おくすり110番
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成分(一般名) テノホビル アラフェナミド フマル酸塩
製品例 ベムリディ錠25mg ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/その他/抗ウイルス化学療法剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 B型肝炎ウイルスの増殖を抑えるお薬です。B型肝炎やB型肝硬変の治療に用います。
作用

【働き】

肝臓病の多くはウイルス性です。とくにB型とC型ウイルス(HBV、HCV)による慢性肝炎が問題となります。慢性肝炎になると、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、長いあいだに一部が肝硬変へと進み、さらには肝臓がんに至ります。この流れを絶つことが治療の最大の目標です。B型ではその指標としてウイルス抗原(HBs抗原)の消失をめざします。

このお薬は、B型肝炎ウイルスに有効な抗ウイルス薬です。ウイルス遺伝子の複製過程を阻害し、ウイルスの増殖を強力におさえます。抗ウイルス療法が適応されるのは、ウイルス量(HBV DNA量)が多く、肝機能値(ALT値)が思わしくないB型慢性肝疾患に対してです。中高年の慢性肝炎に用ることが多いですが、若い人でも進行が早く沈静化の見通しがなければ処方対象になります。治療により、ウイルスが減少し肝機能値が正常化すれば、肝硬変や肝臓がんへの進展を止めることができるのです。

【薬理】

肝細胞内でリン酸化され、活性代謝物であるテノホビル二リン酸に変わります。テノホビル二リン酸は、ウイルスの逆転写酵素により遺伝子‘DNA’に取り込まれ、ウイルスの複製をじゃまします。

【臨床試験】

類似薬のテノホビル ジソプロキシル(テノゼット)との比較試験が2つおこなわれています。1つはウイルス抗原(HBe抗原)が陰性の患者さんを対象とした試験、もう1つは抗原陽性の患者さんが対象です。どちらにも未治療と既治療の患者さんが含まれます。効果判定のための主要評価項目は、服薬1年後に肝炎ウイルスが陰性化した人の割合(HBV DNA陰性化率:HBV DNA量29IU/mL未満)です。なお、対照薬のテノホビル ジソプロキシルは、従来からB型慢性肝炎に対する第一選択薬の一つとして位置付けられています。

その結果、抗原陰性者を対象とした試験では、この薬を飲んでいた人達のウイルス陰性化率が94%(268/285人)、対照薬のテノホビル ジソプロキシルでは93%(130/140人)でした。また、抗原陽性者の試験では、この薬の陰性化率が64%(371/581人)、テノホビル ジソプロキシルで67%(195/292人)でした。いずれの試験でも、テノホビル ジソプロキシルと大差なく、同程度の有効性が証明されたわけです。また、安全性については、心配される骨や腎機能への悪影響がより小さいことが分かりました。
特徴
  • 有効成分はテノホビル アラフェナミド(略号TAF)。B型肝炎ウイルスに作用する抗ウイルス薬です。化学構造的に核酸系(ヌクレオシド系)になり、核酸アナログ(核酸類似物質)というカテゴリーに分類されます。ウイルス逆転写酵素を阻害する作用から、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)と呼ばれることもあります。
  • 核酸アナログが適用となるのは、インターフェロン注射による初回治療で十分な効果が得られない慢性肝炎、あるいはインターフェロンが副作用などで使いにくい場合です。一方、肝硬変に対しては初めから使われます。核酸アナログは肝炎の沈静化にたいへん有益ですが、肝細胞内のウイルスを完全に排除するのは難しいです。このため、維持療法として服用期間は長めになります。
  • 肝細胞内で活性代謝物のテノホビル二リン酸に変わるプロドラッグです。従来品のテノホビル ジソプロキシル(テノゼット)より血液中で安定しており、効率よく活性代謝物に変換されます。このような特性により、1/10以下の用量で同等の効果が得られるうえ、副作用として心配される腎臓や骨への影響も少ないです。
  • 標準的に用いられる核酸アナログ製剤のテノホビル ジソプロキシル(テノゼット)やエンテカビル(バラクルード)と同程度の有効性があり、さらに他剤に抵抗性または無効例に対しても一定の効果が期待できます。現在まで耐性ウイルスがみられず、その点にも優れます。今後、第一選択薬の一つとして処方される機会が増えることでしょう。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 使用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
  • 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告してください。

【注意する人】

非代償性肝硬変への使用実績は少ないです。このため、注意深く経過観察するなど慎重に用いられます。腎臓病のある人は、腎機能の悪化に注意が必要です。

  • 注意が必要なケース..非代償性肝硬変、腎臓病のある人など。

【飲み合わせ・食べ合わせ】
  • 同一成分を含有する抗エイズウイルス薬のデシコビ配合錠とゲンボイヤ配合錠との併用は避けます。また、活性代謝物が同じテノホビルテノホビル ジソプロキシル(テノゼット)との併用もありません。
  • 結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)と健康食品のセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)は禁止です。併用により、この薬の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがあるためです。禁止ではありませんが、同様の理由で注意が必要なのが、MAC症などに用いる抗酸菌症治療薬のリファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)やカルバマゼピン(テグレトール)などです。

【使用にあたり】
  • 決められた飲み方を守ってください。規則正しい服用は、薬の血中濃度を一定に保ち、ウイルスに増殖する“すき”を与えないために重要です。飲み忘れにも十分注意しましょう。
  • 通常、1日1回、1回に1錠(25mg)服用します。食事と関係なく飲めますが、決められた時間にしてください。
  • 飲み忘れた場合、気づいたときに直ちに服用してください。ただし、翌日に気づき次の服用時間が近ければ、その分は抜かし次の通常の時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • B型肝炎では単剤による治療が基本ですが、他剤耐性ウイルスに対しては他の核酸アナログ製剤と併用することがあります。
  • 治療終了時期は、医師により慎重に決められます。病状によっては生涯続けなければなりません。安易に中断すると、急激に病状が悪化するおそれがありますから、自分だけの判断でやめてはいけません。

【検査】

効果判定のため、肝機能値(ALT)やウイルス量、HBe抗原などを調べます。必要に応じ、血中クレアチニンや血中リンなど腎機能にかかわる検査をおこないます。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。はっきりとは分かりませんが、他の同類薬に比べ胎児への安全性が比較的高いのではと推定されています。
  • 授乳は避けてください。乳汁中に薬が移行すると考えられます。

【食生活】
  • 健康食品やハーブティーとして販売されているセイヨウオトギリソウ( セント・ジョーンズ・ワート)の飲食はしないでください。飲み合わせにより、この薬の効果が減弱するおそれがあるためてす。
  • B型肝炎ウイルスの感染力は概して弱く、ふつうの社会的な接触であれば感染することはありません。ただし、血液を介したり、性的接触により感染するおそれがあります。この薬を飲んでいたとしても、その点に留意してください。

【備考】
  • B型肝炎の治療薬は2種類に大別されます。この薬をふくむ核酸アナログ製剤とインターフェロン製剤です。どちらかを、治療歴、抗原の状態、ウイルス量、線維化進展度、年齢などを考慮し、適切に使いわけます。薬が不要になることを目指す2種併用療法(シークエンシャル療法)も試みられます。
  • 核酸アナログ製剤でB型肝炎に保険適用となるのは、ラミブジン(ゼフィックス)、アデホビル(ヘプセラ)、エンテカビル(バラクルード)、テノホビル ジソプロキシル (テノゼット)、テノホビル アラフェナミド(ベムリディ:この薬)の5製剤です。最初に発売されたラミブジンは耐性ウイルスが発現しやすいのが欠点です。薬が効かない変異ウイルス(YMDD)の増殖により、よくなった肝機能値が再び悪化してしまうのです。アデホビルは、そのような変異ウイルスにも有効で、変異ウイルスの出現時にラミブジンと併用するようにします。エンテカビルとテノホビルは、耐性ウイルスを生じにくく治療効果にも優れるため、核酸アナログ製剤として第一選択されるようになりました。
効能 B型肝炎ウイルスの増殖を伴い肝機能の異常が確認されたB型慢性肝疾患におけるB型肝炎ウイルスの増殖抑制
用法 通常、成人はテノホビル アラフェナミドとして1回25mgを1日1回経口服用する。

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、吐き気、腹部膨満、頭痛、疲労などです。そのほか、急性腎不全など重い腎機能障害の報告があります。頻度はごくまれですが、もともと腎臓病のある人は要注意です。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 乳酸アシドーシス・肝腫大(脂肪肝)..吐き気、吐く、腹痛、下痢、けん怠感、息苦しい、息が荒い、筋肉痛、手足の震え・脱力、歩けない、動悸、急激な体重減少、意識の低下、右上腹部の張り・圧迫感。

【その他】
  • 吐き気、腹部膨満、頭痛、疲労
  • クレアチニン増加、腎機能異常
  • 骨密度の低下
  • 発疹、かゆみ
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye