ガラスの人形

無心に遊ぶ幼い子供たち
大声を上げながら
風のように駆け抜ける彼ら

僕は
遠い大河の向こう岸より
細い目をして
真綿にくるまれたような
その優しい情景を眺めています

その時
その幼い子供たちのひとりが
青草の中からあるものを見つけだしました

それは
あまりに純粋な
今にも壊れてしまいそうな
ガラスの人形でした

そのガラスの人形に
戸惑いと
興味と
暖かさを感じた少年は
そっと手を伸ばして
それを掌にのせてみました
あまりに暖かく
あまりに優しく
あまりに愛おしい
その人形は

この世の中の
どんな誘惑的な物事よりも魅力的で
自分が
人間として生きているということを
初めて感じさせてくれたのでした

僕は
遠い大河の向こう岸より
細い目をして
真綿にくるまれたような
その優しい情景を眺めています