概説 |
ヘルペスウイルスの増殖を抑えるお薬です。帯状疱疹や単純疱疹の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き-1】

- ヘルペスウイルスの仲間は‘水ぶくれ’をつくります。その一種が水痘・帯状疱疹ウイルスです。帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)治癒後に神経に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症します。帯状に小さな皮疹や水ぶくれができ、ピリピリ痛みます。皮疹は2〜3週間で自然治癒しますが、人によっては帯状疱疹後神経痛として痛みが長く続きます。
このお薬は、ヘルペスウイルスに効く抗ウイルス薬です。水痘・帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹の治療に用いられます。ウイルスの増殖を止めるので、発症初期に用いると効果的です。初期治療により 病状の悪化がおさえられ、より早く治せるのです。10%位の人にみられる帯状疱疹後神経痛への移行抑制効果も期待できます。

- 【働き-2】

- 単純疱疹もヘルペスウイルスの仲間による感染症です。単純ヘルペスウイルスが皮膚や粘膜に感染し、ぶつぶつや水ぶくれを生じ、痒みや痛みを伴います。代表的なのが、口唇ヘルペスと性器ヘルペスです。
このお薬は、再発性の単純疱疹の初期治療(PIT療法)に用いられます。あらかじめ処方された薬を、患者さんが初期症状を自覚したときにすぐ服用します。すばやい治療により、ひどくならずに早期の治癒が見込めるのです。

- 【薬理】

- ウイルスのDNA複製にかかわる酵素‘ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体’の活性を阻害することにより、ヘルペスウイルスの増殖を抑制します。

- 【臨床試験】

- 既存の同効薬バラシクロビル(バルトレックス)との比較試験が行われています。バラシクロビルは国内で多用される核酸系の抗ヘルペスウイルス薬です。参加したのは、帯状疱疹による皮疹出現後72時間以内の患者さん約700人。そして、この薬を飲む人と、バラシクロビルを飲む人に分かれ、服薬4日目以降に新しい皮疹ができなくなった人の割合‘新皮疹形成停止率’を比較します。
その結果、新皮疹形成停止率は、この薬を飲んでいた人達で81.1%(197/243人)、バラシクロビルの人達で75.1%(184/245人)でした。この割合は、事前に規定した同等性(非劣性)の基準を満たし、バラシクロビルと同等の有効性が証明されたことになります。なお、帯状疱疹後神経痛(3カ月後に痛みが残存)へ移行した人は、この薬の人達で1.0%(2/193人)、バラシクロビルで1.0%(2/206人)と同率でした。無治療の場合の帯状疱疹後神経痛の発症率は約10%とされますので、帯状疱疹後神経痛の移行抑制効果も十分期待できるわけです。
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特徴 |
- 非核酸系の新しい抗ヘルペスウイルス薬です。ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体阻害薬であり、既存の核酸類似体とは作用機序が違います。交差耐性がないため、既存薬で効果不十分な場合でも一定の有効性が期待できます。
- おもに糞中に排泄されます。このため腎機能に基づく用量調節は不要です。用法も1日1回服用で簡便です。なお、既存の核酸類似体は尿中排泄になり、腎機能に応じ用法・用量を調節しなければなりません。アシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)、ファムシクロビル(ファムビル)の3薬がこれにあたります。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 使用中の薬を医師に教えてください。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- 結核・抗酸菌症治療薬のリファンピシン(リファジン)とは併用できません。相互に血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがあるためです。
- 禁止ではありませんが、同じ理由で注意が必要なのが、抗酸菌症治療薬のリファブチン(ミコブティン)、抗けいれん薬のフェノバルビタール(フェノバール)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)やカルバマゼピン(テグレトール)などです。薬草のセイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)にも同様の性質があります。
- マクロライド系抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)や抗エイズウイルス薬のリトナビル(ノービア、カレトラ)は、この薬の代謝を阻害し血中濃度を上昇させる可能性があります。ほかにも、飲み合わせに注意が必要な薬がいろいろあります。使用中の薬があれば必ず医師に報告しておきましょう。
 【使用にあたり(帯状疱疹)】
- 用法は、1日1回、食後に2錠です。時間は指示どおりにしてください。
- 発病早期ほど効果的です。目安は皮疹出現後5日以内。飲むのが遅れないようにしましょう。
- 原則、7日間服用します。よくならないときは、医師と相談してください。
- 飲み忘れた場合、気づいたときに直ちに服用してください。ただし、翌日に気づき次の服用時間が近ければ、その分は抜かし次の通常の時間に1回分を飲んでください。2回分を一度に飲んではいけません。
 【使用にあたり(再発性の単純疱疹)】
- 再発性の単純疱疹では、本格的な皮膚症状があらわれる前の初期症状(痒み、チクチク・ピリピリといった違和感)を自覚したときに服用します。初期症状出現後6時間以内が望ましいです。
- あらかじめ処方された1200mg(6錠)を食後に飲んでください。服薬回数は1回のみです。
 【食生活】
- グレープフルーツジュースは飲まないほうがよいでしょう。いっしょに飲むと、この薬の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがあります。
- 薬草のセイヨウオトギリソウは、この薬の作用を弱めます。セント・ジョーンズ・ワートなどセイヨウオトギリソウを含む健康食品やハーブティーはとらないでください。
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効能 |

- 【効能A】

- 帯状疱疹

- 【効能B】

- 再発性の単純疱疹
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用法 |

- 【効能A】

- 通常、成人はアメナメビルとして1回400mgを1日1回食後に経口服用する。

- 【効能B】

- 通常、成人はアメナメビルとして1200mgを食後に単回経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。人によっては、下痢や吐き気など胃腸症状、発疹など皮膚症状があらわれるかもしれません。重い副作用はまずありません。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
 【その他】
- 下痢、吐き気、胃炎
- 発疹、紅斑
- 肝機能値異常、腎機能・尿細管検査値異常
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