概説 |
真菌を殺菌するお薬です。爪の水虫‘爪白癬’の治療に用います。 |
作用 | 
- 【働き】

- カビの仲間を専門的に‘真菌’といいます。いわゆる水虫は真菌のうちの白癬菌(皮膚糸状菌)による皮膚感染症です。この白癬菌が爪に感染すると、爪が白く濁り厚みがでてきます。ひどくなると痛みも伴います。爪白癬(つめはくせん)です。
このお薬は、そのような爪白癬の治療に用います。有効成分のホスラブコナゾールは、体内に吸収されたあと、活性本体であるラブコナゾールに変換されます。ラブコナゾールの強い抗真菌作用により、塗り薬では治りにくい爪白癬の完治が見込めるのです。

- 【薬理】

- 真菌の細胞で人と違うところは、エルゴステロールを主成分とする植物性細胞膜をもっている点です。この薬は、そのエルゴステロールの生合成を阻害し、真菌の発育を抑制または阻止することにより、殺菌的に抗真菌作用を発揮します。

- 【臨床試験】

- 爪白癬に対する効果をプラセボ(にせ薬)と比較する試験が行われています。参加したのは、混濁している爪感染面積が25%以上の患者さん153人。
このうち101人はこの薬を、別の52人はプラセボを3カ月間服用します。そして、服用開始1年後の治癒率を比較するのです。治癒の定義は、爪の混濁が完全に消失し見た目で治り、かつ直接鏡検で白癬菌が陰性になった場合とします。
その結果、この薬を使用していた人達の治癒率は59.4%(60/101人)、プラセボの人達は5.8%(3/52人)でした。この薬の治癒率はプラセボを明らかに上回り、爪白癬に対する有効性が確かめられたわけです。
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特徴 |
- 活性本体のラブコナゾールは、強い抗真菌活性と広い抗真菌スペクトルを持つトリアゾール系の抗真菌薬です。この薬の有効成分ホスラブコナゾールは、ラブコナゾールの生物学的利用率を高めたプロドラッグとして開発されました。水溶性が高く、服用後速やかに吸収され、体内でラブコナゾールに変換されてから抗真菌作用を発揮します。
- 飲みかたが簡単で服薬管理が楽です。1日1回1カプセルを3カ月間、食事と関係なく服用できます。
- 比較的安全性が高く、肝障害をふくめ副作用の心配はそれほどありません。また、別の類似薬と比べ、薬物相互作用のリスクが低く、飲み合わせの制限も少ないです。
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注意 |
 【診察で】
- 肝臓病など持病のある人は医師に伝えてください。
- 妊娠中また妊娠している可能性のある人は医師に話しておきましょう。
- 服用中の薬を医師に教えてください。

- 【注意する人】

- 肝臓病のある人は、病状の悪化に注意するなど慎重に用います。妊娠中は使用できません。
- 適さないケース..妊娠中。
- 注意が必要なケース..肝臓病のある人。

- 【飲み合わせ・食べ合わせ】

- ワルファリン(ワーファリン)による抗凝固療法をおこなっている場合は、医師に伝えてください。併用により、ワルファリンの作用が増強する可能性があります。
- 飲み合わせに注意..ワルファリン(ワーファリン)、シンバスタチン(リポバス)、アゼルニジピン(カルブロック)など。
 【使用にあたり】
- 1日1回 1カプセル服用してください。食事に関係なく飲めます。治療期間は3カ月間(12週間)です。
- 飲み忘れたら、気付いたときに飲んでください。ただし、翌日に気付き、次の時間が近ければ、忘れた分は抜かし、次の通常の時間に1カプセル服用してください。2回分を一度に飲んではいけません。
- いったん変色した爪が元通りに回復するわけではありません。爪が生えかわり きれいになるまで半年から1年くらいかかります。

- 【検査】

- 肝機能検査をおこないます。

- 【妊娠・授乳】

- 妊娠中は使用できません。近く妊娠・出産を予定している人も、緊急性がないのなら控えたほうがよいかもしれません。
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効能 |

- 【適応菌種】

- 皮膚糸状菌(トリコフィトン属)

- 【適応症】

- 爪白癬
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用法 |
通常、成人は1日1回1カプセル(ラブコナゾールとして100mg)を12週間経口服用する。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
検査で見つかるのが肝機能値の異常です。多くは軽度で、重症化することはまずありません。もし、吐 き気がしたり、ひどい倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色になるといった症状があらわれたら、医師に報告してください。そのほか、腹部不快感、腹痛、便秘などの消化器症状もみられます。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 多形紅斑..円形の紅斑、発熱、関節の痛み。
 【その他】
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