概説 |
ロタウイルス胃腸炎を予防する乳児向けワクチンです。 |
作用 | 
- 【働き】

- ロタウイルス胃腸炎は、感染性胃腸炎のひとつです。冬季に乳幼児のあいだで流行することが多く、発熱とともに下痢や嘔吐を繰り返します。自然治癒したあとウイルスに対する抵抗力がつくのですが、初感染時にまれに重症化することがあります。
このお薬は、ロタウイルス胃腸炎を予防する乳児向けの生ワクチンです。事前に予防接種(内用)することで、ロタウイルスに対する免疫ができます。そのため、胃腸炎の発症がおさえられ、かかったとしても軽くて済むのです。接種時期は生後6週から32週まで、接種回数は3回です。

- 【臨床試験】

- このワクチンの予防効果をプラセボ(にせワクチン)と比較する臨床試験がおこなわれています。参加したのは、国内の生後6〜12週の健康な乳児761人。このうち380人はこのワクチンを、別の381人はプラセボを接種し、その後のロタウイルス胃腸炎の発症者数を比べます。
その結果、胃腸炎を発症した人数は、このワクチンを接種した場合で7人、プラセボで27人でした。プラセボに比較し、おおよそ75%予防できる計算です。さらに、重症例に限ると、このワクチンで0人、プラセボで10人であり100%近く予防できるものと推計されました。このワクチンを接種したほうが明らかにロタウイルス胃腸炎の発症が少なく、また重症化を防げることが確認できたわけです。
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特徴 |
- 飲んで接種する「弱毒ロタウイルス生ワクチン」です。生後まもなくに計3回経口接種することで、ロタウイルスに対する免疫力がつきます。
- よく見られるG1型をはじめ5種類のロタウイルス株からなる5価ワクチンです。それらによるものが全体の90%を占めるとされますので、ロタウイルス胃腸炎を幅広く予防することが可能です。なお、類似ワクチンのロタリックスは1種類のロタウイルス株からできている単価ワクチンになります。
- 国内外の臨床試験で、ロタウイルス胃腸炎に対する高い予防効果が確かめられています。定期接種化されているアメリカでは、ロタウイルス胃腸炎の流行がほとんどみられなくなったそうです。
- 現時点、日本では定期接種化されていないので、実費扱いとなります。医療機関にもよりますが、3回の接種で3万円くらいかかりそうです。ロタウイルス胃腸炎の発症率、重症化率は生後2年間が高いとされますから、ご心配でしたら小児科などで相談してみるとよいでしょう。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーがある場合は医師に伝えておきましょう。
- 接種後の注意事項や副作用について、事前によく説明を受けておきましょう。

- 【注意する人】

- 発熱時、あるいは下痢や嘔吐がみられるときは延期をし様子をみます(軽いかぜ程度でしたら問題ありません)。重い急性疾患や免疫系の病気にかかっている場合も使用できないことがあります。そのほか、心臓病や腎臓病、肝臓病、胃腸障害などの持病がある場合は、適否を慎重に判断したうえで注意深く接種します。
- 適さないケース..発熱時、下痢、嘔吐、重篤な急性疾患、腸重積の既往、重い免疫不全がある場合など。
- 注意が必要なケース..心臓病、腎臓病、肝臓病、胃腸障害、けいれん既往、免疫機能異常、ステロイド薬・免疫抑制薬の服用時など。
 【使用にあたり】
- 接種回数は計3回。生後6週から初回接種を開始し、少なくとも4週間あけて2回目、3回目の接種をおこないます。初回接種は生後14週6日までにおこなうことが推奨されています。遅くとも生後32週までには接種を完了させるようにします。
- 問診や検温のあと、問題がなければ医師のもとで口に含ませ経口接種します。接種前後に、母乳を含め飲食を制限する必要はありません。
- 接種当日は過度な運動を避け安静にしてください。また、接種後の体調変化に気をつけましょう。高熱やけいれん、腹痛、反復する嘔吐、血便、腹部膨満などいつもと違う症状がみられたら、すみやかに診察を受けてください。
- 接種を受けたあと、おむつ交換後の手洗いを忘れずにしてください(糞便中にワクチン由来のウイルスが10日間くらい排泄されることがあります)。
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効能 |
ロタウイルスによる胃腸炎の予防 |
用法 |

- 【用法・用量】

- 乳児に通常、4週間以上の間隔をおいて3回経口接種し、接種量は毎回2mLとする。

- 【接種上の注意】

- 経口接種すること。注射による接種は行ってはならない。
- [注意1]接種対象者・接種時期:本剤は生後6〜32週の間にある乳児に経口接種する。初回接種は6週齢以上とし、4週以上の間隔をおいて32週齢までに3回経口接種を行う。また早産児においても同様に接種することができる。なお、初回接種は生後14週6日までに行うことが推奨されている。
- [注意2]他のワクチン製剤との接種間隔:生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上、また不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔をおいて本剤を接種すること。ただし、医師が必要と認めた場合には、同時に接種することができる。なお、本剤を他のワクチンと混合して接種してはならない。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
副作用は ほとんどありません。もし、高熱やけいれん、腹痛、反復する嘔吐、血便、腹部膨満などいつもと違う症状がみられたら、直ちに受診してください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- アナフィラキシー..発疹、じんま疹、全身発赤、顔や口・喉や舌の腫れ、咳き込む、ゼーゼー息苦しい。
- 腸重積症..腹痛、嘔吐、血便、腹部膨満、高熱。
 【その他】
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