概説 |
尖圭コンジローマまたは日光角化症を治療するお薬です。 |
作用 |
- 【作用-1】
- 尖圭(せんけい)コンジローマは、ウイルスによる性感染症のひとつです。性器や肛門のまわりに、疣贅(ゆうぜい)いわゆるイボができ、たくさん集まるとカリフラワーやニワトリのとさかのように見えることがあります。
このお薬は、そのようなイボを治す尖圭コンジローマ治療薬です。イボに直接塗ることで、ウイルスに対する免疫力を高め、ウイルスの増殖ををおさえます。そして、ウイルス感染細胞の障害により、イボを消失させます。ただし、原因ウイルスを完全に除去することは困難です。
- 【作用-2】
- 日光角化症は、紫外線を長期にわたり浴び続けることで引き起こされる皮膚症状です。高齢の人に多くみられ、そのまま放置すると皮膚がんに進行することもあります。このお薬は、そのような日光角化症に対しても有効な治療薬として用いられます。
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特徴 |
- 尖圭コンジローマを効能・効果とする国内初の治療薬です。現行の外科的療法に比べ侵襲が少なく、治療が簡便。再発率も低いとされます。
- 2011年11月に日光角化症に対する効能が追加承認されました。
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注意 |
- 【診察で】
- 使用方法や注意事項、副作用について医師から十分説明を受けてください。薬の性質をよく理解し、納得のうえで治療にあたりましょう。
【注意する人】
- 尖圭コンジローマの適用部位は体の外部(外性器または肛門周囲)に限ります。それ以外の尿道、腟内、子宮頸部、直腸および肛門内には使用できません。創傷面も避けます。
- 外科的治療後などで炎症がみられる場合、完全に回復するまで使用できません。
- 免疫抑制状態にある人では、期待する効果が得られない可能性があります。
【使用にあたり】
- 尖圭コンジローマと日光角化症では、使用部位や使用期間が違います。説明書をよく読み、決められた用法・用量を守ってください。使いすぎると、重い皮膚障害を起こしますので、医師から指示された範囲内で正しく使用することが大切です。
- ふつう、1日1回就寝前に塗布します。毎日ではなく、週3回だけです。たとえば月・水・金、あるいは火・木・土とします。塗り方は、適量をクリームが見えなくなるまですり込んでください。
- 塗布部位を絆創膏やテープで密封してはいけません。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後(6〜10時間後)に塗布した薬剤を石鹸を用い、水または温水で必ず洗い流してください。洗浄を忘れそのまま放置すると、重い皮膚障害の原因になりかねません。
- 患部に限定し、むやみに塗り広げないようにしましょう。とくに女性のコンジローマの場合、尿道口付近の塗布により痛みや浮腫を生じ、排尿困難となることがありますので注意してください。また、男性の仮性包茎の包皮内に適用する場合、毎日、包皮を反転させた上で包皮内を清潔に保ちましょう。
- 使用後、手を石鹸でよく洗ってください。もし、患部以外に付着した場合も石鹸でよく洗い流しましょう。付着したまま放置すると、皮膚障害の原因になりかねません。
- 誤用のないよう、特に、子供の手の届かないところに保管してください。なお、開封後の残薬は再使用せず廃棄してください。
【食生活】
- コンジローマにおいては、塗布した状態での性行為は避けましょう。パートナーへの付着により、皮膚障害を生じる可能性があります。なお、この薬に含まれる油脂性成分は、コンドームなど避妊用ラテックスゴム製品の品質を劣化・破損する可能性があるので、これらとの接触を避ける必要があります。この点にも留意してください。
- 日光角化症においては、日焼けを避けるため塗布部位に日光が当たらないように注意しましょう。もし日焼けした場合、発赤が引くまで休止したほうがよいことがあるので、継続の可否について医師と相談してください。
- 【備考】
- 尖圭コンジローマはSTD(性感染症)のひとつで、ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス、HPV)の感染により発症します。パートナーも感染していることが多いですから、いっしょに診断・治療をおこなうとよいでしょう。
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効能 |
- 【効能A】
- 尖圭コンジローマ(外性器又は肛門周囲に限る)
- 【効能B】
- 日光角化症(顔面又は禿頭部に限る)
- 注意1.顔面又は禿頭部以外の日光角化症に対する有効性及び安全性は確立していない。
- 注意2.日光角化症への本剤の使用にあたっては、真皮内浸潤性の有棘細胞癌でないことを確認すること。視診、触診による鑑別が困難な場合には、組織学的検査を実施すること。
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用法 |
- 【効能A】
- 疣贅部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布する。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。
- 注意1.本剤は外性器又は肛門周囲の疣贅にのみ使用し、それ以外の部位の疣贅には使用しないこと。
- 注意2.本剤塗布後6〜10時間を目安に必ず洗い流すこと。(塗布時間の延長により、重度の皮膚障害があらわれやすくなる。)
- 注意3.本剤の連日塗布を避け、例えば月・水・金、あるいは火・木・土の週3回塗布とすること。
- 注意4.本剤を疣贅に薄く塗り、クリームが見えなくなるまですり込むこと。
- 注意5.本剤の使用期間は原則として16週間までとすること。
- 【効能B】
- 治療部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布する。塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。4週間塗布後、4週間休薬し、病変が消失した場合は終了とし、効果不十分の場合はさらに4週間塗布する。
- 注意1.本剤塗布後約8時間を目安に必ず洗い流すこと。
- 注意2.本剤の連日塗布を避け、例えば月・水・金、あるいは火・木・土の週3回塗布とすること。
- 注意3.本剤は、治療部位(25cm2までを目安)に最大1包塗り、クリームが見えなくなるまですり込むこと。
- 注意4.4週間休薬後に効果不十分のため4週間の追加塗布及び経過観察を行った後にも効果が認められない場合は、さらなる本剤の塗布は行わずに他の適切な治療に切り替えること。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
ほとんどの人で、発赤やびらん、表皮の剥離、浮腫、痛みやカユミなどを伴う皮膚反応が起こります。これらは、ある意味、効果のあかしでイボや角化皮膚が消失する治癒の過程でもありますから、ある程度はやむおえません。
ただし、症状が非常に重い場合は、石鹸を用い、水または温水で薬剤を洗い流したうえ、直ちに医師に連絡してください。また、まれに悪寒や発熱、筋肉痛などを呈するインフルエンザ様症状があらわれることがあります。この場合も、医師と連絡をとるようにしましょう。
尿道口および腟口付近に使用するさいは、患部にのみ慎重に塗布してください。女性では、その周辺に薬剤が付着すると、疼痛や浮腫を生じ、排尿しにくくなることがあります。排尿困難でつらいときは、いったん中止し、継続の可否を含め医師とよく相談してください。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重い皮膚障害..重い潰瘍、びらん、発赤、浮腫、表皮剥離、強い痛み
- 排尿困難..排尿時の激しい痛み、尿が出にくい。
【その他】
- 発赤、びらん、湿潤、かさぶた、表皮剥離、浮腫、潰瘍、疼痛、刺激感、かゆみ
- 色素沈着(黒っぽくなる)、色素脱失(白っぽくなる)
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