2001年3月13日 会社からの第1次回答との組合提出の要求書との対比

(全文・但し回答書はレイアウトの都合上、オリジナルに適宜改行を加え、行頭空白や連番を取り除き再編しております)
(書中「エミュ」の英字表記部分は特殊文字が含まれ、全ての環境での再現は難しいと判断し、画像で作成・表示しております)
(文中の「エミュ」の表示画像で使用しているフォントはArial Blackで、商標登録されたロゴではありません)

10月人事における不当労働行為に関する要求

1: 2000年度10月人事において、ケイ・ビー・シー映像労働組合の組合員であることを理由に部長代理昇進を見送られた2名の組合員に対して会社は早急に2000年10月1日付けで部長代理として昇進をさせること。

組合員2名の部長代理昇進に関しては、前回の回答通り

(1)組織運営の柔軟性・効率化と権限の下部委譲
(2)営業・制作力の強化

を目的としたものです。

特に制作部については、チーム編成をし、チームリーダーを部長代理として情報の迅速な共有化・予算の執行管理・業務の配分・人事等を管理職として、経営課題の解決にあたる主旨から行ったもので、その考えは今でも変わっておりません。

組織活性化のために、平成13年4月1日付で当該組合員2名の部長代理への昇進人事を考えております。

組合活動に関する要求

1: 組合員の範囲は、法律に基づき組合としては専任部長以下とします。

会社は、部長代理以上は非組合員であるという考えに変わりありません。

部長代理以上は、職務手当及び予算執行・人事等、管理・監督及び機密事項を取り扱い、部長(役員委嘱のケースあり)を補佐するものであり、組合員の範囲になじまないと考えます。

引き続き組合員の範囲については協議を重ね、明確にし組織運営を円滑にしたいと考えています。

2:

会社は次の事項について、就業時間内の組合活動を認めること。

(1)定期大会及び臨時大会。
(2)上部団体が招集する機関会議及び諸会議へ出席する為の組合出張。
(3)団体交渉開催前後90分間の執行委員会及び月5回以内の執行委員会(1回につき2時間を限度)の開催。
(4)団体交渉に必要とする移動時間と、団体交渉に要する時間。
(5)労使が協議を進める上で緊急性を要する組合大会、代議員会の開催。

組合事務所提供以外は労組法上も問題があると考えております。
組合の独自性を保つ上からも組合活動は勤務時間外にお願いします。

時間外に関する要求

1: 代休未消化による未払い賃金の支給計画に関する会社の取り組み方を具体的に文書化すること。この要求に関して会社は何ら具体策を提示していません。

過去の時間外賃金の未払いについては、要求解決に向けて前向きに検討したいと考えています。

そのために、会社と組合双方同数の委員を選出して「未払い賃金小委員会」を設け、具体的な支払方法を検討するための委員会設置を提案致します。

2: 時間外手当45時間打ち切りは明らかに労働基準法違反です。即刻、時間外打ち切りの廃止と同時に、時間外手当の全額支給を行うこと。

映像制作会社として、合法的な時間外労働の手当支給について検討し、会社の考えを早急に提示します。

3: 出張時の時間外発生分の時間外手当を支払うこと。

Aとの関連で検討していきたいと考えています。

賃金に関する要求

1: 全従業員の年齢給に対して年齢×1000円のベースアップを行うこと。

2: 住宅手当について、世帯主は3万円、非世帯主は2万円とすること。

長引く消費低迷と物価下落の中、多くの企業はベア0回答を打ち出しています。当社もこの様な外部環境の影響により、極めて厳しい経営状況となっております。

KBCからの発注減、地方自治体の予算縮小など平成13年度の売上げは前年を大きく下回る事が予想されます。また、現在の会社の経営状況も大変厳しく、平成12年度の決算は赤字に転落する危険性を残しております。

従業員の待遇改善は当社の大きな目標ではありますが、時間外の積み残し、代休消化等の問題を考慮した結果、平成13年度は過去の時間外、代休積み残しの早期解決が急務であると考え、今回は定昇のみとさせていただきます。

しかし、大きな利益が出た場合は、夏・冬の一時金、年度末手当等で還元する事を考慮しております。

3: 制作部に導入されている裁量労働におけるみなし労働時間を、現在の45時間から60時間に引き上げること。

裁量労働も時間外労働問題として、検討中です。

待遇改善に関する要求

1: リフレッシュ休暇は有給休暇扱いとすること。

リフレッシュ休暇は、従業員が積極的に代休を消化するための措置から制度化したものです。よって、有給休暇扱いとはいたしません。

2: リフレッシュ手当凍結を撤回すること。

賃金に関する要求で回答した通り、平成13年度は過去の時間外、代休問題の解決が急務である事から、リフレッシュ手当は凍結のままといたします。

3: 会社は専属ドライバーを配置すること。

専属ドライバーの配置は考えておりません。

4: 会社は携帯電話補助を申請者に対し一律2000円支給すること。

会社が必要と認めた場合に限り支給いたします。

5: 一時金算出のベースを基準内賃金とすること。

現行の支給方法とします。

契約社員に関する要求

1: 平成12年度までに契約した者は、登用後3年をめどに、正社員化を希望する者については直ちに社員登用を行うこと。

社員登用は、契約社員内規による社員登用規準に基づいて行っております。従って、自動的に社員登用とはなりません。

2:

平成13年度以降採用の契約社員に対しては以下の項目を組合と締結すること。

(1)契約社員の契約期間は、最低1年を保証すること。
(2)契約形態を明確化し、本人の承諾を得た上で採用すること。

(1)仕事の必要期間をもって契約期間が発生します。従って、一律に1年を保証することは出来ません。
(2)会社と被雇用者の労働契約は、契約内容を合意のうえ契約締結行っています。

上記理由から、組合との項目締結は考えていません。

人事に関する要求

1: 会社は今回の従業員募集について、その必要性と今後の展開について説明すること。

従業員の採用に当っては、慎重に対応していく考えです。現在従業員の生産性を高める教育研修、資本装備率の強化に務め、そのうえでなおかつ要員不足が認められる場合は採用することにします。

2: 平成13年度の採用計画について明らかにすること。

現在具体的な採用計画はありません。

3: 従業員の転勤期間は3年を上限とすること。但し、本人の希望により延長が求められた場合は、その意思を尊重すること。

本人の意思を尊重する事はもちろんですが、3年の上限は職種によっては難しいと考えます。

4: 会社は人事異動に関し、転勤を伴う異動は発令の1ヶ月前、それ以外の異動は2週間前までに本人に内示すること。また、各個人に内示通知後、組合に対し内示報告書を提出すること。

人事異動、転勤、昇進、降格、賞罰などは会社の決定で行いますが、充分な意向打診のうえ内示を行っています。内示期間は原則として尊重していきます。人事異動等の内容は連絡します。

5: 社員の異動希望を提出する機会を設けること。会社はその件につき、積極的に取り組むこと。

6: 会社は各部署の所長ならびに責任者を定期的に招集し、各部署における人員配置、本人からの異動希望などを検討すること。また、契約社員及びアルバイトの雇用形態の変更についても協議をすること。

従業員と管理職との間の日常のコミュニケーションを通じて対応していきたいと考えています。

就業に関する要求

1: 36協定について、45時間/月、年間360時間の時間外厳守は今の会社の状況では到底守られるものではありません。現在の労働条件が改善されない限り36協定を結ぶことは出来ません。

36協定による労働基準監督署の指導もあり、45時間以内の時間外労働の実現は必要です。そのために組合との前向きな協議が必要と考えます。

2: 平成12年度までに発生した代休を、社員が会社に対する貸付金という形で買い取ること。

賃金に関する要求で回答した通り、この問題の早期解決が急務であると会社は考えております。

具体的な金額・償還期間について、労使双方から委員選出の委員会を設け、全力で対処すべきだと考えます。平成13年度より実行したいと思っています。

組合のご協力をお願いするものです。

3: 平成13年度以降発生する代休は、その代休が発生した日から2ヶ月以内に消化させること。

休日出勤によって代休が発生する考え方に変えたいと思います。

4: 会社は全従業員に対し、完全週休2日制、週35時間労働を導入すること。

週休2日制が時代の流れですので、実現に向け仕事の工程の見直し、時間外労働・休日出勤の削減による積極的な時短の環境づくりが必要です。

就業規則に関する要求

1: 会社は全従業員に対し、就業規則、賃金規定、退職金支給規定、契約社員規定など、変更の有り無しに関わらず付属すべき資料を含み、毎年配布すること。これは会社として最低限の義務です。

前回回答した通り、就業規則等に変更があった場合のみ配布いたします。

2: 現在の就業規則、賃金規定は曖昧な点が多く、実際45時間以上は代休処理となっているにも関わらずそのような記載は明記されていない。また、各部署や派遣先等での細かい違いについても明記されていないため、いつも行き当たりばったりで、社員や契約社員は戸惑うばかりです。会社は早急にこの就業規則、賃金規定、退職金規程、契約社員規定、契約社員賃金規定などの改定を行うこと。

調査の上、改定いたします。

経営の健全化に対する要求

1: 平成13年度の経営方針を明らかにすること。

現在の経営環境の低価格時代の下では、売上高の増加は期待できません。ハイクオリティ・ローコストを基本としながら、いかに収益率を高めていくことで利益を出し、企業の存在価値を高めていくかが課題です。

そのためには、全従業員の意識改革と創造性の高揚がぜひ必要です。そのための経営方針戦略については今後共、具体的に指針を出していきます。

2: 各部の独立採算性に近い予算制度の全面的見直しを行うこと。

当社の売上げの大半はKBCであり、制作費の交渉やクルーの経費等はこれまで現場のコミュニケーションが大きく貢献しております。つまり、クライアントと現場が直結している理想の形と言っても過言ではないでしょう。この繋がりは大切にすべきであり、ここに第3者が介入する事で無意味な混乱を招くだけと考え、現状の予算制度の下で、具体的に実効ある予算運営を行っていきます。

3: ケイ・ビー・シー映像のニックネーム制定の経過報告を行うこと。

えみゅエミュです。3/7特許庁へ商標登録出願しております。

4: 会社はKBCに対するスタンスを明確にし、プロダクションで生き残る為の経営方針を文書で提示すること。

当社は、KBCの映像制作機能を補完する目的でKBCの100%子会社として設立された経過があります。したがって、営業収益に占めるKBCのシェアが大きいのはやむを得ない面があります。

しかし、今後はBS・CS放送、地上波デジタルによる多チャンネル時代を迎え、映像制作への需要と競争は一気に加速するものと思われます。

一方、地上波テレビ局はリターンのないデジタル投資を控え、BSデジタル放送の普及発展如何によっては既存ネットワークの再編を余儀なくされる可能性があります。

このような状況の下では100%子会社とはいえ、KBCはKBC映像に対して特別な対応をとる余裕はなくなると考えます。映像コンテンツへの需要は高まると同時にハイクオリティ・ローコストを求めてくると考えられます。

したがって、KBC映像としては地域情報に精通し、斬新な企画力を駆使するために人材の育成に努めなければなりません。企画の積極提案による営業活動と地域での映像制作会社としての高い評価と信頼を、親会社であるKBCも含めて勝ち取ることを目指さなければなりません。

その他の要求

1: KBC映像とKBCプロデュース合併時における元プロデュース社員の勤続年数の取り扱いを明らかにする事。

元プロデュース社員の勤続年数はKBC映像での勤続年数に通算します。

2: 組合書記局内の電気代使用に関する協定。

組合の協定案にもとづき協議したいと考えています。