概説 |
ロタウイルス胃腸炎を予防する乳児向けワクチンです。 |
作用 | 
- 【働き】

- ロタウイルス胃腸炎は、感染性胃腸炎のひとつです。冬季に乳幼児のあいだで流行することが多く、発熱とともに下痢や嘔吐を繰り返します。自然治癒したあとウイルスに対する抵抗力がつくのですが、初感染時にまれに重症化することがあります。
このお薬は、ロタウイルス胃腸炎を予防する乳児向けの生ワクチンです。事前に予防接種(内用)することで、ロタウイルスに対する免疫ができます。そのため、胃腸炎の発症がおさえられ、かかったとしても軽くて済むのです。接種時期は生後6週から24週まで、接種回数は2回です。

- 【臨床試験】

- このワクチンの予防効果をプラセボ(にせワクチン)と比較する臨床試験がおこなわれています。参加したのは、国内20施設の生後6〜14週の健康な乳児748人。このうち498人はこのワクチンを、別の250人はプラセボを接種し、ロタウイルス胃腸炎の発症者数を比べます。試験期間は、接種後から生後2歳になるまでの間です。
その結果、胃腸炎を発症した人数は、このワクチンを接種した場合で14人(2.8人/100人)、プラセボで34人(13.6人/100人)でした。プラセボに比較し、おおよそ80%予防できる計算です。さらに、重症例に限ると、このワクチンで2人(0.4人/100人)、プラセボで12人(4.8人/100人)で約92%予防できることが確かめられました。このワクチンを接種したほうが明らかにロタウイルス胃腸炎の発症が少なく、また重症化を防げることが確認できたわけです。
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特徴 |
- 飲んで接種する「弱毒ロタウイルス生ワクチン」です。1種類のロタウイルス株からできている単価ワクチンになります。生後まもなくに計2回経口接種することで、ロタウイルスに対する免疫力がつきます。
- 上記の国内臨床試験で、重症ロタウイルス胃腸炎の発症を92%予防できることが確かめられました。定期接種化されているアメリカでは、ロタウイルス胃腸炎の流行がほとんどみられなくなったそうです。
- 現時点、日本では定期接種化されていないので、実費扱いとなります。医療機関にもよりますが、2回の接種で2〜3万円くらいかかりそうです。ロタウイルス胃腸炎の発症率、重症化率は生後2年間が高いとされますから、ご心配でしたら小児科などで相談してみるとよいでしょう。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーがある場合は医師に伝えておきましょう。
- 接種後の注意事項や副作用について、事前によく説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 発熱時、あるいは下痢や嘔吐がみられるときは延期をし様子をみます(軽いかぜ程度でしたら問題ありません)。重い急性疾患や免疫系の病気にかかっている場合も使用できないことがあります。そのほか、心臓病や腎臓病、肝臓病、胃腸障害などの持病がある場合は、適否を慎重に判断したうえで注意深く接種します。
- 適さないケース..発熱時、下痢、嘔吐、重篤な急性疾患、腸重積症の既往、重い免疫不全がある場合など。
- 注意が必要なケース..心臓病、腎臓病、肝臓病、胃腸障害、けいれん既往、免疫機能異常、ステロイド薬・免疫抑制薬の服用時など。
 【使用にあたり】
- 接種回数は計2回。生後6週から初回接種を開始し、少なくとも4週間あけて2回目の接種をします。初回接種は生後14週6日までにおこなうことが推奨されています。遅くとも生後24週までには接種を完了させるようにします。
- 問診や検温のあと、問題がなければ医師のもとで口に含ませ経口接種します。接種直後にワクチンの大半を吐き出した場合は、改めて飲ませることができます。なお、接種前後に、母乳を含め飲食を制限する必要はありません。
- 接種当日は過度な運動を避け安静にしてください。また、接種後の体調変化に気をつけましょう。高熱やけいれん、腹痛、反復する嘔吐、血便、腹部膨満などいつもと違う症状がみられたら、すみやかに診察を受けてください。
- 接種を受けたあと、おむつ交換後の手洗いを忘れずにしてください(糞便中にワクチン由来のウイルスが10日間くらい排泄されます)。
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効能 |
ロタウイルスによる胃腸炎の予防 |
用法 |
乳児に通常、4週間以上の間隔をおいて2回経口接種し、接種量は毎回1.5mLとする。
- [注意1]接種対象者・接種時期:生後6週から初回接種を開始し、少なくとも4週間の間隔をおいて2回目の接種を完了する。遅くとも生後24週までには接種を完了させること。また、早期産児においても同様に接種することができる。なお、初回接種は生後14週6日までに行うことが推奨されている。
- [注意2]接種方法:本剤は経口接種だけに限り、絶対に注射してはならない。なお、接種直後にワクチンの大半を吐き出した場合は、改めて本剤1.5mLを接種させることができる。
- [注意3]他のワクチン製剤との接種間隔:生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また他の不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔をおいて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる(なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない)。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は ほとんどありません。もし、高熱やけいれん、腹痛、反復する嘔吐、血便、腹部膨満などいつもと違う症状がみられたら、直ちに受診してください。
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