物
製品例 プリジスタ錠600mg、プリジスタナイーブ錠800mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/プロテアーゼ阻害剤/抗ウイルス化学療法剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 エイズウイルスの増殖を抑えるお薬です。エイズの治療に用います。
作用

【働き】

エイズは、エイズウイルスの感染により起こる病気です。エイズウイルスは血液や精液を介してうつります。体に入ったエイズウイルスは、免疫系の細胞(白血球の一種のCD4リンパ球)を破壊しながら、徐々に増殖していきます。そして、体の免疫力がしだいに低下し、数年から十数年後に発症します。重い感染症にかかったり、リンパ腫などの悪性腫瘍に侵されやすくなり命にかかわることもあるのです。

このお薬は、エイズウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬です。ウイルスの成熟を阻止する作用があります。ウイルスが減るとともに、免疫力が回復し、病状が改善します。また、エイズの発症や進行を遅らせ、長生きにもつながるのです。ただし、エイズウイルスを完全に死滅させることは困難です。したがって、生涯にわたり治療を続けなければなりません。

  • ※エイズ:後天性免疫不全症候群
  • ※エイズウイルス:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

【薬理】

エイズウイルスのプロテアーゼという酵素の働きを阻害することで、細胞に感染性をもつ成熟ウイルスへの移行を阻止します。これにより、新たな細胞への感染が起こらなくなり、エイズウイルスの増殖が抑制されます。このような作用から「プロテアーゼ阻害薬」と呼ばれています。

既存のプロテアーゼ阻害薬とは作用部位が異なります。既存薬が変異しやすいプロテアーゼの端(アミノ酸の側鎖)に結合するのに対し、この薬は中心部分(アミノ酸の主鎖)に結合します。このため、エイズウイルスが薬に対する抵抗性をもちにくく、薬の効き目が落ちることが少ないのです。薬剤耐性を生じにくいわけです。
特徴
  • プロテアーゼ阻害薬(PI)に分類される抗ウイルス薬です。略号はDRV。抗ウイルス作用が強く、高い有効率が得られます。比較的安全性が高く、同系としては副作用も少ないほうです。初回治療の服薬回数が1日1回で簡便なこともあり、プロテアーゼ阻害薬ベースの治療をおこなう場合、この薬が主要薬(キードラッグ)として推奨されています。難点を2つあげるとすれば、血中濃度維持のためリトナビル(ノービア)と併用する必要があること、薬物間相互作用による併用制限がやっかいなことです。
  • 他のプロテアーゼ阻害薬とは作用部位が異なるため、耐性ウイルスに対しても高い治療効果が期待できます。この特性から、当初は他の抗ウイルス薬による治療経験のある患者さんに対する2次治療薬としてプリジスタ錠300mgが開発されました。その後、治療経験がない患者さんを対象にした臨床試験が実施され、初回治療に使用できるプリジスタナイーブ錠400mgが承認されています。現在は、1回1錠の服用で済むプリジスタ錠600mgとプリジスタナイーブ錠800mgが販売されています。
  • 作用増強と耐性回避のため、リトナビルとともに2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬との併用治療が標準的です。推奨される併用薬は、テノホビル(ビリアード)とエムトリシタビン(エムトリバ)またはその配合剤のツルバダ(TDF/FTC)、アバカビル(ザイアジェン)とラミブジン(エピビル)またはその配合剤のエプジコム(ABC/3TC)、あるいはジドブジン(レトロビル)とラミブジン(エピビル)またはその配合剤のコンビビル(AZT/3TC)などです。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に報告しておきましょう。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
  • 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告してください。

【注意する人】

肝臓の悪い人は薬の代謝が遅れがちです。副作用の発現に注意するとともに、定期的に肝機能検査をおこなうなど慎重に用いるようにします。血友病の人は、出血の増加に注意が必要です。

  • 注意が必要なケース..肝臓病、血友病、高齢の人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

いろいろな薬と相互作用を起こしやすい性質があります。飲み合わせによっては、薬の副作用がでやすくなります。逆に効果が弱くなってしまうこともあります。服用中の薬は必ず医師に報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。

  • 併用禁止の薬には、睡眠薬のトリアゾラム(ハルシオン)、抗けいれん薬のミダゾラム(ドルミカム、ミダフレッサ、ブコラム)、安定薬のピモジド(オーラップ)、ブロナンセリン(ロナセン)、ルラシドン(ラツーダ)、片頭痛の薬のエルゴタミン系製剤(クリアミン)、子宮収縮止血薬のメチルエルゴメトリン(パルタンM)、勃起不全治療薬のバルデナフィル(レビトラ)、肺高血圧症治療薬のシルデナフィル(レバチオ)とタダラフィル(アドシルカ)、高血圧症治療薬のアゼルニジピン(レザルタス、カルブロック)、C型慢性肝炎治療薬のアスナプレビル(スンベプラ、ジメンシー)とグラゾプレビル(グラジナ)、抗血栓薬のリバーロキサバン(イグザレルト)などがあります。併用により、これらの薬の代謝が遅れ、重い副作用を起こすおそれがあるためです。
  • 同様の理由で併用に注意が必要な薬として、抗菌薬のクラリスロマイシン(クラリス)やリファブチン(ミコブティン)、コレステロール低下薬のスタチン系薬剤(リポバス、リピトール、メバロチン、クレストール)、気管支拡張薬のサルメテロール(セレベント)、勃起不全治療薬のシルデナフィル(バイアグラ)やタダラフィル(シアリス)、抗不整脈薬のアミオダロン(アンカロン)、免疫抑制薬のシクロスポリン(ネオーラル)やタクロリムス(プログラフ)、強心薬のジゴキシン(ジゴシン)などがあります。
  • 一方、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)と併用すると、この薬の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがあるため、できるだけ併用を避けます。抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)やフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、肝炎治療薬のテラプレビル(テラビック)なども同様に注意が必要です。
  • MAC症に用いる抗酸菌症治療薬のリファブチン(ミコブティン)の血中濃度が上昇しやすいです。併用する場合は、リファブチンの減量を考慮する必要があるかもしれません。
  • 痛風やベーチェト病の治療に用いるコルヒチンの血中濃度を上昇させ中毒をまねくおそれがあります。とくに肝臓病や腎臓病のある人は、併用を避けなければなりません。
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品はとらないでください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。
  • ほかにも、抗血栓薬や抗不整脈薬、免疫抑制薬など注意が必要な薬がたくさんありますから、飲み合わせについては医師の指示どおりにしてください。

【使用にあたり】
  • 決められた時間に正確に飲んでください。規則正しい服用は、薬の血中濃度を一定に保ち、ウイルスに増殖する“すき”を与えないために重要です。飲み忘れにも十分注意しましょう。抗エイズ薬の服薬率が95%を割ると、薬の効きにくい耐性ウイルスの出現が多くなるという報告があります。
  • 1日2回服用のプリジスタ錠600mgと、1日1回服用のプリジスタナイーブ錠800mgがあります。いずれかを、治療歴やウイルスの薬剤耐性の有無によって使い分けます。おもに、前者は治療経験がある場合に、後者はない場合に用います。
  • 飲む時間は、どちらも食事中または食直後です。空腹時ですと、吸収がよくありません。必ずリトナビル(ノービア)といっしょに飲む必要があります。なお、リトナビル含有製剤にはノービア錠100mgとノービア内用液8%の2種類の製品があります。
  • 万一飲み忘れた場合は、飲み忘れた分は飲まず、次の食事と時に飲んでください。ただし、この時2回分を一度に飲んではいけません。通常の1回分にしてください。
  • 自分だけの判断で量を変えたり、飲むのをやめてはいけません。不用意な減量や中断は、薬の効き目を悪くし、治療を困難にします。

【検査】

処方に先立ち、薬剤耐性検査をおこなうことがあります。また、効果判定のため、免疫細胞(CD4)の増加とウイルス量の低下を調べます。さらに、副作用をチェックするため、いろいろな検査を受けなければなりません。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。この薬を飲むことで、赤ちゃんの感染リスクを減らせる可能性があります。なお、妊娠中に推奨されるのは、主要薬はプロテアーゼ阻害薬のロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)、基礎薬としてヌクレオシド系のジドブジン・ラミブジン配合剤(コンビビル)の組み合わせです。
  • 授乳は避けてください。乳汁中に薬が移行するかもしれません。また、母乳中のエイズウイルスにより赤ちゃんが感染するおそれがあります。

【食生活】
  • エイズウイルスの感染力は非常に弱く、日常の社会的接触であれば感染することはありません。ただし、性的接触により感染の可能性があります。この薬を飲み始めても、その点には留意が必要です。
  • めまいを起こすことがあります。車の運転や高所作業などには十分注意してください。

【備考】
  • エイズの薬は、大きく、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬(この薬)、インテグラーゼ阻害薬の3系統に分かれます。逆転写酵素阻害薬は、さらにヌクレオシド系と非ヌクレオシド系に分かれます。作用増強と耐性回避のため、これらを組み合わせる多剤併用療法が一般的です。現在、初回治療として推奨されるのは、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬をベースドラッグとし、これにキードラッグの非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬と低用量リトナビル、またはインテグラーゼ阻害薬のいずれかを加える3剤ないし4剤併用療法です。このような多剤併用療法によりエイズの予後はたいへん改善し、より長生きできるようになりました。
  • 免疫力が低下しエイズを発症すると、別のいろいろな感染症にかかりやすくなります。サイトメガロウイルス、カンジダ、ニューモシスチス(カリニ)・・ふつうなら感染しにくい微生物にまで侵されてしまうのです。このような2次感染症に対しては、抗菌薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬などで強力な治療をおこないます。
効能

【効能】

HIV感染症

【注意】

本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。

  • プリジスタ錠600mg:本剤は抗HIV薬の治療経験があり、少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つHIV感染患者に使用すること。
  • プリジスタナイーブ錠800mg:本剤は抗HIV薬の治療経験がないHIV感染患者あるいはダルナビル耐性関連変異を持たない抗HIV薬既治療患者に使用すること。
用法

【プリジスタ錠600mg】

通常、成人はダルナビルとして1回600mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日2回食事中又は食直後に併用服用する。服用に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。

【プリジスタナイーブ錠800mg】

通常、成人はダルナビルとして1回800mgとリトナビル1回100mgをそれぞれ1日1回食事中又は食直後に併用服用する。服用に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。

【注意】

本剤は下記を参照し使用すること。

  • 抗HIV薬による治療経験がないHIV感染患者:プリジスタナイーブ錠800mg1錠を1日1回服用
  • 抗HIV薬による治療経験のある患者、ダルナビル耐性関連変異を持たない患者:プリジスタナイーブ錠800mg1錠を1日1回服用
  • 抗HIV薬による治療経験のある患者、少なくとも1つのダルナビル耐性関連変異を持つ患者:プリジスタ錠600mg1錠を1日2回服用

    なお、抗HIV薬による治療経験のある患者には薬剤耐性遺伝子型検査の実施が推奨されるが、遺伝子型検査が行えない場合には、プリジスタ錠600mg1錠を1日2回服用が推奨される。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、下痢、吐き気、腹痛など胃腸症状、頭痛や発疹などです。発疹の多くは軽度で一時的ですので、薬を中止することなく継続可能です。ただし、ごくまれに重篤な皮膚障害へ進展することがありますので、ひどくなるようでしたら早めに受診してください。

そのほか、重い副作用として、肝機能障害や黄疸、急性膵炎の報告があります。血友病のある人は、出血の発現にも注意してください。さらに、免疫機能の回復に伴う免疫再構築炎症反応症候群として 体にさまざまな異変を生じる可能性があります。いつもと違う症状があらわれたら、どのようなことでも医師に報告してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
  • 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 膵炎..吐き気、吐く、持続的な激しい腹痛、上腹部または腰から背中の激痛、発熱。

【その他】
  • 下痢、吐き気、吐く、腹痛
  • 発疹、じん麻疹、かゆみ
  • 頭痛、めまい、筋肉痛、疲労
  • 高脂血症、血糖値上昇、リポジストロフィー(手足や顔が痩せ、胸や肩・腹部が太る)
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye