美景

漆黒の草原に
赤や黄や紫の輝きが
まるで
天より蒔かれた一握の星屑のように
さこら一面に散らばっています

天の川のカーテンと
月明かりの照明に
美しく飾られた舞台

丘の向こう側より続く
細く長い山道を
てくてく歩いてきた僕に
突然現れた風景

それは
美しさに包まれた美しさ
それは
輝くことを望んでやまない輝き

僕は
草地に腰をおろして
目下に広がる営みを
息を殺して眺めます

名も知れぬ星の
瞬きする一時(いっとき)と
寄せては返す
絶え無き波の周期が溶けあって

あの丘向こう
ちょうど空との接点から
或る感覚の絨毯(じゅうたん)が
あたり一面を覆います

何とも
ドラマテックな真夜中です