回帰--降りたった意識・たち展1999 城戸孝充

                          ■1999年11月20日―11月24日
                          ■長崎・東明山・興福寺

 この展覧会は、私が、18歳まで生まれ育った長崎で初めて開く個展である。私がたえず意識している事がある。それは息をする事である。無意識のうちに息をしている呼吸の事である。いつも、どこかに、何かしらの息苦しさをおぼえる呼吸の事である。いつかは自らの呼吸法を美術作業を通じて見つけ、心地よく息が出来ている、時、場所、世界を見つけようと思い続けているのである。なぜ息をし続けるのかと云う謎のためにである。武道の間合いと心眼の関係のように、息を出し切ろうと対象に向い続けるのである。 心の解放と云う自由へ向けて製作するのである。リアリティを得るために。
 日本の最西端・長崎で、大陸(アジア)との接点である唐寺・興福寺で、江戸期、ヨーロッパとの接点である長崎で、回帰した意識の断片がアジア・ヨーロッパ・日本の三つの文化の交じり合った渦を体験した「長崎の血」の中に降りたった時、大いなるあるリ・ズ・ムが共振し合う事を強く、強く思い描く。

展示したものは大きく3つのタイトルで構成されています。

 心の闇、無意識から光としての「真空」、うごめくエネルギー
 の大いなる方向性の残像としての「渦・リズム・波紋」
 私達の存在としての肉体・皮膚・心の襞(ひだ)としての「肉づきの月・へそ」です。

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