概説 |
副腎にかかわる病気の診断や、クッシング症候群の治療に用いるお薬です。 |
作用 | ステロイド合成阻害薬と呼ばれ、副腎皮質でつくられるステロイドホルモンの合成を阻害する作用があります。クッシング症候群などステロイドホルモン(ヒドロコルチゾン)が関係している病気の診断や治療に用いられています。
- メチラポン試験として、下垂体ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌具合をテストします。この薬で体内のステロイドホルモン(コルチゾール)の不足状態をつくり、その反応としてACTHの分泌が増加するかを調べるのです。クッシング症候群の原因をつきとめ、その詳しい病態を判別するのに有用な試験です。
- クッシング症候群は、主要なステロイドホルモンであるコルチゾール(ヒドロコルチゾン)の慢性的な過剰状態で発症します。原因疾患として副腎腺腫や下垂体腺腫が考えられますが、ときに肺がんなどがん腫に起因するものもあります。特異な症状として中心性肥満(顔や胴体が太り、手足がやせる)がみられ、さらに高血圧や高血糖、骨粗鬆症、低カリウム血症による筋力低下などがあらわれます。このお薬は、ステロイドホルモンの合成をおさえることで、クッシング症候群にみられるそのような症状を改善します。
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特徴 |
- 副腎機能障害の診断薬として古くから使用されてきました。クッシング症候群の治療薬としては適応外でしたが、2011年に公知申請という特例扱いで正式な効能として認められました。
- クッシング症候群に対する標準薬のひとつです。ただし、対症療法となりますので、原因疾患の治療を優先したうえで用いるようにします。
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注意 |
 【診察で】
- 持病やアレルギーのある人は医師に伝えておきましょう。
- 市販薬を含め、使用中の薬を医師に教えてください。
- 具体的な服用方法や注意事項、副作用について十分説明を受けてください。

- 【注意する人】

- 副腎皮質機能が著しく低下している場合には用いません(意味がありません)。リウマチ性疾患(膠原病)のある人では、症状の急性化をきたすおそれがあるので慎重に用いるようにします。
- 適さないケース..副腎皮質機能不全のある人。
- 注意が必要なケース..リウマチ性疾患のある人。
 【飲み合わせ・食べ合わせ】
- アセトアミノフェンの副作用(肝毒性)を強める可能性があります。アセトアミノフェンは市販のカゼ薬や解熱鎮痛薬に配合されることが多いですから注意してください。
- 検査薬として用いる場合、プレドニンなどによる副腎皮質ステロイド療法を中止する必要があります。また、測定値に影響する可能性のある薬剤として、抗けいれん薬のフェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)、フェノバルビタール(フェノバール)、安定薬のクロルプロマジン(コントミン、ウインタミン)、アルプラゾラム(コンスタン)、女性ホルモン薬(プレマリン等)、抗甲状腺ホルモン薬(メルカゾール等)、抗うつ薬のアミトリプチリン(トリプタノール)、抗ヒスタミン薬のシプロヘプタジン(ペリアクチン)などがあります。

- 【使用にあたり】

- 飲み方は、使用目的や症状により異なります。医師の指示通りにしてください。
 【検査】
- メチラポン試験(メトピロン・テスト)においては、スケジュールに沿って尿検査を実施します。
- クッシング症候群の治療に用いる場合は、定期的に決められた検査を受け効果や副作用をチェックするようにしましょう。

- 【食生活】

- 人によっては、眠気やめまいを起こします。車の運転など危険な操作や作業には十分注意してください。
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効能 |

- 【効能A】

- 下垂体ACTH分泌予備能の測定

- 【効能B】

- クッシング症候群
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用法 |
 【効能A】<用法・用量>- 通常、成人は、メチラポンとして1回500〜750mgを1日6回4時間毎に経口服用する。
- 小児は、1回15mg/kgに相当する量を1日6回4時間毎に経口服用するが、1回の最小量は、メチラポンとして250mgが望ましい。
<試験法>- 第1日目:対照期-24時間尿を集め、17-ヒドロキシコルチコステロイド(17-OHCS)あるいは、17-ケトジェニックステロイド(17-KGS)を測定する。
- 第2日目:ACTH負荷試験(副腎皮質機能検査)を実施する。
- 第3日目及び第4日目:休薬する。
- 第5日目:本剤を服用する。
- 第6日目:本剤服用後の期間-24時間尿のステロイドを測定する。本剤服用に対する最大の反応は、この日にみられる。

- 【効能B】

- 通常、成人及び小児は、メチラポンとして1回250mg〜1gを1日1〜4回経口服用する。なお、患者の状態により適宜増減する。
- [注意]血中・尿中コルチゾール値あるいは臨床症状に応じて用量調節を行うこと。
※用法用量は症状により異なります。医師の指示を必ずお守りください。 |
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副作用 |
比較的多いのは、おなかの不快感や吐き気、嘔吐、めまい、頭痛などです。きわめてまれにショック症状を起こすことがありますので、悪心や悪寒、手足の冷え、冷汗など、危機感をおぼえるような一連の症状が現われたなら、直ちに医療機関と連絡をとってください。
 【重い副作用】 ..めったにないですが、初期症状等に念のため注意ください
- ショック..気持ち悪い、胸苦しい、冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、耳鳴、ゼーゼーする、息苦しい、めまい、脈が速い・弱い、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れる。
- 副腎皮質機能不全..けん怠感、吐き気、吐く、下痢、腹痛、血圧低下、息苦しい、気が遠くなる。
- 血液障害、貧血..発熱、のどの痛み、だるい、皮下出血(血豆・青あざ)や歯肉からの出血、息切れ、動悸、めまい、顔色が悪い。
 【その他】
- 腹部不快感、吐き気、嘔吐、食欲不振、下痢
- めまい、頭痛、眠気
- 低血圧、不整脈(QT延長)
- 低カリウム血症(倦怠感、筋力低下、便秘、動悸)
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