あの頃

暗幕の掛けられた
      暗い体育館

吹奏楽の音色の響くその中で

僕は観客のひとりとして
舞台に向かって座っている

薄赤く差し込む夕日の光が
ちょうど斜め右あたりから
その輪郭を映している

映っては消え
消えては映る彼女に

少年はひとり
羞じらいを感じていた

あの頃