おくすり110番
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成分(一般名) マラビロク
製品例 シーエルセントリ錠150mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/CCR5阻害剤/抗ウイルス化学療法剤(CCR5阻害剤)

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 エイズウイルスの増殖をおさえるお薬です。エイズの治療に用います。
作用

【働き】

エイズは、エイズウイルスの感染により起こる病気です。エイズウイルスは血液や精液を介してうつります。体に入ったエイズウイルスは、免疫系の細胞(白血球の一種のCD4リンパ球)を破壊しながら、徐々に増殖していきます。そして、体の免疫力がしだいに低下し、数年から十数年後に発症します。重い感染症にかかったり、リンパ腫などの悪性腫瘍に侵されやすくなり命にかかわることもあるのです。



このお薬は、エイズウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬です。ウイルスが免疫細胞内に侵入するのを阻止し、細胞内でウイルス複製をできなくします。ウイルスが減るとともに、免疫力が回復し、病状が改善します。また、エイズの発症や進行を遅らせ、長生きにもつながるのです。ただし、エイズウイルスを完全に死滅させることは困難です。したがって、生涯にわたり治療を続けなければなりません。

  • ※エイズ:後天性免疫不全症候群
  • ※エイズウイルス:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
  • ※タイプ1:日本人感染者のほとんどが1型(HIV-1)

【薬理】

エイズウイルスが人の免疫細胞に入るさい、免疫細胞の膜にあるケモカイン受容体を介して侵入します。この薬は、ケモカイン受容体(CCR5)と選択的に結合することで、エイズウイルスとケモカイン受容体の結合を阻止します。その結果、免疫細胞内への侵入ができなくなり、細胞内での複製ができなくなるのです。

なお、エイズウイルスが利用するケモカイン受容体には、ケモカイン受容体4(CXCR4)とケモカイン受容体5(CCR5)の2種類があります。この薬が作用するのは、後者のケモカイン受容体5(CCR5)に限られます。したがって、適応はケモカイン受容体5を介するCCR5指向性エイズウイルス感染症ということになります。ケモカイン受容体4を介して侵入するエイズウイルスには無効です。一般的に、感染早期ないし急性期においてはCCR5指向性ウイルスが優勢(80%)とされ、進行した症例ではCXCR4指向性または二重指向性ウイルスの検出割合が増加するといわれています。
特徴
  • HIV侵入阻止薬またはCCR5阻害薬と呼ばれる新しいクラスの抗エイズ薬です。略号はMVC。適用となるのは、CCR5指向性のあるエイズウイルス感染症に限りまする。作用のしかたが違うので、従来の標準的な抗ウイルス薬が効かない場合や副作用で使えないときに有用です。初回治療には従来の標準薬を用いることが多く、この薬の処方はまだ少ないです。作用増強と耐性回避のため、必ず別系統の抗ウイルス薬と併用します。
  • 有効なのは、ケモカイン受容体5(CCR5)を介して侵入するCCR5指向性エイズウイルスです。CXCR4指向性またはCCR5/CXCR4二重指向性ウイルスには適用しません。ウイルスの指向性を特定するには、専門性の高い高感度な検査が必要です。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 別に薬を飲んでいる場合は、必ず医師に報告しておきましょう。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
  • 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告してください。

【注意する人】

腎臓の働きが悪いと、薬の排泄が遅れがちです。そのため、腎臓病のある人は服用間隔を調節したり服用量を減らしたほうがよいことがあります。心臓病や肝臓病、起立性低血圧のある人は、病状の悪化に注意するなど慎重に用いるようにします。

  • 注意が必要なケース..腎臓病、心臓病、肝臓病(B型、C型肝炎等)、起立性低血圧のある人、降圧薬を服用中の人。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

いろいろな薬と相互作用を起こしやすい性質があります。血中濃度が上昇し作用が増強したり、逆に低下し弱くなってしまうこともあります。飲み合わせによっては服用量の調節が必要です。

  • 別の抗エイズ薬のプロテアーゼ阻害薬と併用すると、この薬の血中濃度が上昇するので、必要に応じ服用量を半減するようにします。同様に、抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)や抗真菌薬のイトラコナゾール(イトリゾール)、C型慢性肝炎治療薬のテラプレビル(テラビック)と併用する場合も減量します。
  • 逆に、エファビレンツ(ストックリン)など非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬と併用すると、この薬の血中濃度が低下するので、服用量を倍増する必要があります。同様に、抗けいれん薬のカルバマゼピン(テグレトール)やフェノバルビタール(フェノバール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、抗結核薬のリファンピシン(リファジン)と併用する場合も増量が必要です。
  • セイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)を含む健康食品はとらないでください。この薬の作用を弱めるおそれがあります。

【使用にあたり】
  • 決められた飲み方を守ってください。規則正しい服用は、薬の血中濃度を一定に保ち、ウイルスに増殖する“すき”を与えないために重要です。飲み忘れにも十分注意しましょう。抗エイズ薬の服薬率が95%を割ると、薬の効きにくい耐性ウイルスの出現が多くなるという報告があります。
  • 通常、1日2回、1回に2錠(300mg)飲みます。ただし、併用薬によっては服用量を倍増または半減します。また、腎機能が低下している場合、服用間隔をあけたり服用量を減らすことがあります。食事と関係なく服用可能です。
  • 飲み忘れた場合は、気付いたときにすぐに飲んでください。ただし、次に飲む時間が近い場合は、1回分は抜かし次の通常の時間に1回分を服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 自分だけの判断で量を変えたり、飲むのをやめてはいけません。不用意な減量や中断は、薬の効き目を悪くし、治療を困難にします。

【検査】
  • 事前にウイルスの指向性検査をおこない、どのタイプか特定する必要があります。CCR5指向性エイズウイルスと判定された場合に限り適応となります。
  • 効果判定のため、免疫細胞(CD4)の増加とウイルス量の低下を調べます。さらに、副作用をチェックするため、いろいろな検査を受けなければなりません。とくに、血液と肝臓の検査が重要です。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。この薬を飲むことで、赤ちゃんの感染リスクを減らせる可能性があります。なお、妊娠中に推奨されるのは、主要薬はプロテアーゼ阻害薬のロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)、基礎薬としてヌクレオシド系のジドブジン・ラミブジン配合剤(コンビビル)の組み合わせです。
  • 授乳は避けてください。乳汁中に薬が移行すると考えられます。また、母乳中のエイズウイルスにより赤ちゃんが感染するおそれがあります。

【食生活】
  • めまいを起こすことがあります。車の運転や危険をともなう機械の操作、高所での作業には十分注意してください。
  • エイズウイルス(HIV)の感染力は非常に弱く、ふつうの社会的な接触であれば感染することはありません。ただし、性的接触により感染する危険性があります。この薬を飲んでいたとしても、その点は同様です。

【備考】
  • エイズの薬は、大きく、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬の3系統に分かれます。逆転写酵素阻害薬は、さらにヌクレオシド系と非ヌクレオシド系に分かれます。作用増強と耐性回避のため、これらを組み合わせる多剤併用療法が一般的です。現在、初回治療として推奨されるのは、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬をベースドラッグとし、これにキードラッグの非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬と低用量リトナビル、またはインテグラーゼ阻害薬のいずれかを加える3剤ないし4剤併用療法です。これに、新しい作用機序を持つこの薬が加わり、選択肢がさらに増えました。今後、薬剤耐性にも十分対応できるようになり、予後もさらに改善されることでしょう。
  • 免疫力が低下しエイズを発症すると、別のいろいろな感染症にかかりやすくなります。サイトメガロウイルス、カンジダ、ニューモシスチス(カリニ)・・ふつうなら感染しにくい微生物にまで侵されてしまうのです。このような2次感染症に対しては、抗菌薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬などで強力な治療をおこないます。
効能 CCR5指向性HIV-1感染症
用法 通常、成人はマラビロクとして1回300mgを1日2回経口服用する。なお、服用に際しては必ず他の抗HIV薬を併用し、併用薬に応じて適宜増減すること。本剤は、食事の有無にかかわらず服用できる。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 使用実績は少なく、副作用についても十分解明されていません。現時点、頻度の高い重篤な副作用はみられないようです。人によっては、吐き気や便秘、頭痛やめまい、不眠、疲労、発疹などが現れるかもしれません。重症化することはほとんどなく、軽い場合は治療を優先しなければなりません。

肝障害など重い副作用の報告もありますが、その頻度はまれです。もともと心臓が悪い人は、心臓発作の発現に念のため注意してください。また、免疫細胞の働きを弱める可能性があるので、感染症や悪性腫瘍の発症・転移の危険性がまったくないわけではありません。そのほか、免疫機能の回復に伴う免疫再構築炎症反応症候群として 体にさまざまな異変を生じる可能性があります。いつもと違う症状があらわれたら、どのようなことでも医師に報告してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 心筋虚血..胸の痛み・違和感・圧迫感、動悸、冷汗、締め付けられるような胸の痛み。
  • 肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
  • 肺炎、食道カンジダ症..発熱、咳、痰。
  • 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)..発疹・発赤、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、水ぶくれ、皮がむける、強い痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。

【その他】
  • 吐き気、嘔吐、腹痛、便秘、下痢
  • 頭痛、めまい、立ちくらみ、不眠、疲労
  • 発疹
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye