おくすり110番
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成分(一般名) エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシル フマル酸塩
製品例 ツルバダ配合錠 ・・その他(ジェネリック) & 薬価
区分 抗ウイルス剤/逆転写酵素阻害剤(ヌ系)/抗ウイルス化学療法剤

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   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
概説 エイズウイルスの増殖をおさえるお薬です。エイズの治療に用います。
作用

【働き】

エイズは、エイズウイルスの感染により起こる病気です。エイズウイルスは血液や精液を介してうつります。体に入ったエイズウイルスは、免疫系の細胞(白血球の一種のCD4リンパ球)を破壊しながら、徐々に増殖していきます。そして、体の免疫力がしだいに低下し、数年から十数年後に発症します。重い感染症にかかったり、リンパ腫などの悪性腫瘍に侵されやすくなり命にかかわることもあるのです。

このお薬は、エイズウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬です。ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害薬の部類で、ウイルスの遺伝子の複製を妨げる作用があります。ウイルスが減るとともに、免疫力が回復し、病状が改善します。また、エイズの発症や進行を遅らせ、長生きにもつながります。ただし、エイズウイルスを完全に死滅させることは困難です。したがって、生涯にわたり治療を続けなければなりません。

  • ※エイズ:後天性免疫不全症候群
  • ※エイズウイルス:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

【薬理】

エイズウイルスの遺伝子RNAをDNAに逆転写する酵素の働きを阻害します。これにより遺伝子の複製ができなくなり、ウイルスの増殖が抑制されるのです。このような作用から「逆転写酵素阻害薬」と呼ばれています。

【臨床試験】

エファビレンツ(ストックリン)との併用療法において、類似薬のジドブジン・ラミブジン配合剤(コンビビル)との比較試験がおこなわれています。試験に参加したのは、未治療の患者さん511人です。治療成績を調べたところ、この薬(ツルバダ)を併用した人達の有効率は84%、ジドブジン・ラミブジンの場合は73%でした。この薬の高い有効性と安全性が示される結果となりました。
特徴
  • ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬のテノホビル(TDF)とエムトリシタビン(FTC)の配合剤です。作用増強のための基本的な組み合わせベースドラッグ(バックボーン)になります。これに、主要薬(キードラッグ)として別系統の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬またはインテグラーゼ阻害薬のいずれかを加える3剤併用療法により強力な効果が得られます。他の同類薬における耐性ウイルスにも一定の効果が期待できます。
  • 1日1回の服用で済み、また薬の吸収や効果に対して食事の影響をほとんど受けません。高い有効性と安全性、利便性から 初回治療における基礎薬‘ベースドラッグ’として汎用されるようになりました。なお、この組み合わせは、3薬配合剤のスタリビルド配合錠(EVG+COBI+TDF/FTC)およびコムプレラ配合錠(RPV+TDF/FTC)で採用されています。
  • アメリカでは予防薬としても承認されています。パートナーからの感染リスクが高い場合にかぎり処方できるようです。医療関係者の針刺し事故後の感染阻止効果も期待できます。
注意
【診察で】
  • 持病やアレルギーのある人は医師に伝えてください。
  • 妊娠中もしくはその可能性のある人、また授乳中の人は申し出てください。
  • 服用中の薬を医師に教えてください。
  • 注意事項や副作用について十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
  • 体に異常を感じたら、どのようなことでも医師に報告してください。

【注意する人】
  • 腎臓の悪い人は、この薬の排泄が遅れがちです。減量が必要な場合、隔日投与または個別の製剤での用量調節が検討されます。腎機能の悪化にも注意が必要です。
  • この薬はB型肝炎ウイルスにも有効です。見方を変えれば、B型慢性肝炎を合併している人では、この薬の中断により、肝炎が再燃するおそれがあるわけです。中止する場合はその点に十分注意する必要があります。

【飲み合わせ・食べ合わせ】

一部の医薬品と相互作用を起こす可能性があります。飲み合わせによっては、この薬の作用が強まり、副作用がでやすくなります。また、腎毒性のある薬剤との併用は避けることが望ましいです。

  • 2成分を含有します。いずれかを含む製剤との併用は避けなければなりません。エムトリバ、デシコビ、ゲンボイヤ、コムプレラ、スタリビルド、ベムリディ、テノゼットなどです。
  • 有効成分の一つエムトリシタビンは、ラミブジン(エピビル)とウイルス学的特性が似ています。このため、ラミブジンとの併用は意味がないため避けます。
  • 同類薬のジダノシン(ヴァイデックス)の副作用を強めるおそれがあります。逆に、アタザナビル(レイアタッツ)の作用を弱める可能性があります。
  • 他の抗ウイルス薬のロピナビル・リトナビル(カレトラ)、アシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)、ガンシクロビル(デノシン)、レジパスビル・ソホスブビル(ハーボニー)などとの併用により副作用が強まるおそれがあります。

【使用にあたり】
  • 決められた飲み方を守ってください。規則正しい服用は、薬の血中濃度を一定に保ち、ウイルスに増殖する“すき”を与えないために重要です。飲み忘れにも十分注意しましょう。服薬率が95%を割ると、薬の効きにくい耐性ウイルスの出現が多くなるという報告があります。
  • 通常は1日1回、1回に1錠服用します。食事とは関係なく飲めますが、決められた時間にしてください。
  • もし飲み忘れた場合は、気が付いたときに直ちに服用し、翌日はいつも通りに服用してください。翌日に気付き、次に服用する時間が近い場合は、1回分は抜かし次の通常の服用時間に1回分を服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
  • 自分だけの判断で量を変えたり、飲むのをやめてはいけません。不用意な減量や中断は、薬の効き目を悪くし治療を困難にします。

【検査】

処方に先立ち、服薬に問題ないか調べます。とくに重要なのが腎臓の検査です。服用後も、副作用のチェックを定期的におこない、また効果判定のためウイルス量の低下と免疫細胞(CD4リンパ球)の増加を調べます。長期服用時は必要に応じ骨密度検査を実施します。

【妊娠・授乳】
  • 妊娠中の服用については、医師とよく相談してください。この薬を飲むことで、赤ちゃんの感染リスクを減らせる可能性があります。なお、妊娠中に推奨されるのは、主要薬はプロテアーゼ阻害薬のロピナビル・リトナビル配合剤(カレトラ)、基礎薬としてヌクレオシド系のジドブジン・ラミブジン配合剤(コンビビル)の組み合わせです。
  • 授乳は避けてください。乳汁中に薬が移行すると考えられます。また、母乳中のエイズウイルスにより赤ちゃんが感染するおそれがあります。

【食生活】

エイズウイルス(HIV)の感染力は非常に弱く、ふつうの社会的な接触であれば感染することはありません。ただし、性的接触により感染する危険性があります。この薬を飲んでいたとしても、その点は同様です。

【備考】
  • エイズの薬は、大きく、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬の3系統に分かれます。逆転写酵素阻害薬は、さらにヌクレオシド系と非ヌクレオシド系に分かれます。作用増強と耐性回避のため、これらを組み合わせる多剤併用療法が一般的です。現在、初回治療として推奨されるのは、2種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬をベースドラッグ(この薬)として、これにキードラッグの非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬と低用量リトナビル、またはインテグラーゼ阻害薬のいずれかを加える3剤ないし4剤併用療法です。このような多剤併用療法によりエイズの予後はたいへん改善し、より長生きできるようになりました。
  • 免疫力が低下しエイズを発症すると、別のいろいろな感染症にかかりやすくなります。サイトメガロウイルス、カンジダ、ニューモシスチス(カリニ)・・ふつうなら感染しにくい微生物にまで侵されてしまうのです。このような2次感染症に対しては、抗菌薬、抗原虫薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬などで強力な治療をおこないます。
効能 HIV-1感染症
用法

【用法】

通常、成人は1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びフマル酸テノホビル ジソプロキシルとして300mgを含有)を1日1回経口服用する。なお、服用に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。

【注意】

腎機能障害のある患者では、エムトリシタビン製剤及びテノホビル製剤の薬物動態試験においてエムトリシタビンとテノホビルの血中濃度が上昇したとの報告があるので、腎機能の低下に応じて、次の投与方法を目安とする(外国人における薬物動態試験成績による)。

  • クレアチニンクリアランス(CLcr):投与方法
  • 50mL/min以上:本剤1錠を1日1回投与
  • 30〜49mL/min以上:本剤1錠を2日間に1回投与
  • 30mL/min未満又は血液透析患者:本剤を投与せず、エムトリシタビン製剤及びとテノホビル製剤により、個別に用法・用量の調節を行なう

※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。
副作用 比較的多いのは、吐き気や嘔吐、下痢や腹痛などの胃腸症状です。また、頭痛やめまい、不眠、異常な夢など精神・神経系の副作用もみられます。軽い副作用の場合、治療を優先しなければなりませんが、気になるときは医師とよく相談してください。

重い副作用として、腎不全など腎機能障害を起こすことがあります。とくに、もともと腎臓病のある人または既往のある人は、重症化を防ぐため定期的な検査が欠かせません。ほかにも、膵炎、乳酸アシドーシス、あるいは免疫機能の回復に伴う免疫再構築炎症反応症候群など 体にさまざまな異変を生じる可能性があります。いつもと違う症状があらわれたら、どのようなことでも医師に報告してください。


【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
  • 腎臓の重い症状..尿が少ない・出ない、尿の濁り・泡立ち、血尿、むくみ、だるい、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹。
  • 膵炎..吐き気、吐く、上腹部〜背中の激しい痛み。
  • 乳酸アシドーシス・肝腫大(脂肪肝)..吐き気、吐く、腹痛、下痢、けん怠感、息苦しい、息が荒い、筋肉痛、手足の震え・脱力、歩けない、動悸、急激な体重減少、意識の低下、右上腹部の張り・圧迫感。

【その他】
  • 吐き気、吐く、下痢、腹痛
  • 頭痛、めまい、疲労、脱力感
  • 不眠、眠気、悪い夢を見る
  • 骨密度減少、骨軟化症
  • 発疹、かゆみ、皮膚変色
   概説    作用    特徴    注意    効能    用法    副作用
  









用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。
すべての副作用を掲載しているわけではありません。いつもと違う「おかしいな」と感じたら早めに受診してください。
症状に合った薬が適正に処方され、また正しく使用するかぎり、重い副作用はめったに起こりません。まずは安心して、決められたとおりにご使用ください。
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Good luck & Good bye