概説 |
真菌(カビ)を殺菌するお薬です。真菌が原因の病気に用います。 |
作用 | カビの仲間を専門的に“真菌”といいます。体の抵抗力が落ちている人では、その真菌が消化管や肺など体の内部で異常増殖することがあります。内臓真菌症(深在性真菌症)です。
このお薬は抗真菌薬です。細胞膜の生合成を阻害することで真菌を殺菌します。消化器真菌症や呼吸器真菌症などの内臓真菌症をはじめ、女性によくみられる腟炎の治療にも用います。カンジダとクリプトコッカスという真菌にとくに有効です。 |
特徴 |
- アゾール系抗真菌薬です。非常に強力というほどではありませんが、副作用は少ないほうです。
- カンジダ属およびクリプトコッカス属に強い抗菌力を示します。また、吸収がよく、肺や髄液に高濃度に移行します。
- 2011年に公知申請という特例で、造血幹細胞移植患者における深在性真菌症予防についての効能・効果が追認されました。同時に、小児に対する用法・用量も正式に設定されています。その後、カンジダ腟炎に対する効能も取得しています。
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注意 |
 【診察で】
- アレルギーを起こしやすい人は、医師に伝えておきましょう。
- 腎臓病など持病のある人は、医師に伝えてください。
- 妊娠中、またその予定のある人は医師に話しておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 腎臓の悪い人や高齢の人は、薬の排泄が遅れがちです。用量を少なめにするなど慎重に用いるようにします。妊娠中は用いません。
- 適さないケース..妊娠中。
- 注意が必要なケース..腎臓病、肝臓病、心臓病、電解質異常、高齢の人など。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- 飲み合わせによっては、併用薬の血中濃度が上昇し副作用がでやすくなります。この理由で禁止されるのが、睡眠薬のトリアゾラムや頭痛薬のエルゴタミンなどです。また、禁止ではありませんが、抗凝固薬のワルファリンと併用する場合は、効きすぎによる出血に留意する必要があります。ほかにも、飲み合わせに注意する薬がたくさんあります。服用中の薬は、忘れずに報告しておきましょう。また、別の病院で診察を受けるときも、この薬を飲んでいることを伝えてください。
- 飲み合わせの悪い薬..トリアゾラム(ハルシオン)、エルゴタミン(クリアミン)、キニジン、アゼルニジピン(カルブロック、レザルタス)、ロミタピド(ジャクスタピッド)、ブロナンセリン(ロナセン)、ルラシドン(ラツーダ)など。
- 飲み合わせに注意..ワルファリン(ワーファリン)、リバーロキサバン(イグザレルト)、タクロリムス(プログラフ)、シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、血糖降下薬(SU薬等)、ジアゼパム(セルシン)、テオフィリン(テオドール)、トルバプタン(サムスカ)、経口避妊薬、リトナビル(ノービア、カレトラ、パキロビッド)、ジドブジン(レトロビル)、リファンピシン(リファジン)、リファブチン(ミコブティン)、ロサルタン(ニューロタン)、ニフェジピン(アダラート)、エプレレノン(セララ)、スタチン系コレステロール低下薬、カルバマゼピン(テグレトール)、イブプロフェン(ブルフェン)、フルルビプロフェン(フロベン)、セレコキシブ(セレコックス)、オキシコドン(オキシコンチン)、フェンタニル(デュロテップパッチ)など。

- 【使用にあたり】

- 指示された期間続けることが大切です。症状によってはかなり長めになります。自分だけの判断で止めてしまうと、再発したり治りにくくなります。

- 【検査】

- 必要な検査を受けて、副作用をチェックするようにしましょう。とくに腎機能や肝機能、血液の検査が重要です。

- 【妊娠・授乳】

- 赤ちゃんの発育に悪い影響をおよぼすおそれがありますから、妊娠中の服用は避けます。
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効能 |
- カンジダ属及びクリプトコッカス属による下記感染症//真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎
- 造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防
- カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎
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用法 |
 【成人】- <カンジダ症>

- 通常、成人はフルコナゾールとして50〜100mgを1日1回経口服用する。なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として400mgまで増量できる。
- <クリプトコッカス症>

- 通常、成人はフルコナゾールとして50〜200mgを1日1回経口服用する。なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として400mgまで増量できる。
- <造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防>

- 成人は、フルコナゾールとして400mgを1日1回経口服用する。(好中球減少症が予想される数日前から服用を開始することが望ましい。また好中球数が1000/mm3を超えてから7日間服用することが望ましい)
[注意1]好中球減少症が予想される数日前から投与を開始することが望ましい。
[注意2]好中球数が1000/mm3を超えてから7日間投与することが望ましい。
- <カンジダ属に起因する腟炎及び外陰腟炎>

- 通常、成人はフルコナゾールとして150mgを1回経口服用する。
[注意]本剤の効果判定は投与後4〜7日目を目安に行い、効果が認められない場合には、他の薬剤の投与を行うなど適切な処置を行うこと。
 【小児】- <カンジダ症>

- 通常、小児はフルコナゾールとして3mg/kgを1日1回経口服用する。
- <クリプトコッカス>

- 通常、小児はフルコナゾールとして3〜6mg/kgを1日1回経口服用する。なお、重症又は難治性真菌感染症の場合には、1日量として12mg/kgまで増量できる。
- <造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防>

- 小児は、フルコナゾールとして12mg/kgを1日1回経口服用する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。ただし、1日量として400mgを超えないこと。(好中球減少症が予想される数日前から服用を開始することが望ましい。また好中球数が1000/mm3を超えてから7日間服用することが望ましい)
[注意1]好中球減少症が予想される数日前から投与を開始することが望ましい。
[注意2]好中球数が1000/mm3を超えてから7日間投与することが望ましい。
 【新生児】
- 生後14日までの新生児には、フルコナゾールとして小児と同じ用量を72時間毎に服用する。
- 生後15日以降の新生児には、フルコナゾールとして小児と同じ用量を48時間毎に服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は少ないほうです。まれに、吐き気や腹痛、下痢、発疹などがみられるます。発疹がひどくなるようでしたら、いったん中止し受診してください。
重い副作用は頻度的にほとんどありませんが、きわめてまれなケースとしてショックや皮膚障害、血液障害、肝障害などが報告されています。初期症状などに念のため注意してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック、アナフィラキシー様症状..気持ち悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、咳、ゼーゼー息苦しい、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 重い血液成分の異常..発熱、喉の痛み、口内炎、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や鼻血・歯肉出血など出血傾向。
- 急性腎不全..尿が少ない・出ない、むくみ、尿の濁り、血尿、だるい、吐き気、頭痛、のどが渇く、けいれん、血圧上昇。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 意識障害、けいれん..混乱・もうろう状態、筋肉のぴくつき、けいれん
- 高カリウム血症..だるい、手や唇のしびれ、脱力、吐き気、下痢、息切れ、脈拍低下、脈の乱れ、不安感、取り乱す、けいれん。
- 重い不整脈..動悸、脈が飛ぶ、脈が1分間50以下、めまい、ふらつき、転倒、失神。
- 間質性肺炎..から咳、息苦しさ、少し動くと息切れ、発熱。
- 大腸炎..激しい腹痛、頻回な下痢、血便、発熱。
 【その他】
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