亡き母を想う                           元木幸子

今年は異常気象で、夏の暑さが秋口まで残って大変な気候でしたが、その暑い最中の
八月十六日、私の母が急に出直してしまいました。告別式、二十日祭、三十日祭、五
十日祭、喪明けとアッという間に百日祭が来てしまいました。父が出直して一年五ヶ
月、長く病床にあった父の世話をしていたのでこれからは、「のんびりと好きな庭い
じりでも楽しめばいいな」と思っていたのに、さっさと父の所へ行ってしまいまし
た。
私が三人目の子供を亡くして入院していた時、母体も危ないと言うことで大変な心配
をかけてしまい、母は「七十年生きて来て一番びっくりした」と言っていました。父
も同様だったようです。両親に最大の心配をかけてしまいなんとか少しでも親に喜ん
でもらいたいと思っていた矢先の事でしたどこに行くわけでもなく、母の部屋に行っ
て二人で寝ころびながら、のんびりと過ごすことが父が出直してからの楽しみだった
様です。それでもせいぜい一ヶ月に二〜三回の事だったのですが、私が帰る時にまる
で子供のように「また来てやー」と手を振っていた母の事を思い出すと堪らなくなり
ます。
「八十八歳まで生きられたら大往生やな」と人から言われますが、私にとってはとて
も悲しい事です。それでもまだ/\私の先は長いようなので、父や母にいろ/\言わ
れた事や教えられた事を思い出して教会の御用に頑張って行きたいと思っています。