概説 |
寄生虫を駆除するお薬です。糞線虫症(ふんせんちゅう)や疥癬(かいせん)の治療に用います。 |
作用 |
- 【作用-1】
- 糞線虫(ふんせんちゅう)は、熱帯や亜熱帯地方に分布する寄生虫の一種です。国内では沖縄や奄美諸島に見られます。
糞線虫は皮膚を通して人の体内に入り、小腸に寄生します。その数が多くなると、腹痛や便秘など胃腸症状を引き起こします。
このお薬は、糞線虫に有効な駆虫薬です。糞線虫を麻痺して死滅させます。糞線虫の寄生による糞線虫症に用います。
- 【作用-2】
- 疥癬(かいせん)は、疥癬虫 別名ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる皮膚感染症です。体のあちこちに小さな赤いボツボツができ、とくに夜間に強いかゆみを生じるのが特徴的です。
このお薬は、疥癬虫に対しても特効的に作用します。塗り薬を使わずに、1回ないし2回の内服で疥癬虫の駆除が可能です。
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特徴 |
- アメリカをはじめ世界的に広く使われているアベルメクチン群の広域スペクトル抗寄生虫薬です。日本では、疥癬の治療に用いることが多いです。安全性も高く、重い副作用は少ないです。
- 新型コロナウイルスに対する有効性を示す論文が、ある海外研究チーム(米ユタ大学等)により公表されましたが、その後 十分な裏づけがとれず疑義が指摘されたため取り下げられました。より信頼度が高い無作為化比較試験(RCT)の実施が望まれるところです。
- コロナウイルスの細胞内への侵入抑制と複製阻害作用が報告されています。ただし、実際に治療効果があるのかは分かりません(2022/02)。現在、国内(北里/興和)で臨床試験が行なわれており、その結果が注目されます。
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注意 |
【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は、医師に伝えてください。
- 服用中の薬を医師に教えてください。
【使用にあたり】
- 空腹時(食後2時間)に水だけで飲んでください。牛乳や乳製品で飲んではいけません。
- 病状や体重によって、飲む回数や飲む量が違います。ふつう、線虫症では2週間間隔で2回飲みます。疥癬の場合は、まず1回だけ服用します。その後、新たな皮膚症状が発現したり、検鏡により感染が認められた場合には再投与が考慮されます。重症型の角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の場合1回の服用では不十分で、少なくとも2回は必要です。
- 【生活】
- 意識障害が報告されています。車の運転をふくめ危険をともなう機械の操作や高所作業のさいは十分注意してください。
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効能 |
- 【効能A】
- 腸管糞線虫症
- 【効能B】
- 疥癬
- 注意:疥癬については、確定診断された患者又はその患者と接触の機会があり、かつ疥癬の症状を呈する者に使用すること。
- 【備考】
- 新型コロナウイルスに関する海外研究チームの論文は、疑義により取り下げられました(特徴の項を参照)。
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用法 |
- 【効能A】
- 通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを2週間間隔で2回経口服用する。本剤は水とともに服用する。患者体重毎の1 回当たりの服用量は以下。
- 体重(kg):3mg錠数
- 15-24:1錠
- 25-35:2錠
- 36-50:3錠
- 51-65:4錠
- 66-79:5錠
- 80以上:約200μg/kg
- 【効能B】
- 通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口服用する。ただし、重症型 (角化型疥癬等) の場合、本剤の初回投与後、1〜2週間以内に検鏡を含めて効果を確認し、2回目の投与を考慮すること。下記の表に患者体重毎の1回当たりの服用量を示した。本剤は水とともに服用する。
- 体重(kg):3mg錠数
- 15-24:1錠
- 25-35:2錠
- 36-50:3錠
- 51-65:4錠
- 66-79:5錠
- 80以上:約200μg/kg
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
おもな副作用は、吐き気、カユミ、めまいなどです。疥癬においては、ヒゼンダニの死滅後に、一時的にカユミがひどくなることがあります。
【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- 重い皮膚・粘膜障害..発疹、発赤、水ぶくれ、うみ、皮がむける、皮膚の熱感や痛み、かゆみ、唇や口内のただれ、のどの痛み、目の充血、発熱、全身けん怠感。
- 肝臓の障害..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
- 血小板減少..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。
【その他】
- 吐き気、吐く、下痢
- 発疹、かゆみ、めまい
- 肝機能異常、好酸球数増加
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